スカイセンサー 5500の修理へ移転しました。

初めてご覧になる方に(2007年4月9日)
ICF−5500の修理はBCLラジオの修理を始めた頃(管理人が初心者時代)の記録が含まれています。
これから修理をしようという方に役立つよう、特に注意すべき点を抜き出して ここに追記します。
@ケースを分解する時にレバースイッチ を折らないように注意してください。
A組み込む時も同様です、レバースイッチは簡単に折れます、
折れると交換部品がありません。
ICF−5500の修理は容易ですが、ケースの分解、組み立てだけは要注意です。
BIC不良の判断はクリスタルイヤホーンで簡単に確認できます。
 6端子のICですから、入力と出力をクリスタルイヤホーンで確認、入力でOKで出力側でNGならICの不良です。
 (基板に取り付けた状態で、右上の端子が入力 左下の端子が出力です)
 万一不良の場合 他の5500などから移植して、修理します。
その他BCLラジオカタログに修理法の記事が有りますので、ご覧ください。







IC不良の発見方法などを紹介しています。

スカイセンサー 5500の修理その1

この5500は別の故障で、1年前に修理したことがあります。
故障現象は下記の通り。
受信しても音が出ません、でも同調するとSメーターは正常に振れます。
この場合、低周波回路の故障の可能性が高いです。
低周波回路はIC 1個と出力トランジスター2個で構成されています。
今までの経験で、どちらもよく壊れます。
なおこの出力回路はICF−5800も同じ構成です。

今回はICの不良でした。
このICはよく壊れるので、正常時6個の端子の電圧を測っておくと、修理に役立ちます。
出力トランジスターが壊れたのを見つけるには消費電流を測定しておくと役立ちます。


壊れたICは写真左端ケミコンの上
ケミコンがICの上に接着されているので、場所はわかりにくい。
トランスを目安に見つけてください。



取り外したICとパターン面(基板裏側)
パターン面の6個の穴で、
右上(上段右端):入力端子
左下(下段左端):出力端子


この写真は修理した5500と別の物ですが、同種の基板です。
IC(上記写真)は赤い枠の位置になります。

5500の修理例 その2

アンテナのPOP UPボタンが無いと言うことでしたが、調整もと言うことで引き受けました。
動作させてみると調整どころではありません、極端に表現するとNHKがやっと受信できるだけです。
感度調整をLOCALにするとNHKも受信できません。
これでは100円ラジオ以下の感度です。
全然受信できないことはあっても、受信できてここまで感度が低いのは珍しいです。
まずアンテナコイルの断線を疑いました、結果はコイルは大丈夫でした。
トラッキング調整もOKです、ただメーターはほんの少ししか振れません。
確認するとIFTも大丈夫のようです。
ここまでで一旦再組み立てし、持ち主に修理を諦めたらと相談したら、是非にとの事でした。

2日後修理に再挑戦。
@トラキングとIFTは先日確認してあり、OK。
A低周波回路再確認→OK。
BまずMIX回路の各部の電圧を測定。
トランジスターのエミッター電圧が多少低いので、取り外すことにした。
真空管ラジオなら簡単に測定できるのですが、TRラジオはこの点いやらしいです。
このTR(トランジスター)は増幅率が半分くらいに低下していたので交換。
Cこれでも感度が良くなりません、他に原因があるようです。
これ以上はIF回路のシールド板を外す必要があります。
IF回路のTR C R Lなど不良箇所を捜査。
何処が悪いかを特定するのは各部の電圧を測り、経験と感を総動員して特定します。
以前は修理するのに何週間もかかっていたのに、最近では比較的早く見つけられるようになりました。
結果的にはIF最終段のTRにたどり着きました。
しかし取り外したTRを測定しても正常で、こんな筈は無いと再度組み込んでも正常に動作しました。
半田コテを当てた時に熱ショックで回復したのでしょう。
また悪くなる可能性があるので、新品TRに交換しておきました。
これで正常に動作するようになりました。
D同じロットのTRが多数使われているので、理想的には全数交換したほうが良いのですが、とても。

どうも以前誰かが修理した時無理な力を加えたらしい。
この5500はアンテナのPOP UPボタンが紛失しているが、これはケースを開けた時入れ忘れた可能性が大。
この様なボタンの無いラジオは素人修理の経歴ありと思ってほぼ間違いない。
素人は技量と経験に個人差が大きいです、ここがプロと違うところでしょう。
下手に修理されたラジオは元に戻せません。
恐らくこのラジオは修理途中で諦めて、放出されたのでしょう。
ただCRCか接点復活材か不明ですが、バンド切替SWがべとべとでした。
あまり多量に使用したので、バンド切替のクリックがほとんど感じない程度になっていました。
将来悪影響が無ければよいのですが。

