BCLラジオの修理体験記 プロシード2600

短波が全く受信できない2600(2019年12月21日)

FMとMWは正常に受信できるのですが、短波が全く受信できない。
SWを受信してみると、MWからSW1に切り替えた時 一瞬雑音が聞こえるが後は無音になる。
別のICF−2001Dでモニターしてみても第2局発の信号がモニターできない。
原因は これと見当をつけて処置をします。





短波が受信できない原因は第2局発回路の不具合です。
この部分はMWの第一局発と兼用になっています。
専用のOSCをTRで切り替える方式です。

回路図から 推定するに この制御線が問題らしいと判りました。
さらに基板を追いかけてゆくと、大きな基板を縦横に引き回されています。
追跡してゆくと この一部に傷があり この部分が不通になっていました。

と 書けば簡単ですが、実は原因と場所を見つけるのは大変です。
この機種の 基本を理解していないと見つけられません。



細く青い線がジャンパーです、パターン側で半田付けが難しいのでこのようにしました。
さらに制御回路のTRも交換しました、何故か不具合になっていました。



疑問

このラジオは不思議なことに 内部で使われているネジの一部に錆があるのです。
でも 電池BOXに液漏れの痕跡は有りません。
それと組み立て方が 怪しいのです、もしかして素人が分解したらしい。
ダイアル機構のアースのとり方が違うのです。
さらにネジも内部のねじが1本不足していたので おなじ形のものを探して組み込みました。
分解した人が 別のネジを組み込んだと考えると合理的。 それと さらに不思議なことにケースを固定する6本のネジが見たことも無いものが使われているのです。
これも分解した方が 準備したのかも知れません。
なんとなく 径が太いので 無理に閉めるとボスを壊しそうなので 分解した時は注意が必要です。
画像 参照ください。

ボス5箇所は加工済みなのか 太いネジでも大丈夫でした、1箇所のみ駄目。




なおこの故障は経験が無いと見つけるのが至難です、何しろ基板が2層式で 配線を辿るのが難しいのです。


感度の猛烈に悪い2600の修理その2 (2018年5月21日)

猛烈に感度が悪い2600の修理をまた引き受けてしまいました。
MWは何とか回復したのですが、短波が殆ど受信できないのです。
いろいろやっても解決しません。
よく基板面を見るとトランジスターが 全部 一度取り外された形跡があります。
おそらく取り外して増幅率の確認をしたのでしょう。
あちこち弄り回して、解決できずに転売したと思われる状況です。

この機種はチップ部品が混在して使われているので、調べるのも大変なのです。
引き受けるのをやめればよかったのですが、途中で気が付いても遅いです。

散々 苦労の末 やっと修理しました。
1週間近く対策にかかりました。
根本原因は公表しません、とんでもない部品の不良でした。
コイルやトリマまであらゆる部品が弄り回されているので こんなジャンクを単純に引き受けたことに反省しきりです。



丸印部分がトランジスター部分。


感度の猛烈に悪い2600の修理(2015年4月24日)

知人からもらったラジオが猛烈に感度が悪いので聞いてみたら 知人は1万円でBCLラジオを修理するところに出したとのこと。
どうもOLI技研にお願いしたらしいようで 以前当方でBCLラジオの修理経験の有る持ち主から 回ってきました。
久しぶりに 怪しい作品に巡りあいました。
昔のようにOLI技研のシールはありません。
MWはほぼ正常ですが SWが悪いです、SSGから60dBの信号を入れて受信できるレベルです。
正常の2600に比べ数十dB感度が悪いです(300分の1くらい)。
外部アンテナを接続しても変化なしとの情報もあるので そのあたりを重点的に調べました。
確かに アンテナを接続してもSメーターに変化ありません。

まずRF増幅のFETのゲートにテスターリードを触れるとSメーターが大きく振れるのです。
ということはこの部分以降は正常に動作しています。

更に調べるために 分解して ダイアルメカを取り外し 基板だけにした物が下記画像です。
外部アンテナは画像も右上 丸印の部分に接続されます。

どうもランプの交換をしたようで 分解した形跡は有ります、この時の分解で壊した可能性も0ではありませんが 自然故障の可能性が高いです。


RF用FETの場所は上段 中央やや左よりの部分にあります(○印で図示)。
SWの場合 外部アンテナ端子から FETのG端子まで接続(直結)されるはずです。
ところが テスターで測定すると 2Ωくらいの抵抗値を示すのです。
実は最初導通ありでOKと思ったのですが、改善しないし 様子が変なので 
テスターの最低レンジで測定してやっと上記の値が判りました。
まさかと思って 実は何度も繰り返して測定してしまいました。

