BCLラジオの修理について




ご注意 最近無責任な修理品を販売されている方がいます、こんな修理です。
修理は真面目にやりましょう。

真空管ラジオの修理経験は半世紀になりますが、BCLラジオの修理は定年退職でサラリーマンを辞めてからです。
トランジスターラジオの延長戦と言うことで、回路図無しで始めたのでずいぶん苦労しました。
パターン図を読みながら、回路図に展開するのですが、時間は無限にかかります。
どのコイルとトリマがどの働きをするかは全て手探りでした。
この頃から書き始めたメモが ここ10年で4冊になりました。
修理しながらメモするので、また修理しながら読むので、中身はぼろぼろです。
よく利用しています。
幸い多くの機種の回路図が入手できたのでずいぶん修理が楽になりました。
回路図が有ると無いとでは大違いです。


表紙に機種と参照ページ。
アナログ表示のBCLラジオはほとんど修理しました。


汚いメモの例。

パターン図や機種毎の調整箇所。

パターン図は一度に作れません、故障箇所を中心にその都度作ってゆきました。
5800はおそらく完成まで2年近くかかったでしょう。
左の画像はICF-5800におけるごく一部分です。

BCLラジオを修理する方の参考までに

昔のTRラジオを修理する場合 同じ形名のラジオを持っていないと修理できないことがあります。
それは交換部品の入手です。
例えばツマミ ダイアルフイルム 機構部品 特注部品(そのラジオ専用に作られた) など。
新品が入手できれば良いのですが、現時点まず無理なので 移植して修理することになります。
中古品では心配ということもありますが、もともと製造後数十年を経たラジオを修理しようとするのですから、
同じレベルです、中古品がいけないなら 修理対象のラジオそのものも 皆駄目ということになります。
生きている部品を活用して よみがえらせるのです。

ただ中古部品で注意しなければ いけないのは 経験上 通電すると壊れやすい部品の再利用は避けるということです。
一番良い例がソニーや三菱のトランジスター(例えば2SC710)などは再利用しいてはいけません。
これら半導体は足が銀メッキされていて エポキシ内部に染み込み 故障を起こすからです。
組み込んだ時はよく動作しても 後日故障ということが起きます。
他社のTRでも足が銀メッキされているもの(黒く変色しているのですぐ解る)は使わないほうが良いでしょう。
これらは未使用品か互換品を使うようにします。

ケミコンは新品が入手できますので あえて中古品を使うことはありません。
なおネットで調べるとケミコンの全数交換の記事を見かけますが、
不良が集中した時期のコンデンサーを除き、無闇に真似をしない方が無難です。
特注IC類も使いたくないのですが、他に方法が無いので 移植して利用するしかありません。


なお自分はサラリーマン時代 ラジオ関係の仕事をしたことはありません。
BCL(TR)ラジオの修理はいわば素人状態から始めました。
なぜ20年近く続けられたかは、ラジオに関する基本的素養(通信工学科卒)と半世紀以上の真空管ラジオの修理経験があったことです。
でも一番の理由は大量の修理部品の在庫を集めてあるからでしょう。
 BCLラジオはジャンクを含めれば500台くらいは手持ちがあります。
プロの修理屋さんでも部品の補給がなければ修理できません。
ラジオ工房は 補修部品の手持ちがあるので 今でも修理が可能なのです。

2SC710やケミコンなど代替品の入手できる範囲の修理では終わらない故障が結構多いのです。
技術があるだけでは修理できません。

トランジスター 2SC710の例 特に脚の付け根が汚れているものは怪しいです。
  

分解したBCLラジオの残骸



たとえば 5900のメーターの例です、じつは修理中これだけ壊したのです、補充ができなければ修理不能です。



2200のダイアルメカです、これも補充ができなければ修理できません。




プロの修理をお好みの方は どうぞそちらをご利用ください、ネットで調べれば判ります。

当方はプロと言えるほどでは有りません、単なるラジオ大好き老人に過ぎません。
ただBCLラジオを愛する気持ちは誰にも負けません、自分のものと同様に整備してお返しします。


