GT管 RF増幅付スーパー (二村さん作成)

ラジオ工房掲示板で話題になっていたスーパーです。
どうも理解し難い現象なのと、ラジオ少年製IFTを使用ということで、現物を見せていただく事にしました。
当方の興味で調べることなので、当然費用は 無料です。

 ラジオの修理を自分でやる方は このホームページの他真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。
不明な点はラジオ工房掲示板に実名で投稿ください、修理ノウハウの提供は無償です。
初歩的なことでも結構です、ただし他人が解るように書いてください(神様や占い師にするような経緯を省略した質問は返事不能です)。

当方に依頼される方はラジオ修理工房をご覧ください、こちらは有償です。
 



見事に組み立てられています。
特にバリコンの取り付けが素晴らしい。

IFTは「ラジオ少年」製の新品。
コイルはミズホの高1コイルを利用。
但し管理人はこのコイルを使ったことはありません。
個人的見解としては多少無理があるのでは?という感じです。


シャーシ内部の配線の様子。


まず通電する前に配線に間違いないか追いかけることにしました。

そうすると、6SK7の配線にミスが見つかりました。
G1の配線がカソードに接続され、G3に信号が入れられています。
G1とG3の配線が入れ違っているわけです。
作成者に聞いてみたら配線図通りとのこと、確かに配線図はその通りでした。

配線図を見ずに 現物だけで回路を追いかけていたので、判ったわけで、
もし回路図どおりかと確認していたら発見が遅れたでしょう、幸運でした。


RF IFとも入れ違っていましたので修正したら正常に受信できるようになりました。


それとIFTの調整をしてみました、これはどれでけ狂っているか知りたかったからです。
コイルが4箇ありますから調整箇所は4です。
このうち3箇所はコアの半回転程度で455KHzに合いましたが、初段の上側のコアは数回 
回さないと455KHzになりませんでした。
調整すると約20dB(10倍)くらい感度が良くなりました。
今回のサンプルは出来たままの製品で、未調整の可能性がある。

まとめ
@書籍には誤植があります、全て信用するのは危険です。
 
正誤表を準備して欲しいところです。
Aラジオ少年製のIFTは組み立て状態での調整はされていないようです。
 物の本にある「IFTのコアは半回転以上回さない云々」は通用しません。
 オシレーターを準備して455KHzに調整することをお勧めします。

 (初心者が組み立てても楽に完成するよう 調整済みで出荷を希望します)

まるごと真空管百科 92ページの回路図。
作成者はこの回路図を基本に 手書きの回路図のように一部修正して組み立てたそうです。



は誤植部分。
正しくはG1は4ピン G3は3ピン。

この回路図は実物の写真と比べても違いがあるようですが、それとは別に6SK7のピン番号に誤植があります。
G1は4番ピン G3は3番ピンが正しいです(別のページでは正しく表示されています)。


上記回路図をベースに下記のように変更して組み立てたもの。

今回は受信できたので 調査は終わりにしました。
ただRF付スーパーとして正常に動作しているかと言われれば否です。
以下は今後追及していただくことで返却しました。
@特定の周波数で発振する。
AAVCの電圧が異常である。
BRF無しでもトラッキング調整はやってありません。
CRFのトラッキングはやっていない等。


改良後

掲示板で皆さんの意見もいれて改良。
@コイルの組み込み角度を変更。
AバリコンのセクションをANT OSC RFの順に組み替えた。→発振防止にこれが効果的だった。
Bトラッキング調整

RFコイルのアース端子をAVC回路から切り離し 
試験する為コンデンサーと抵抗が空中配線で残っています。



ICF−2001Dで局部発振周波数をモニターすると、
993〜2550KHzの間で発振していることがわかった。
IFTは前回 455KHzに調整済みなので、
結果的に538〜2095KHzが受信できることになる。
一方DIPメーターでANTコイルやRFの共振周波数を測定してみると、
おおよそ470〜1350や450〜1250KHzになる(相当アバウトな値)。
これでは全くトラッキングが取れないし、同調時なんとなく感触が悪い。

原因は容量の少ないVCバリコン用のコイルを使った為らしい。

バリコンの最大容量を測定してみた、シャーシから外せないので、空中に支えてQメーターで測定した。
380PF程度あるらしい事がわかった。
ANTコイルとOSCコイルは 取り外して 測定した。
トリマも配線を一部外した。

ANTコイルを取り外して、
測定してみると260μHzある。
430PF用の場合は210μH程度。
念のためトリマを測定してみると最大35PFらしい OSCコイル:105μH
これは430PF VC用のコイルに間違いない

RF増幅付スーパーでトラッキングの取れていないものは、
5球スーパーより感度が悪いので、何とか工夫する必要があります。
コイルを交換するか改造すればよいのですが、そこまでやると大変なので、
同調回路(ANT RF)の可変範囲に合わせて局部発振の可変範囲を調整することにしました。
結果的に500〜1700KHzが受信できるようになりました。
ただ完全にトラッキングは取れていませんが、ほぼ実用になる範囲に追い込めたと思います。

部品を寄せ集めてRF増幅付スーパーを組み立てるのは、難しいです。
これは規格がバラバラである為で、回路図どおり組み立てても正常に動作しないことが多いです。
普通に作ると高周波減衰器付6球スーパーになりかねません。
部品を集める時は規格に注意しましょう。

新品のIFTも調整済みとは限りません、特に今回使用の物は狂いが激しかったです。


市販のキットを組み立てて苦労している方 仕上げ 調整を引き受けます。
今回の作業をやってみて、測定器や経験無しでやるのは困難と思いました。
メーカー製のラジオを修理するより、数倍難しいです。
組み立てたが 性能が出ない場合など相談ください。



2007年10月3日
2007年10月10日:277

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