BCLラジオの修理内容について(ラジオ工房)

BCLラジオの修理は正常に受信するだけでなく、目盛りが正確に合っている、IFやトラッキング調整が完全になされていることが大事です。
製造時の性能に近いように調整します。

最近とんでもない修理をする人もいるようです、注意してください。
BCLラジオのフイルター交換など改造はいたしません。
修理 調整完了後2200や5900は短波帯の各バンドとも一定周波数で感度試験をして、返却します。
中波とFMは感度試験は残念ながら設備の関係で出来ません。
ただ個別の癖がありますので、全く同じに仕上がるとは限りません。
全てのご要望には対応出来かねます、趣味の時間内の作業です、辞退することがあります。
修理期間は殆どの場合 到着後1週間以内です(ICF−6800の修理も含む)。
興味の対象は製造後30年以上経過した古いラジオのみです。
デジタルチューニングのラジオ(ソニー2001やICF−SW1など)やカセット付きのラジオは興味の対象外です、修理できません。
アマチュア−が無茶苦茶にいじりまわした物は割高になります。
BCLラジオの修理費用は機種や故障状況で変わります、機種名と故障状況を書いて お問い合わせください。
稀に(数%以下の割合です)故障が酷く、費用が高額になる(18,000円以上)と予想される場合は修理不能で原則返却します。
通電しただけで判断出来た場合は返送料のみ、分解後判明した場合は再組み立て費と返送料(合計3,000円程度)を負担ください、
見積もりの費用は原則いただきません。
常識的な費用で修理できる範囲で引き受けます、高額になる場合は修理不能でお返しします。
メーターの修理やICF−6800の修理は別料金です。
クーガ220 115 スカイセンサー5900 5500 5800 東芝TRYX-2000の修理経験は豊富です。
調整するとどこまで出来るかの例を下記に示しています、参考にしてください。


なおツマミを接着した物、ネジがさび付いてケースが開けられぬ物は修理できません。
比較的修理希望の多いのは下記ですが、他は相談ください。

ソニー 5500 5500A 5600 5800 5900 6000 6800
松下  2200 7 115 5 118 118D 888 2800 
東芝 サウンドナナハンGS TRYX-2000
ナショナルの4800の修理依頼が意外と多いのですが経験有りません、また大きすぎて修理する気持ちもありません。
ICF−6800やICFー110の修理は現在中止中です。
ナショナルRF−B30 ソニーICF-6700 CRFーxxxなどの修理は遠慮します。
テンキー入力のBCLラジオの修理は全く興味がありません、修理いたしません。
クーガシリーズのジャイロアンテナの起立不良の修理は出来ますが、耐久性に問題有ります 予めご承知おき下さい。

クーガ2200のMWメインダイアル読取精度について   

アナログBCL機で中波帯を受信する時、周波数を比較的正確に読める機種はこの2200と東芝のTRYX2000が代表でしょう。
ライバルの5900はMWの読取に関しては問題外です。
真空管で1-V-1などを自作した時、周波数の読み取りには苦労したものです。
そう言う意味で、家電品でここまで読み取れるのは感激です。
下記は測定の1例であって全てが同じと言うわけではありません。
選択度は侠に設定、594KHzと1422KHzの両端であわせました。
これで途中の(東京で受信できる)放送局がどこまで正確に読めるかを実験したものです。

594KHz
693KHz
810KHz
954KHz
1134KHz
1242KHz
1422KHz

2200の調整の注意点
目盛り合わせのみは比較的簡単に行なえます、慣れれば測定器無しでもOKです。
ただクーガ2200はバー(μ)アンテナのQが高い事、更にRF段がFETである事 この相乗効果で、
この回路の実効Qが高く(5900などに比べ)、トラッキングエラーがある場合、感度が急に悪くなります。
目盛り合わせをしたらトラッキング調整も必須です。
クーガ2200はSWも含めトラッキング調整を真面目にしないと感度は悪いし、イメージだらけの受信機になります。
短波のトラッキング調整は簡単なようで、意外と難しいです。
調整後 125KHzマーカーをONにして Sメーターがフルスケール近くまで振れないと、
そのバンドは調整が狂っている可能性があります。


クーガ2200の修理体験記

ICF-5900メインダイアルの校正例

周波数直読機の肝心な部分は読み取り精度で、メインダイアルの校正も慎重に行う必要があります。
でも 全ての周波数でぴったりとは行きません。
調整すると全部ぴたりと合うと誤解している人もいるようですが、量産品にそこまで要求するのは無理です。
マーカーは250KHzですから、隣のマーカーと間違うと250KHz違った周波数と読み違います。
したがってこの間違いが起こらない程度にあわせるのが現実的です。
下記にSW1における調整後の写真を示します。
4MHzの部分がずれが多いです、この部分だけ気をつければ、他はほぼ目盛りの線の範囲に入ります。
SW2 SW3もほぼ同じ傾向で周波数の一番低い部分は目盛りから多少ずれます。
これは見間違いが少なくなるように、調整した結果です。


確認は1MHzのマーカー発振器を隣において実施。
どちらもIF周波数10.67MHzのものです。
左 33527 裏の小窓なしタイプ(生産初期のもの)。
右 167401 小窓つき(前期タイプの終わり頃のもの)。

製造番号33527(IF:10.67MHz) 製造番号167401(IF:10.67MHz)
4MHz
5MHz
6MHz
7MHz
8MHz
9MHz
10MHz

写真でもわかるように微妙に違います。
個体差が当然ありますので、あまり難しく考えないほうが良いです。
ラジオ工房の「BCLラジオの動作確認法」にも同種の記載がありますのでご覧ください。

5900の調整の注意点
目盛り合わせは意外と難しいく、測定器無しでは不可能です。
特にサブダイアルの調整は注意が必要です。
メーカーのサービスマニュアルどおりの調整ではオリジナルの性能が発揮できないこともあります。
原因は経年変化で部品(特にフイルター)の定数が変化したためで、個体差にあわせて調整することが必須です。
これを無視するとサブダイアルの+側で感度が極端に落ちることがあります。
スカイセンサー5900はトラッキング調整による感度の向上は2200ほどではありません。
サブダイアルの調整は終了後 +140 +100 +50 0 −50 −100 −140のポイントで周波数を再確認しています。
全ての周波数で±0が理想です、悪いポイントでも±3未満でないと誤差が気になります、±5程度だと直読とは言えない状態になります。
(IFの帯域がありますので、±2は誤差の範囲とも言えます)


最後に
古いラジオの修理はメーカーからの部品の供給がありませんので、同じ機種のラジオから部品を外して利用したり、
代用可能な部品を探したりして修理します。
必ずしも純正品ではありません、カスタムICなど入手できないこともあります。
受信機能は新品に近く復旧できますが、電源関係は部品の補給の関係で修理できません。
新品より必ず劣化しています、ACで使用する時には火災予防に十分注意ください。
安全性の保証は出来ません。

2007年11月15日
2009年8月25日:3,384
2012年12月6日:10,548 画像リンク切れ修正
2014年6月28日:13,097





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