オークションに出ていた「9R59D」をこの度落札しました。 整備、動作品とありましたので、落札して、電源を入れましたが、次のような不具合がありました。 1.中波域(Aバンド)は比較的受信状態もよく、Sメーターもよく振れておりますが、 それ以上のBから上の短波バンドは、かなり受信状態が悪く聞こえてきません。 2.RF-GAINの調整域が極端に狭く、ほぼ右一杯位でないと効きません。 3.全般的に、ハム音がしております。 また、できましたら、以下もお願いしたいと思います。 1.Sメーターの照明 2.M型コネクターの組み込み |
9R−59Dの整備品というと 悪い予感がしたのですが、当たりでした。
出品者は下記続オークションに寄せての出品者と同じと思われます。
お掃除名人 整備は無茶苦茶 調整は無です、MWは感度悪いが一応受信できる。
短波も受信できるところもあるが5球スーパーの1/10程度の感度 受信できないバンドもあり 話にならない。
外観が非常に綺麗なのが特徴です。
続オークションに寄せての下記をご覧ください、皆さん 購入は十分注意しましょう。
61)9R−59D 整備完了品の不具合(2010年2月19日) (修理体験記)
62)9R−59D 整備完了品の不具合(2010年3月15日) (修理体験記)
整備方法に共通点があるので 間違いないでしょう、間違っていたら訂正します、連絡ください。
なお同じ67)も同じ方が整備したと思われます。
出品者の地域が異なりますが、沢山 9R−59Dを販売している方には注意が必要です。
どうも 同じ人が整備したものを 複数の人が販売しているようです。
ただ この整備をした方は 清掃の名人ともいえるでしょう。
凄く綺麗に清掃されています、もしかしたら高圧洗浄機か何かで清掃しているのかもしれません。
感度が悪いのはその副作用かもしれませんが 見た目は 非常に綺麗です。
それが取り柄かもしれません。
今回のものは想像以上で 手強いです。
最悪 完全には修理出来ないかもしれません。
まずお決まりのGAIN調整用VRです。
10KΩB型までは良いのですが、小さすぎるのです。
このVRには6BA6 2本分のB電流(20mA位)が流れるのですから 小型ではもたないのです。
なお 本来は 10KΩのC型 24mmφ(出来れば30mm)のものを使うべきです。
どうもこの整備をした方は消費電力の計算が出来ないのでしょうか、必ずと言っていいほど小型VRを組み込んでいます。
使われている16mmのVRは殆ど電流は流せないので、普通の音量調整のように 電圧を分割する用途には良いのですが、
電流を流して使う用途には利用してはいけないのです。
一般に0.07W程度の電力量しかありません。
電流×電流×10000Ω=0.07ですから 逆算すると流せる電流は2.6mAになります、20mAはとても無理なのです。
参考カタログは
http://radio.eucaly.net/siryou/catalog/mitsumi-catalog.html
ゲイン調整用のVRは5KΩ C型が入手出来ましたので、これを使いました。
スイッチがついていますので マーカーを組み込む時に便利です。
それから とんでもないことが判りました。
なんと IFの最終段に6AU6が刺さっているではありませんか!.
この部分にシャープカットオフの真空管を使ってはいけません。
この常識が通用しないのですから 泣けてきます。
なぜシャープ・カットオフの真空管を使ってはいけないのかは、下図のプレート特性を見ればわかります。
バイアスの低いうち(信号が弱い間)は6AU6も6BA6も同様に働くのですが、
バイアスが高くなるとシャープ・カットオフの真空管ではプレート電流が流れなくなるのです。
図の位置のIF増幅管には−10V以上のバイアスがかかる事があるので この部分には使ってはいけないのです。
6AU6を使うと、カットオフされて 正常な動作をしなくなります(鼻づまり音声になる)。
シャープ・カットオフの真空管のプレート特性 | |
リモート・カットオフの真空管のプレート特性 |
6AU6を使うとSメーターの0点が動き 調整できなくなります。
その為 メーター0位置調整用のVRに抵抗を直列に接続してありました。
これは極めて無責任な修理方法です、原理を理解しないで辻褄合わせをしてこのようにしたのでしょうが・・。
この部分はカソードバイアスに影響するので、直列に抵抗を入れてはいけないのです。
原理を全く無視した 工作です。
回路図でも理解できるように このVRはIF2の6BA6のカソード抵抗になっています。
この部分の抵抗が無暗に増えると増幅率が下がります。
念のため 測定してみるとVRの抵抗値が800Ω以上に変化しています、これでは感度が低下するので 並列に1.2KΩを加へ
合計値で500Ωになるようにしました。
感度を高めるために 細かな注意を繰り返しました。
それでもMWの感度が低いので 調べてみるとRFコイルのインダクタンスが不足しているようです。
Sメーターでほんの少しの向上ですが、ダイアル板を少し ずらし JOAKが最高感度になる位置で固定しました。
ずらすと言っても表示面で1mmか1.5mm位です、これでMWも再高感度になりました。
短波帯はRF ANTコイルにコアが入れられているので 微調整が可能です。
IFの調整も念入りにしたのは言うまでもありません。
ここまでやっても 感度が基準値まであがりません、残念ながら 原因が特定できないのです。
細かな作業の積重ねで SSGで試験して5〜10dB位 感度が悪い程度まで追い込みました。
これ以上は 時間的に難しいので これでご了解ください。
この道の先輩から ご指摘いただきました。
これだけ綺麗なのはフロン洗浄をしたのではないかとのこと。
フロン槽に丸ごと漬けて 洗うらしいですが コイルやIFTも同じですから 劣化も仕方がないかも。
全般的に少しずつ 悪くなっているので 標準値まで戻すのは難しかったです。
電源回路に普通のセラミックコンデンサーが使われてましたので 安全規格の製品に交換しました。
Sメーターにランプを組み込む件は画像のようにしました。
ランプは特殊品ですから入手が難しいです、念のため 予備球を添付しておきます。
JOAK(594KHz)を受信しているところです。
9Rー59Dの修理
9Rー59Dの修理 その2
9Rー59Dの修理 その2B
9Rー59Dの修理 その3
9Rー59Dの修理 その4
9Rー59Dの修理 その5
9Rー59Dの修理 その6
2013年7月31日
2013年8月1日:126
2013年8月2日:221
2013年8月4日:485
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