この部分は同調コイルが接続されているので、その抵抗値も合成される為、
切り分けが嫌らしい部分はあります。
念のため FETのGとアースにLCメーターを接続してインダクタンスを測定してみましたが、
バンド切り替えで 正常に動作していることも確認できました。

上記現象から見て
パターンが一部抵抗になっているようなので この部分をジャンパー線で結んで解決です。
これで正常に受信できるようになりました。
このような不思議な故障は初めです。

このラジオは製造時期が比較的新しいので 新たな製造技術が使われていて、
今までの延長線上の修理方法では 難しい部分があるようです。
ラジオ日経6115KH『を受信しているところ。
なお 確認したところ ダイアル目盛は校正してありましたが、トラッキング調整はされていませんでした。
1万円の修理代ではこの程度なのか、 でもMW FMは正常に受信していました。
短波の感度は300分の1くらいで極端に悪かったです。



ラジオ日経6055KHzを受信しているところ。

修理完了後 これほど感度が悪い時はすぐ気がつくはずなのですが 不思議ですね。
短波の感度試験さへしないのでしょうか?。


2600の修理 その1

当初修理依頼をいただいたのですが、時間が取れないのでお断りしました。
その時の状況は

1.FMは感度はまずまずですが、メインダイアルとデジタルとのズレが+0.8MHz程度。
2.MWは、感度が悪く(調整済みのRF-2200と比較して)メインダイアルとデジタルとのズレが+2KHz程度。
3.SW1は、7190KHzで中国国際放送を受信(感度はまずまず)してメインダイアルとデジタル
とのズレが-0.4MHz。
4.SW2は、受信確認なしですが、メインダイアルとデジタルとのズレが-0.6MHz。
5.SW3は、受信確認なしですが、メインダイアルとデジタルとのズレが   少々。
6.SW4は、受信確認なしですが、メインダイアルとデジタルとのズレが少々。
7.その他 BFOとBANDWIDTHの切り替えスイッチが少し堅い感じです。

            

インターネットで修理を引き受けている方に依頼

        ↓

1.FMの感度は、修理前より若干改善、メインダイアルとデジタルとのズレが-0.2MHz程度。
2.MWは、感度あまり変化なし?、メインダイアルとデジタルとのズレはほぼ解消。
3.SW1は、7190KHzで中国国際放送を受信して感度悪化(メータが不安定)、メインダイアルとデジタル
とのズレがほぼ解消。
4.以下SW2〜SW4は、メインダイアルとデジタルとのズレがほぼ解消、感度はあまり変化無し

        ↓

どうしても満足できないとのことで 再度当方に依頼がありました。

まず受信してみると、確かにMWの感度が悪いようです。
測定器で実測したわけではありません、勘です。
我が家の工作室は電界強度が弱いので、1422KHzのJORFを受信するとおおよその性能が判断できます。
さらにSW1を受信してみると10MHz付近は受信できますが、6や4MHz付近はあまりに静かです。
殆ど受信できないといった状況です、これでは不満でしょうね。
詳細な(感度)試験成績表までつけて修理して有りますので、問題は無いはずなのですが・・。


とにかく分解して調べてみることにしました。

まずMWです。
バ-アンテナのコイルのQが劣化していたので5800のコイルを流用したそうです。


確かに5800のコイルがつけてありました。


問題はコイルのインダクタンスで、5800と2600ではバリコンの容量が違います。
5800のバリコンのほうが容量が小さいのです、このためコイルは逆にインダクタンスが多くなっています。
そのままでは互換性はありません。
使うには巻数を少なくする改造が必要です。

当初 低い方と、高い方のトラッキングが取れなかったのですが、
コイルの巻数をカットアンドトライで順次減少させ、ほぼ満足できるところまで追い込みました。
ただ完全かと言うと、多少疑問が残ります。
もう少し追求したいところですが、時間の関係で諦めました。