依頼はこちらから ラジオ工房内

ラジオ修理工房


BCLラジオ修理体験記 目次はこちら

BCLラジオの修理に挑戦する方に

電気的知識が無くとも修理できる部分は沢山有ります。
これで全て解決するわけでは有りませんが、3割程度はこの様な故障です。
三才ムック「BCLラジオカタログ」に修理方法の詳細を掲載してありますので、ご覧ください。
ソニーのラジオは原則 半田こてが無いと分解できません、例外はスカイセンサー5500です。
但し分解・組み立て時レバースイッチを折らないように用心してください。
@ロッドアンテナの先端が折れてしまった。
A電池金具の錆
BACアダプターコードの断線
Cバーアンテナの折れ
Dタイマー修理
Eツマミが抜けやすい
Fボリュームやスイッチのがり
Gスカイセンサー5500のフイルムダイアルのずれ(分解・組み立て時 注意)
H音が出ない


スイッチの分解洗浄について(2014年9月29日)

急に 感度が悪くなったというRF−2200を分解してみると、マーカースイッチを分解した形跡があります。
BCLラジオ修理読本で紹介されて 以降 挑戦する方も多いと思いますが、組み立てが想像以上に難しいです。
器用な方にとってはなんでもないことでも 普通の人には難しいことも有ります。

組み立てたら 必ずスイッチの動作をテスターで 接点ごとに確認して下さい。
プリント基板に組み込んだ後では 確認出来ません。
スライド接点で 測定項目が多いのですが、これを省くと必ず後悔します。
今回の3連スイッチではスライド接点は6個しかありませんが、それでも異常が起きます。
十分注意したほうが良いでしょう。

以下は修理報告です。
これはBCLラジオを沢山販売している方(中国地方)が一年保証をつけて販売したものだそうです。
調整なども 非常に真面目にやってあるようです(いままで見てきたラジオでは最も真面目に調整してある)。
そんなベテランの方でも 稀には不具合が発生します、作業は十分注意したほうが良いでしょう。




現象はスイッチの動作によって 感度が猛烈に落ちるのです、それもビートがかかったような受信状態です。
ただ気まぐれに正常になり すぐ 受信不良になるので嫌らしいです。
調べてみると 感度が落ちる時は AMの高周波増幅FETの電源が落ちるのです。
これで受信状態が悪くなるのです。
しかし 3連スイッチと電源断の関係が理解できません。

分解してみると3連スイッチとAMの高周波増幅FETの電源供給用TRの半田付けが違います。
どうも この部分を弄ったようです。
(スイッチ部分の半田付けの色が違う  下側の列は引出線 12本 この部分はそのまま)

念のためAMの高周波増幅FETと電源供給用TRを交換しました。
これで 正常に動作するので 組み込んだのですが 組み込むと駄目なのです。
いろいろ試行錯誤してゆくと3連スイッチをシャーシに固定しなければ大丈夫で 固定するとおかしな動作になるという不思議な現象が見つかりました。
どうも自由な状態では大丈夫で シャーシに固定すると スイッチと基板に何がしかの力が加わり スイッチが変形するのかも知れません。
スライド接点が正常な位置からずれて組み立てられているのかもしれません。

結局 3連スイッチも手持ちの2200から移植して修理しました。
1年以上正常に動作していたとのこと 今年の夏の高温続きで 基板かスイッチが微妙に変化したのかも知れません。

スイッチ不良の原因は分解しなければわからないし、時間もないので そのままとしました。



今回は手持ちのスイッチに交換して修理しました。
前面 下側の基板が取り外したスイッチ(基板)です。



こんな例もあります
http://radio.eucaly.net/a/R/RF-2200-2.html#20130904

クーガ2200の電源スイッチの不良です。
やはりスイッチを分解して 清掃後組み立てたようです。
BCLラジオ修理読本にスイッチの分解修理の様子が紹介されているので 真似したのでしょう。
この修理方法は一見素晴らしいようですが、組み立てが 想像以上に難しいので 元に戻せなくなります。
どうしてもという方は注意深くやってください。


3連スイッチの裏側(基板のパターン面)の画像は下図のようになっています。




念のため 電源関係3連スイッチ(電源 ランプ BFO)を分解してみました。
基板から取り外したところです。



分解して 内部構造が見えるようにしたところ。
スライド接点が変形しているのがよく解ります。
これがこのスイッチが正常に動作しなかった原因です。



この金属片が 接点の金属部分をスライドして切り替えます。
しかし 接点の間が開いて 変形しています。
これでは接点の役割を果たしません。



このスイッチは完全に壊してありました、修理 不能です。
この状態で修理依頼されても困ります、たとえ修理できても 接点は長年の使用には耐えられません。
スイッチを交換するしか無いのです。



    




