真空管ラジオの修理 サンヨー5球スーパー SS−48の修理体験記

サンヨーのSS−48が修理にやってきました。
自分で修理したが、未解決の部分が残るとの事です。
○症状:
・ハム音がある。
・音が割れる(特に「さ・し・す・せ・そ」の音の割れが顕著)
○自分で手入れした箇所:
(*入手時点では部品交換等の修理跡は見られない)
・不良コンデンサーの取り替え
・真空管の交換
・ACコードの取り替え
・外装


外観は素晴らしいです、これは依頼主が手入れをうまくやったせいでしょう、
近くに住んでいれば自分もお願いしたいくらいです。



シャーシを取り出したところ。

不思議なことにB電圧がメーカー製のラジオとしては異常に高いのです。
280Vくらい有ります、ヒーターも7V近いです。
ヒューズの位置を確認しても100Vの位置で正常です。
とりあえず110Vの位置で使用することにしました。
こうするとヒーター電圧は正常に、B電圧も多少低くなりました。

ただラジオ貼付の回路図には電圧が記入されていませんでしたが、
無線と実験 28年4月号の回路図では270Vとなっていますので、
上記280Vも異常ではなさそうです。
そうだとすると、ヒーター電圧の高さの説明は?。


修理前のシャーシ内部。
42の第1グリットに数V直流電圧が出ていました。
結合コンデンサーのリークです。
このリークはテスターの抵抗計で測定しても無理です。
テスターを100V以上のレンジにして、電圧を測定、
針が少しでも動いたら不合格とお考えください。
理由はテスターの内部抵抗です。
厳密に測ろうとして、測定レンジを低くしたら駄目です。
内部抵抗に電流が流れて、実際の電圧が測定できません。

ここは電圧が何Vあるかが問題ではなく、少しでもあれば駄目なのです。



たいしたところでは有りませんが、音質調整用のVRの配線が間違っていました。
本来はVRの中点に接続すべきです。80HK
修理完了したシャーシ内部。
ペーパーコンデンサーは2個を除いて交換しました。
42のプレート回路と6D6のカソード回路のコンデンサーは交換しませんでした。
ケミコンも最初はオリジナルのままとしましたが、
やはりハムが多いようなので、315V 22μFを80HKのカソードにいれ、
元この位置にあった10μFは抵抗の先の20μFと合体させました。

従来 10 20 今回 22 30になります。
入り側を大きくするとハムはさらに減りますが、整流管のことを考え、この程度としました。



修理完了時のシャーシ上部。
ダンボールはトランスの上のヒューズホルダーを保護するためです。
真空管は試験用の代用真空管が挿入されています。


本来の真空管に交換、IFTの調整をしました。
全数 富士山型のピークがありますので、見かけは悪いですが、IFTは大丈夫のようです。
ただコイル(アンテナ 発振)コイルともコア無しですから、トラッキング調整が難しかったです。
目盛りも完全には合っていません、感度が出来るだけ良いように調整しておきました。

スピーカーも交換したかったのですが、取り付け穴が3つ穴の特殊なスピーカーのため、交換できませんでした。
実際使ってみると大丈夫のようです。
もう1台予備機をお持ちのようですから、ご不満なら自分で交換してみてください。

 ラジオの修理を自分でやる方は このホームページの他真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。
不明な点はラジオ工房掲示板に実名で投稿ください、修理ノウハウの提供は無償です。
初歩的なことでも結構です、ただし他人が解るように書いてください(神様や占い師にするような経緯を省略した質問は返事不能です)。

当方に依頼される方はラジオ修理工房をご覧ください、こちらは有償です。
 


2005年1月7日 20:38:22

2005年8月16日移転

2006年6月24日移転

2006年6月26日

修理のノウハウは「真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!」をご覧ください。




ラジオ工房修理メモ

radiokobo-all