5500の修理例 3

5500の修理です、気軽に引き受けたのですが、到着してびっくり。
動作はするのですが、誰かが以前修理した物のようです。
@アンテナの先端が無く、別のラジオのアンテナが、差し込まれている(簡単に抜ける)
Aアンテナの飾り金具が無い(裏蓋を開けると無くなり易い)
B裏側の止めネジが3本しか無い。
C音量ツマミが5500A用のもの。
D埃が酷い。


ランプスイッチのゴムカバーが外れている。
音量VRのツマミは5500A用の黒が使われている。






内部を開けてみると、電池の液漏れで基板のパターンが腐食している。
修理のため太い(赤色)電線で修理されている。
これは後刻交換した、理由は太すぎると裏蓋が閉まり難いので、細い線に変更した。




電池の−側は腐食して無くなっていた。
電池ケースのプラスチックもロック用の爪が割れてなくなっている。
代わりの金具は準備できないので、ACアダプターで使っていただくことにする。

「音がびりつく」との持ち主の話なので、調査すると、
スピーカーのコーン紙にひびが入っている。
これは以前分解した時 コーン紙に触った為でしょう。
これはセメダインで補修。
またネジが3本だとケースが良く締まらないので、びりつく可能性もあり、同じネジを捜して4本で締め付けた。

修理時 ネジは無くさぬようにしましょう。



アンテナの飾り金具も紛失しているので、
アンテナ先端に小型のツマミをキャップとして接着。
こうするとアンテナのPOP UPもうまく出来る。

調整もして、完了。

なおあまりに汚れが酷いので、少し清掃しました。

5500の修理例 4

電源を入れても無音だと言う5500の修理です。
試験してみると確かに無音です。
MPX端子でモニターすると、受信は大丈夫のようです。
中を開けてみるとカスタムICの不良です、このICの不良は修理例2でも起こっているように非常に多いです。
10台に1台壊れると言うとオーバーかもしれませんが、とにかく壊れやすい事は確かです。


困った事に補修用の部品はありません。
仕方なく別のラジオからこれを抜き出して移植しました。
新品ではないので、また運悪く壊れる事も考えられます。



左の6穴の位置にICが実装されていました。
この5500のICの交換が終わり、試験しようとすると今度は無音とメーターの逆ぶれが起こります。
特にメーターの逆ぶれは、メーターが壊れるのでは無いかと思われるほどです。
原因はメーター回路の不良でした。
この様に重故障が2つ重なるのは珍しいです。


修理完了した5500.
なかなか綺麗です、素晴らしい。

2002年8月11日
2003年5月1日
2003年7月11日

同調不能の(信じられない故障)修理

チューニングダイアルと表示が壊れているという5500です。


ダイアルつまみを廻しても表示は正常ですが、受信できません。


早速分解してみました。
ダイアルフイルムは正常に送られています。

調べてみると黄色の矢印のギアが割れていることがわかりました。
この部分はバリコンの駆動部分になります。
表示機構は正常ですが、バリコンが正常に回りません。

この様に壊れる原因はわかりません、不思議な故障です。
修理は他の5500からこの部分を移植するしか有りません。


割れた駆動プーリー。
上の写真 黄色の矢印の部分の反対側です。
こちら側に溝があり、ここにバリコンの軸が嵌め込まれます。

糸掛けダイアルで駆動し、さらに細かなプラスチックギアも使われています。
この部分が割れるほどの力が加われば、ギア部分が先に破損するはずです。
常識的に考えられない壊れ方です。
若しかしたら、組み立て時の無理な力が、ひび割れを起こし、
これが長年の利用で、ついに破損したのかもしれません。

接着とネジ留めすれば、このまま使えるかも知れなかったのですが、
別の故障が起こった時、修理に困るので、
結局 別の5500から駆動部分を移植しました。



電池金具のマイナス側が錆びて、修理してありました。
ぜムクリップが挟んであるだけですが、なかなか見事です。
なおこのままでは使えませんので、この部分は修理しました。


埃が酷かったので、洗剤で洗いました。
多少綺麗になったと思います。

修理例7 電源が入らない故障

電源が入らないということで、単純な故障だろうと思ったのですが、
結果は違いました、久しぶりに手強い故障です。

凄い綿埃です。


電池金具は見事に錆びています。
これを修理すれば大丈夫と思ったのですが?。
保守用部品が入手できれば、交換すればよいので単純なのですが、

電池金具は入手不能ですから、現時点では一番の悩みです。


マイナス側が錆びています、プラス側は幸運にも大丈夫です。
5500の電池金具は独特のものが使われています。
普通 −側はバネですが、この機種はコ型金具の中央部に突起があり、
この金具自体を2個のバネで引っ張る仕掛けになっています。
同じ金具の写真も参考に)