上記で解決しない場合は、電気的知識が必要です。
まずメーカーの提供するサービスマニュアルを入手してください。
スカイセンサー5800程度までは無くても可能ですが、有ると無いとでは天国と地獄の違いが有ります。
幸いオークションの付録についていることが多く、お持ちの方が多いと思います。
最低限 回路図だけは入手して修理を始めたほうが無難です。
サービスマニュアルはアメリカのA. G. Tannenbaumでも購入する事も出来ます。
修理に挑戦する方は下記の本などを読んで半導体回路を勉強してください、
電子回路の知識も無く修理しようとするのは無謀です!。

いきなりスカイセンサー5900やクーガ2200から着手するのは危険です。
スカイセンサー5500やICF−1100など比較的単純なものから経験した方が無難です。

回路的にはナショナルより、ソニーのラジオの方が理解しやすいです。
ナショナルはPNPとNPNを組み合わせた回路が多く、追いかけてゆくと分からなくなる事があります。
5800は回路は複雑ですが、比較的わかりやすいでしょう。
修理はまずこれらの機種で経験を積んだら良いでしょう。

ラジオ工房のホームページだけを見ただけで修理出来ると早とちりする方が多いですが、相当経験と技術力のある方でないと無理でしょう。
自分の修理体験を下手な文章でまとめたもので、初心者向けの修理講習用教科書ではありません。
当方はラジオ大好き老人にすぎません、メーカーのサービス機関でもありません。
過大な期待はしないようにお願いします。

なおBCLラジオは音が出るだけでは修理完了とは言えません。
綿密に調整し 目盛合わせ トラッキング(感度を最高にする)調整をする必要があります。
完動品と称するラジオでも目盛合わせのみで終了というのが多いようです。
トラッキング調整まで真面目にやってください。


なお最近 無責任な修理業者も多いようです、真似をしないように。

なおこんな本も出版されています、参考にされたら良いでしょう。
 BCLラジオ修理読本
三才ブックから見本が送られてきました、修理の内容が詳細に書かれています。
なおこの本を買って修理ができると思うと間違いです。
あくまで修理したものの例題をたくさん集めた写真集です。
この本をみて 簡単だと誤解して無暗に分解すると 元に戻せ無くなります、良く考えてから実行した方が良いでしょう。

著者の多勢さんは以前 秋葉原のお店の地下でBCLラジオを販売されていた方です。
数台程度 不具合の後始末をした経験がありますが、それにしては進歩したものです。

内容については当方一切関係ありません、自分の責任でお読みください。

修理のために準備するもの

サービスマニュアル(テクニカルマニュアル)は必須です、無い場合は苦労します。
ドライバー 半田鏝 半田吸取り線など常識的なものは除いてあります。
@標準信号発生器SSG(周波数が正確に読めること、5900や2200の場合 必須)
Aテスター
Bオシロスコープ
C電流制限付き定電圧電源
Dクリスタルイヤホーン
Eシグナルインジェクター
Fコアドライバー(普通のドライバーや工具は勿論必要です)やボックスレンチ。
G自動半田吸取器 無くても大丈夫ですが あると非常に便利です、高価なのが欠点です。



通電

BCLラジオの場合、真空管ラジオと違っていきなり通電する事が多いです。
正常に受信できれば良いのですが、故障と思われる時は電流を測定してください。
当然機種で違いますが、音量最低時 50mA程度が多いです、これより異常に多かったり少なかったりすれば要注意です。
*異常に多い場合、TR コンデンサー等のなどの故障が考えられます、部品の短絡も疑ってください。
*電流が少ない時 部品の断線(RFCや抵抗など)が無いか確認ください。
ACアダプターで試験する時は電圧と極性に充分注意ください。

音が出ない時 

@クリスタルイヤホーンをMPX端子に入れて受信してみましょう、ここで受信できれば検波回路までは正常です。
順次回路を追いかけて、クリスタルイヤホーンで音を確認します。
これで故障箇所が発見できます。
壊れる部品はトランジスター コンデンサーが多いですが、抵抗やコイルの断線もあります。
どの部品が壊れたかはテスターで電圧を測定したりして、見つけます。
どこが壊れているかを見つけるのは修理したラジオの数で苦労するかどうかが決まってきます、勉強と同じです。
*低周波の故障でICF−5500 5800は低周波増幅用のカスタムICが壊れている事が多いです、補修用の部品は入手できませんので、
ジャンクの5500や5800から移植する必要があります。
このカスタムIC(型番0025)の不良発見方法は5500の場合を例に上記BCLラジオカタログに記載して有ります。
5800の場合も場所が違いますが、ICのピン配置は同じです、応用問題として簡単に解決するでしょう。
*トランジスター コンデンサー コイルなどは同じ規格のものを入手します、苦労しますが、殆ど実現可能です。
ただカスタムICが入手できずに諦める場合も有ります。
A殆どのBCLラジオはSメーターが付いています、チューニングしながらSメーターの動きを観察すると状態が判断できます。
*発振回路が大丈夫かどうかは隣に別のラジオを置いて、局発をモニターしてみると良いでしょう。
シグナルインジェクターで後ろ側(スピーカーに近い方)から順に信号を入れてゆけば故障箇所がわかります。
大よその場所が確認できたら、テスターで各部の電圧を測定、回路図に示す正常時の電圧と比較してゆきます。
C昔 トランジスターは半永久的寿命と云われていましたが、意外と壊れます、完全に壊れる場合と半分壊れかかったものがあります。