別に問題が残っている感じもします。
この機種はなぜかバリコンの不良が多発するので、あるいはバリコンの劣化があるのかもしれません?。

SW1〜SW4までトラッキング調整をしました。
この部分は調整済みのはずですが、再調整すると飛躍的に感度が良くなりましたので、前回は目盛りあわせのみやったのかもしれません。
IFの調整は再調整しても変化無でした、真面目にやってあるようでした。


完成後の受信状況。
ラジオ日経を電池動作で受信中。
屋外なので、デジタル表示が暗い。

終了後の感想

到着時のSW1の感度の悪さは信じられないほどでした、なぜここまで悪かったのかは謎です。
修理報告には詳細な調整と感度測定データも添付されています、何か不思議な感じもします。
数値は明確に書かれています。
ループアンテナで測定したと読み取れますが、これは普通MWで使われる方法です。
短波での測定方法も同じなのか具体的に記載されていませんので、検証出来ませんでした。
感度試験の方法が間違っているのか、修理途中での測定で、その後不具合になったかのどちらかでしょう。
実際の使用方法に近い形で測定した方が良いでしょう、そうしないと今回のような思わぬ落とし穴に落ち、測定データーも自己満足に終わります。
あるいは 当方で見落とした原因があるのかもしれません。

ダイアルは標準に合せた印刷目盛りですから、機器の個体差で多少狂います、温度でも動きます、あまり神経質にならない方が良いでしょう。
クーガ2200に比べ、こちらの方がアナログ目盛りはアバウトです。
目盛りの狂いに神経を使うと、肝心の感度が忘れられ、受信できないラジオになってしまいます。
前回修理したかたも苦労したのだと思います。


もう少し原因を追求したいところですが、当方の時間的制約で諦めました。
この機種は結構大変なので、落ち着いた時に時間をかけて修理したかったので、一旦お断りしたのですが・・、
この為 依頼者にはとんだ負担をかけてしまいました。

2008年5月5日
BCLラジオの修理をご希望の方はラジオ修理工房をご覧ください、メールには住所 氏名をお忘れなく。

バリコン不良の2600(2013年11月1日)

プロシード2600 バリコンの固着 fm 78、7mhz 付近で固着 cross fm専用になっています。
スピーカーはパイオニアの 8 オーム タイプに取り替えてます。
また、バリコンは日立パディスコとナショナル モノラルラジカセの類似型のぽりバリコンを2個用意しています
これでもかまいませんから修理していただけないでしようか。 

到着したので分解してみると 確かにスピーカーが交換されています。


今回の不具合個所のバリコン付近。


バリコンを外したところです。




分解してみると非常に珍しい故障でした。
この機種に使われているポリバリコンはポリエチレンフイルムが駄目なことが多いのですが、
今回はフイルムは正常です。
カバーを外してよく見ると 軸は動くのですが、羽根が固着しています。
AM FMともに動きません。


代わりのバリコンを探して組み込みました。
必要なものは下記の条件が必要です。
@最大容量が同じ
A容量変化曲線が同じ
B取り付け寸法が同じで 軸の形と長さも同じ
C端子のだし方が同じ

同封されていたものはmax90PF 150PFのFM AM1バンド用で外形が似ていても 勿論使えません。
多バンド用のバリコンは280PFか340PF等容量バリコンが必要です。
ちなみにICF−5800:280PF、ICFー5900は340PFです。
今回準備できたものはCがほんの少し違うだけなので 配線の工夫で組み込みました。
どうも自分で相当分解したらしく ネジの使い方が無茶苦茶になっていました。
下記画像の部分はダイアル機構の金属部分をアースするための配線です。
間違えて接続してありましたので 正しくしてあります。
ただ ネジが2本足りません。
ダイアル機構を固定するねじが3本必要なのに2本しかありません。
もう1個は基板固定用のネジです。




ラジオ日経を受信しているところ。
なお素人整備の副作用として ネジ穴が馬鹿になっています。
特にアンテナを固定する部分のネジ穴が駄目なので、
感度が悪いと感じたら この部分を確認してください。
ロッドアンテナ 外部アンテナ 双方に悪影響があります
この部分はラジオとアンテナを接続する部分です、最悪半田つけした方が良いかも。