バネも錆で、使えませんし、金具自体も錆びていますので、
普通の電池金具のバネを錆びた金具に取り付けて、利用する事にしました。
写真の−側金具は修理済のものです。



完成して、組み込んだところ。

これで大丈夫と電源を入れ、MWを受信してみると動作不安定です。
振動を与えると回復しますので、半田付け不良と判断、不良箇所を捜して、修理しました。
表現すると単純ですが、場所を見つけるのは意外と大変です。
半田付け不良と記載しましたが、実際は半田付け箇所に力が加わり、半田に割れ目が出来た事が原因です。
肉眼では見つけ難い程度のひび割れです。
上手く見つかると快感ですが、見つからないと悲劇で、何ヶ月も悩んだ経験があります。


MWの感度不良。
正常に動作するようになったと思ったら、感度不足です。
Sメーターの振れがNHK1(JOAK)で4程度です、感度切替SWを操作しても変化ありません。
5500の感度切替はMWのみで、バーアンテナからの入力部分に10KΩの抵抗を挿入する事で、
感度調整をしています。



SW ONでDX、OFFでLOCAL。


最初はスイッチの接触不良を疑ったのですが、テスターで導通を測ると大丈夫です。
おかしいと思って、詳細にパターンを見るとひび割れらしき物を発見しました。
肉眼で見ても判らないのいですが、テスターで調べてみると、断線しています(黄色の矢印の付近)。


時々 このようなまさかと言う壊れ方に出くわします。

おそらく5500を落下させた時にSW部分に無理な力が加わり、
その無理な力が基板まで伝わり、ひび割れしたのでしょう。


基板にジャンパー線を半田付けして修理、これでMWは受信できるようになりました。

これでOKと喜んだのも束の間、一難去ってまた一難、FMが受信できません。
さらにSメーターもFMで振り切れます。
MW SWでは正常に振れますので、FMに切り替えた場合に問題が有るようです。

調べてゆくとバンド切替SWの不良やFM受信障害があることがわかりました。
最終的にメイン基板を交換することにしました。
これでDX LOCAL 切替の基板もついでに交換することにしました。
しかしこの5500は今まで経験した故障を全て含んだ、非常に珍しい例でした。
非常に草臥れました。

修理例8 電源が入らない故障 その2

電池で動作しなくなったという故障です。
ACアダプターでは正常に動作します。
故障原因はACアダプターのジャックの故障でした。
この部分は連結したカスタム部品になっていますので、新品はありません。

4.5Vの純正アダプターは入手難ですし、
電池での使用ができるよう、この部分はバイパスすることにしました。
ただ電池を入れた状態で、ACアダプターを使うと危険なので、
下の写真のようにジャックの部分をテープで覆いました。

ACアダプター専用とする時は、黄色の部分を切断してください。


テープを外すとACアダプターでも使用できますが、電池を入れたまま使うと危険なので充分注意ください。

この修理方法は、第3者に譲り渡すと危険です。
今回は思い出のラジオということで、再販売する事が無いので実施しました。

みなさん同じような改造には充分注意ください。

修理例9 ダイアルが動かない故障


ダイアル駆動メカの不良の修理です。
無理をしたのか、注油でプラスチックが割れたのか原因は不明です。
修理は他の5500から同じ部分を移植しました。
フイルム駆動機構が接着されていたので、あるいはこの時の後遺症かもしれません。
昔 電気店に修理に出した事があるそうです。

接着の仕方が接着剤と併用して半田鏝で溶かしてありました。
この方法はプロが使う方法のようです。

分解後 元に戻す時 ホットメルトで今回は固定しました。

修理例10 

スカイセンサー5500ですが以前から電池で使用しています。
パワースイッチを入れると10秒ほどして音が出てくる症状が続いていましたが、
本日はパワースイッチを入れても音もライトもつかなくなってしまいました。
電池室の接触ではないようです。




この5500は修理しても依頼主の言われる音が小さくなる現象が発生しません、極めて正常に受信します。
やむなく 整備した後数日間お預かりして、慣らし運転をしました。
やっと現象が出ました、うまい事に無音状態になりました。
こうなればしめたものです、不良箇所を発見 発振トランジスターが犯人でした。
早速交換して 修理完了。

移転しました2007年9月28日

2004年8月25日
2005年2月9日
2005年2月16日
2006年6月26日
2006年7月19日 修理例8と9を追加。

2007年4月9日:1600
2007年4月10日 追記及び画像の入れ替えをしました、全体的に容量を減少させました。 
2007年8月5日:2519

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