特に脚が黒くなったものはよく確認した方が良いでしょう。
「がりがり」音の発生原因などを引き起こす事が多いです。
ただ無闇に部品を交換するのは止めた方が良いでしょう。
残念ですが、自分がやっても半田付け不良や差込方向を間違えるなど、簡単なミスが発生します。
1つ間違えると見つけるのが大変です、部品は1個1個順次交換して、そのつど動作確認すると良いでしょう。

D部品の故障はコンデンサー 抵抗 コイル などあらゆる部品が不良の対象です。
どこが壊れているか発見するのは経験が必要です。
テスターで電圧を測定するのが発見の早道です。


スカイセンサーのトランジスター

5800などソニーのラジオは時限爆弾を抱えているようなもので たくさん使われているトランジスターが突如 壊れます。
雑音が出るようになるのは良い方で 突然無音になったりします、非常に悩ましいです。


代表的なものが2SC710です、これがたくさん使われています。
当時のソニーのトランジスターは半田付け性を良くするために脚が銀メッキされています。
銀メッキした効果は確かにあったのでしょうが、そのうち 脚が黒くなり 銀イオンが内部に浸透して故障の原因になるようです。
半導体業界では 現在 有名なことのようですが、著者は残念ながら詳細は判りません。
必要な方は 「銀マイグレーション」などで検索して勉強して下さい。


例えば5800の場合 2SC710 9本 その他のTRが7個使われています。
2SC710以外のTRも製造方法も基本的には同じなので 壊れる確率はほぼ同じと考えてよいでしょう。


下記基板は5800の実験用基板です。
ICやTRを抜き取り ソケットに加工されている部分があります。

○の部分は2SC710。
□の部分は出力とランジスター 電界効果トランジスター 2SC1364 や 2SC633など。

最近は2SC710トランジスターの値段が@150円以上になったようで、需要と供給の関係とはいえ困ったことです。
トランジスターは昔 各種 100個単位で購入したものが 沢山有りますが・・、永久にとはゆかないので・・。
選択の幅を広げるべく 検討中です。
基板にソケットを組み込み どのトランジスターが適合するか試験しています。

規格表を見ながら選択すると意外と互換性の候補が見つかります。




ところで トランジスターが壊れた時 どこまで交換するか悩ましいところです。
理想を言えば 全部交換したいところです、ただ作業不良も発生しやすいので無闇に交換するのは考えものです。
適当なところで 妥協することになります。
 
なお交換する場合 1個 1個交換し 動作確認しながらやった方が無難です。
一気に交換すると どの部分で不良が発生したか解らなく無くなります。

なおトランジスターが不良でも 半田を外して測定してみると1時的に回復して正常に見えることが有ります。
半田鏝の熱の影響と思われますが、長年の使用には耐えられません 交換したほうが無難です。
なお熱に弱い部品の場合も 同じ注意が必要です。
そのため 半田を外す前に不良箇所を特定しておくことが 大事です。

一時再半田を希望する方がいましたが、故障時は 無闇に再ハンダは止めたほうが無難です。
半田付け不良には抜群の効果がありますが TRやコンデンサーなど一時的に回復するケースが有るのです。


下記画像は5800の修理で 交換したトランジスターの例です。
実際の不良は1個のみでした。
不良だったものを除いて 劣化品はありませんでした、脚が黒くなっているのを除けば、
外見的にはすぐ壊れる可能性は低そうな感じでしたが これだけはよく解りません。