感度試験もして大丈夫です。


その2(2013年8月9日

中波が全く受信できない故障です、SWは辛うじて受信できますが、カウンター表示と2MHzのずれがあります。
しかし SWが曲りなりに受信できて MWのJOAKスラ受信できないのは非常に珍しいです。



2600は2800に比べ 非常に合理化されています。
2800が3枚の基板にわかれていたのに1枚の基板にまとめられています。
機能はこちらの方が多いのですが、IC化が進んで コンパクトにまとめられています。
しかし チップ部品が使われているので 修理出来ないことがあります。



カウンターがMWでは正常に働きますので 局発は正常と判断しました。
信号の通り道を中心に 回路を追いかけてゆくと 部品の電圧に異常が見つかりました。
この部品の不良が原因でした、部品名はあえて伏せておきます。
見つけるのに結構苦労しました。
部品を交換すると すべて正常に動作するようになりました。
ただこの機種は調整が嫌らしいです。
2800の調整に比べ 数倍の時間がかかります。
治具を作ると簡単なのですが、そこまでこの機種の修理依頼は有りませんので ・・。
とにかく アナログの周波数表示目盛合わせに苦労します。
一旦組み込んで周波数を1個所合わせ 次にまた分解するという繰り返しなのです。
組み込んだ状態でないと アナログ目盛は確認できず、組み込んだ状態だと調整できないのです。

このラジオはアンテナが折れていますので 先端に社外品を組み込みました。
少し長いのですが 実用的には使えるでしょう。


以下は最近のBCLラジオの修理についてのコピーです。

プロシード2600のバリコン不良(2009年7月24日)

内容は修理の依頼をお願いしたいのですが、現在 ナショナルのプロシード RF-2600を愛用していますが、
チューニングダイアルの?接触が悪く、中波と短波が時々選局しません。
FMは問題なくクリアに入ります。また、チューニングダイアルのアナログのメモリとデジタルで表示される周波数にズレがあります。
修理は可能でしょうか? 回答よろしくお願いします。
ちなみに、このラジオはヤフーのオークションで完動品を落札したのですが、2日目でこのようなトラブルになりました。

受信してみると、確かに変です。
MWの文化放送やラジオ日本は受信できますが、低い周波数は受信できません。
完動品とはとても言える状態ではありません。

分解して、MWの発振周波数をオシロで確認すると、受信できない部分は発振を停止します。
バリコンの不良は間違いないところです。



取り外したバリコンです。
ミツミのPVC22K20T−5です。
このタイプのバリコンはRF−2800にも使われています。
写真で見て判るように、フイルムが粉状になっています。
絶縁不良で、発振停止したのでしょう。

実は今までに数台同じような現象が2800でありました。
2600では初めてです。
この型番のポリエチレンフイルムが変質しやすいとは考えにくいので、
ラジオを組み立てた時の洗浄剤か何かの悪影響で変質したのではと想像されます。

同じ型番のポリバリコンは入手できませんので、交換は大変です。

@最大容量が同じ
A容量変化曲線が同じ
B取り付け寸法が同じ
C端子のだし方が同じ

条件は最後のCが最大の問題です、どこかで妥協して、加工して組み立てることになります。
ポリバリコンは新品で1000個くらい手持ちが有りますが、捜すのが意外と大変です。


バリコンを組み込み終わって、これで修理完了です。
アナログ目盛りとどの程度合致するか。
ほぼ問題ない範囲に収まりました、やれやれです。

4MHz
5MHz
6MHz
7MHz
8MHz
9MHz
10MHz


 この修理体験記は下手な文章で故障状況をまとめたものです。
このページは修理方法の教科書ではありません、読んだだけで修理できると誤解しないでください。
修理した台数の積み重ねがノウハウとなります、このページを見て修理出来ないと言われても心外です。
当方はメーカーのサービス機関でもありません、ラジオ大好きおじさんにすぎません。
さらに最後の仕上げは心を込めて調整しています、この部分を省略するプロも多いです、ご用心。
サービスマニュアルを熟読して挑戦してください。
 

2013年8月9日:3768
2013年10月26日:4,505
2013年11月1日:4,518
2015年4月24日:6,041 
2018年5月21日:10,416
2019年12月21日:12,286

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