2SC710の互換品



2SC668



2SC723



アダプターの故障

アダプター本体の故障もありますが、多くはコードとプラグ間の断線が多いです。
詳細な修理法はこちらをご覧ください。



半田付け不良

感度が悪いので調べてみると、半田付け不良が発見された。
この部分は5800のIF部分だが、見つけるのは意外と大変です。
このような不良はランダムな場所で起きますので、動作原理を理解したうえで追跡する必要があります。
IFTのバイパス回路だったので、この部分を半田付けすると、5800のSメーターが1.5目盛りほど強く振れるようになりました。
ただ気がつかなければ、修理完了と思い込んでも不思議では無い範囲です。
どの部分が悪いかは、原理的に考えて、順次追いかけてゆく必要があります。


5800の左下(下の写真の白丸内)部分です。
写真の向きは逆(右端が、下の写真の左下に相当)です。



5800の白丸の部分です。
同じ基板ではありません。
コイルのコアは無闇にいじらないこと、画像はコアを壊した事例です。


コアは簡単に割れますので、注意深く扱ってください。
このIFTは5500のものです。
無理に回すと壊れます。
ただこの部分を調整しないと高感度にはなりません。
コアドライバーを必ず使ってください。

代わりのフイルターを探して組み込みます。
別の5500から移植して修理しました。


シールドケースを除いたところ。
左側のコアが割れている。


単品に分解したところです。
真ん中がセラミックフイルター、両端にトランス。

機種ごとの注意事項 

クーガ115 RF−1150

この機種は経験を積んでから修理した方が無難です。
想像以上に難しいです、ナショナルのラジオとしては、いただけない設計の例です。
@特定の周波数が受信できない。
Aダイアルの目盛りが合わない。
Bバリコンの不良が時々ある、代用品を見つけるのは大変(目盛りが合わなくなる)。
Cツマミやダイアルメカなどの部品が製造時期で異なる(互換性なし)、保守用にジャンクを購入する時は製造時期の近いものを選んだ方が無難。

スカイセンサー5800

この機種は良く使い込まれていて、部品が磨耗している事が多いです。
ダイアル駆動機構の不都合なものは修理が大変で、途中で諦める勇気が必要です。
しかし ダイアルが硬い SLOWにした時動かないなどはグリスの乾燥です。
分解すると修理できます、ただ簡単ではありません。

トラッキング調整時のコイルとトリマの配置は上記BCLラジオカタログに有ります。
回路図が無くても修理できる限界の機種です、ただ回路図が無いと時間は無限に必要です。
その場合 悪い部分に限定してパターン図を製作すると良いでしょう。
電気的故障は2SC710の不良が多いです。
パターンが細かいので、不注意に半田付けすると、不動になります。
シールド板をはずした時は必ず組み込んでください、意外と組み込みは大変です。
同じ形名のトランジスターが入手出来ない場合 互換品が沢山ありますので 規格表をみて選んでください。

スカイセンサー5900

周波数の正確に読める測定器が必要です。
ダブルスーパーなので、原理的には難しいですが、馴れると5800より修理は簡単です。
修理できる確率も5800より格段と高いです、ほぼ100%修理できます。
ケースを分解すると、サブダイアルの読み取り誤差が増加する可能性があります、不用意に裏蓋を開けないように。

クーガ2200

周波数の正確に読める測定器が必要です。
ダブルスーパーで、IFの周波数が1985KHzと5900の10.7MHzに比べ低いので、イメージが沢山でます、必ず トラッキング調整をしてください。
この機種のコイル類はQが高いので、高性能ですが、調整がずれると感度が急激に低下します。
目盛りだけあわせる無責任な調整だけは止めましょう。
125KHzのマーカーを動作させて、Sメーターがほとんどの場所で振り切れる程度でないと感度が悪いです。
(トラッキング調整がされていない時に発生する)
ジャイロアンテナのグリスが無くなっています、必ず追加してください。
バリコンはこの機種の命です、CRCや接点復活材は絶対かけないように。

なおトラッキング調整はダミーアンテナ経由で調整すべきです。
基本的には裏蓋を組み込んで調整すべきですが 構造的に無理なのでダミーアンテナが必要なのです。

スカイセンサー5500

FM送信機能は玩具です、完全でも実用的に使えません。
壊れていると誤解しないように。
トラッキング調整の方法は上記BCLラジオカタログに有ります。
この機種はソニーのラジオで唯一と言っていいくらい分解時に半田こての不要なラジオです。
ただ不用意に分解するとランプスイッチ等を破損させる恐れがあります、慎重に分解、組み立ててください。

三菱 ジーガム505

これは修理を諦めた方が無難です。
サービスマニュアルがあれば管理人にもお願いします。

クーガ113と東芝1700

フイルムダイアルに注意しましょう、修理できないことがあります。
特に1700の場合、フイルムダイアルが暴れることが多いです。
原因は製造時のミスか材料の選定間違いと思われます、接着剤がはみ出しているのです。
修理は可能ですが 手間がかかります。
113のダイアル駆動機構は欠陥があり、プラスチック片が破損して、修復不能になることが有ります。
ダイアルの外れたものの修理は大変(無理に近い)と予想した方が良いでしょう。

ソニーICF−110

この機種はデザインも素晴らしく 性能も良いので沢山販売されたようで 愛用者も多いのですが、
保守性は極端に悪いです、ICF−5500の2〜3倍以上の手間がかかります。
特にTRの交換には泣かされますので、要注意です。
構造的にバリコンの配線まで外して、ラジオをバラバラに分解しないと交換できない仕組みになっています。
分解すると元に戻せなくなります、うかつに手を出さない方が無難です。

ソニーICF−1100

この機種はICF−110の後継機ですが、保守性は格段に改良されています。
上記機種の半分以下の手間で修理できるでしょう。
修理に挑戦するならこちらがお勧めです。
回路図などの資料も島田さんのラジオデーターベースに有ります。

スカイセンサーなどに使われているスイッチの分解修理


接点を分解して、清掃後組み立てる。
この写真は分解中のもの。
下側の太い部分がレバーによりスライドする。


コイルの不良

不良だったIFT

巻線の導通はOKでした。
やむなく分解したらコンデンサーのリード線が切れていました。
写真は少しリード線を動かしてあるので、
少し離れて見えますが、拡大鏡でわかる程度でした。
恐らく製造時についた傷で、温度変化に耐え切れず断線したのでしょう。
他の機種(ジャンク)から移植して修理します。


BCLラジオのアンテナ

BCLラジオのアンテナはよく折れます。
皆さん困っているようで、よく問い合わせを頂きますが、
現在オリジナルのアンテナは入手できません。

何とか代わりの物をと言うご希望もありますが、微妙な違いがあります。
例えばクーガ2200と7は殆ど同じ形をしていますが、長さが違うので流用できません。
代わりのアンテナが見つかったら、逆に教えてください。

5800のアンテナ(写真 上から3番目 新品)は自分用に多少予備を購入してありますが、
他の機種のアンテナは全くありません。
問い合わせいただいても御譲りできません。



手持ちに未使用 ICF-5800用アンテナ



折れたアンテナは友人に先端部分を修理してもらって使っています。
写真は5800のアンテナの修理した先端。
全く同じ物は入手できないので、直径の同じアンテナを秋葉原で購入して途中で接続するとの事。


接続方法は単純に接続する方法と本格的に組み込む方法があります。
ロッドアンテナ自体は極薄のパイプで出来ています、外径と長さがほぼ同じジャンクのアンテナを探してきます。
ジャンクのアンテナは秋葉原や日本橋などでよく売られています、最近は少なくなりましたが、まだ入手の可能性はあります。
構造は写真のようになっていますので、器用な方は充分接続できるでしょう。
実は筆者 この作業をやった事はありません、蟻川先輩にお願いして接続してもらっています。


ロッドアンテナは極薄のパイプで作られています。
太さは(外径)で一段に付き約1mm異なります。
次々にいれこ状態になっていて、後部に抜けないように銅製の爪があります。
写真では判り難いのですが、分解してみると良く判ります。
根元の部分を壊すと、後ろ側から順次パイプの素子が抜き取れます。
逆に別のアンテナを接続するのもこの原理を使って組み込みます。
問題はアンテナの下側部分の取り外し方で、クーガ2200のものは容易ですが、
スカイセンサー5800のものは難しいです。


ここまで難しい作業は嫌だという場合は、一段分の長さを省略して、単純に差込み、
接着剤で固定する方法もあります。

バー(フェライトコア)アンテナの修理  

先日フェライトコアが折れた時の修理が話題になっていました。
偶々折れたICF−5800のコアが発見されたので、ついでに調べてみました。

上が正常なコア、
下が3つに割れたコア。
調べてみると、5800のMW用コイルそのものはコア無しで、21μHでした。
これにコアを入れることで、360μH前後になります。
これにハイポリバリコンを組み合わせて、535〜1605KHzに同調するわけです。
調べた数値は下記の通りです。
でも残念ながら、感度試験の手段がありません。
NHK第1を受信しながらSメーターの振れで、目安をつけると接着修理しても、ほとんど区別出来ない振れでした。
Qにも差が有るし、原理的には多少の差異があっても良いはずですが。
Sメーターでは2〜3割程度の感度変化では検出出来ないでしょうね。
コアの修理は実用的には大丈夫と言ってよいようです。
なお接着はエポキシを使い、旗金で締め付けてしっかり接着しました。
接着の出来で、多少Qに影響ありそうです、隙間が無いように注意しましょう。
下記の表は概略の数値です、目安としてお考えください。
コイルの位置はそれぞれで多少違います。
測定周波数は2を除き約800KHz、無負荷Qです。

  コアの状態 インダクタンス(μH) 実用
1 正常コア 360 230
2 コア-無し 21 140 ×
3 破片1個 300? 230 ×
4 破片2個接着 360 200
5 破片3個接着 360 190



コアの接着をした時はトラッキング調整を必ずしてください。
接着だけで感度は良くなりますが、本来の性能を発揮するには調整は不可欠です。


余談
@感度試験は 本来なら電波暗室で実験すればよいのですが、そこまでの仕掛けはありません。
Aコア-は断片でもQは巻き線の方法によっては高いのですが、アンテナとしての実効高は別の理屈があるようです。
BQの高さだけで、実効高も高くなる訳ではありません、コアーの太さ、長さ、形にも影響されます。
C鉱石(ゲルマ)ラジオのように別にアンテナを張る場合は、コアーは短くてもQが高いほうが良いと思われます。
Dフェライトコア アンテナについてはオーム社のトランジスターラジオの設計と計算(佐藤嘉一 高橋昭三著 昭和43年刊)に詳しく解説されている。

スカイセンサーサブダイアル両端の感度減少

スカイセンサー5900のサブダイアルで左右両端の感度が低下することは、実感としてわかるのですが、定量的に測定したことはありません。
使われているセラミックフイルターの規格も正確には不明です。
恐らく同じような規格であろうと思われるムラタのSFE10.7MA8の減衰カーブを1981年のカタログからコピーしてみました。
このSFE10.7MA8はカタログでは3dB帯域巾280±50KHzと言われるもので、比較的広帯域です。
5900の発売時期と多少違うので、まったく同じでは無いでしょう。
この様なセラミックフイルターが3組使われています。
まったく同じ物か、多少帯域をずらしてあるかは不明です。
IFTと組み合われていますので、単純に計算できませんが、
単純計算で280KHz巾で両端の減衰は3×3=9dB以上減衰します、サブダイアルは300KHz巾ですのでさらに減衰します。

経年変化が無くても微妙な利用方法です、中心周波数がずれると急激に減衰します。
一般に経年変化で高い方にピークが移動します。

中古品の+側の感度が極端に悪くなる原因もここらあたりにありそうです。


SFE10.7MA8はステレオ用で3dB帯域巾280±50KHzといわれている。
他に3dB帯域巾230±50KHzや180±40KHzもある。



広帯域のフイルターが入手できなかったのか、中心周波数の異なるものが機種ごとに使われています。
どの周波数帯のフイルターかは基板のシールで区別されています。
橙;10.73 赤:10.7 青:10.67   その他 緑:10.61 黒10.64 白:10.76 黄:10.79もあります。 

トラッキング調整を真面目にやりましょう。

整備済のクーガ115を購入したが、音が小さく、SWは感度が悪いと言うことで、何が正しいか 自分に行事役が回ってきました。
あまり歓迎することでは有りませんが、お世話になっている方からの依頼ですので引き受けました。
まず短波の感度をSSGで測定してみました、しかし感度は115の平均値あります。
ところがMWを受信してみて驚きました。
まず感度が悪いし、目盛りも大きく狂っています、さらに驚いたのはTBSが2箇所で、それも ほぼ同じ強さで受信できます。
どうも正規の位置と、少し上の周波数(1,000KHz付近)でも受信できます。

5球スーパーでは昔よく聞いた話ですが、BCLラジオでの経験は珍しいです。
この為 あえてこの部分のみ紹介します。

MWの受信をしてみると、次のとおりです、目盛りが 合っていないこと、Sメーターの振れが弱いことがわかります。

NHK1(594KHz)が650KHzくらいで受信できます。
Sメーターの振れも弱いです。
通常はSメーターは振り切れます。
JORF(1422KHz)が1600KHzの位置で受信できます。
Sメーターも殆ど振れません。
通常はSメーターは振り切れます。

MWの目盛りをSWの基準線の延長上で見れば、目盛りと受信周波数がほぼ合致しています。
若しかしたら、このように調整したのかも知れません。

これでは途中の目盛りが合いませんので、正規の方法で目盛りを合わせました。
あとはトラッキング調整です。
ところが調整できません、どうコイルを動かしてもNHK1のところで富士山型のピークが出ません。
NHK1(594)を受信している時、ディップメーターでバーアンテナの共振周波数を測定、大きく狂っていることが判りました。
最終的にはコイルの巻数を数回少なくして、ピークが確認できるようになりました。
この様な経験はBCLラジオでは殆ど記憶に無いくらい珍しいです。
なぜこの様に狂っているのか悩むくらいです。
(アンテナ内部のコイルは弄られた形跡はありません、オリジナル状態と思います)
これはMWの例ですが、SWの場合 トラッキング調整を真面目にやっていないことが多いです。
業者の仕事でもそうですから 悲しむべきことです。

補足
下記はNHKラジオ技術教科書からの図ですが、max430PFの2連バリコンを使用した5球スーパーのトラッキングの説明図です。



600Kcの位置でアンテナコイルを調整し、最大感度に。
1,400Kcの位置でトリマコンデンサーを調整して、最大感度に合わせる。

昔々の書籍には1000Kcの位置はバリコンの羽根を調整と記載したものがある。
現実にはこれは難しいし、やる必要は無い。
(バリコン コイルが良く設計されて、正規に組み立てられていれば)

トラッキング調整云々と書きましたが、実は等容量の2連バリコンを使った場合、調整しても原理的に3箇所しか完全にはトラッキングが取れません。
図でわかるように、600 1,000 1,400の位置でトラッキングが完全に取れています。
他の周波数では数KHz(Kc)ずれています、でもこの程度であれば実用的に問題ありません。
BCLラジオの場合でも同様 周波数の低い部分、高い部分の2箇所だけ調整するわけです。
うまく設計されていると、全周波数帯にわたり、ほぼ実用的に合致することになります。

BCLラジオはぜひトラッキング調整をしましょう、感度も違います。
特に短波帯はイメージに合わせない様に注意してください。


BCLラジオの修理参考リンク

BCLラジオの修理体験記
機種別の修理体験記の目次です、スカイセンサー5900 クーガ2200など多数。
スカイセンサーのレバーSWの修理
スカイセンサー5900などの電源SW BFOSWなどはレバーが折れる事があります。
その修理方法です、しかし自家用に限定してください。これはたまたま修理した5900で発見した方法です。
スカイセンサー5900の電池蓋の作成
ICF-5900の電池蓋の無いものは多いです、こんな方法でつくった方がいます、器用な人は作っては。
スカイセンサーの「がりがり」音
これは雷の空電ノイズに似たがりがりです、トランジスターの不良の場合が多いです。
ただどのトランジスターが悪いか見つけるのは経験が必要です。
ACアダプターの修理
本来は修理しては困るのでしょう、ケースは接着されています。無理矢理壊す必要があります。
5900のマーカー不良
マーカー信号が濁って聞こえる故障
MWの感度不良
MWだけの感度不良はバーアンテナをまず疑う、SWも同時に悪い時はTR L C Rそれにスイッチなどが悪い可能性あり。
タイマーの修理
油切れで動作しなくなったタイマーの修理です。
ACコードの入手に困ったら
クーガ115 2200 プロシード2600 2800 TRYX−2000 サウンドナナハン等のACコードを捜すための参考写真です。

平成14年4月30日
2003年3月21日移転と更新
2003年1月3日 SSR−1 FRG−7の修理は新ラジオ資料館に移転しました。
2003年10月10日 「BCLラジオの修理参考リンク」を追加。
2004年2月13日 5900のアンテナ修理を追加。
2004年10月26日 半田補正?の項を追加。
2004年11月2日 トラッキング調整の部分を追加。
2004年12月29日

2006年12月12日:3282
2006年12月13日
2007年3月24日:5657
2009年8月27日:22,151 サーバー移転
2010年6月21日:26,230 5800の半田不良と5500のフイルター不良を追加。
2012年8月19日:35,507 修正
2012年12月1日:36,735 追記。
2014年6月22日:43,489 互換トランジスター
2014年9月29日:45,014 スイッチの分解洗浄について
2014年10月21日:45,659 クーガ2200電源スイッチの分解を追加。
2016年12月31日:54,119 記述を追加



2006年7月2日より

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