八重洲 FRG-7の修理体験記  

久しぶりにFRG−7の修理に挑戦しました。
非常に外観の綺麗な機械です。
オーナーからの依頼は
「先日、オークションで落札したものですが、快調に動作しておりましたが、若干
のボリュームのガリが気になり、接点復活剤なるものを吹きかけたのですが、誤
って、メインダイアル?のバリコンに大量に吹きかけてしまいました。(口が逆
さまになっていたようです)
すると、正確に読み取っていたメインダイアルの表示が相当ずれて直りません。
(FENが590程で入ってしまいます。)」

外観は綺麗です。


早速通電しました。
感度が極端に低いです。
JOAKが何とか受信できると言う惨状です。
メインダイアル部分の調整をしました。
ここは2455から3455KHzを発振しています。
周波数を測定してみると可変範囲が100KHz以上広いようです。
無理やり高い方の周波数を合わせると、低い方が当然合いません。

また同調に粘りがあるような感触です。
それも2箇所(10〜20KHz離調)で同調しているような感触があります。
こう言う経験は初めてです。

とにかくJOKR(954)が受信できるよう局発を調整し、
トラッキング調整をやってみました。
驚くほど感度が良くなりました。
でも逆に何か変です。
@局発のコア-はほとんど抜いた状態。
(こんな筈は無い?)
Aトラッキングがずれているのは可笑しい。
(さわっていないといわれている)

現在の不良箇所推定はバリコンの容量が変になっている???。
(以上 第1日目)


状況証拠からバリコンの容量が増加したとしか考えられないので、
苦労してバリコンのモジュールを取り外しました。
(これは真似をしないように、元に戻せなくなる可能性があります)
測定してみると345PFあります。
3連の各セクション全て同じ容量です。
回路図に書かれた容量は320PFですから10%程度容量が増加しています。
これで目盛りが合わぬ、感度が低い 全てが説明できます。
バリコンの羽根に接点復活材が大量にかかったと言うことで、
接点復活材が誘電体として働いているのでしょうか。
ポリバリコンならぬ「接点復活材バリコン」になったようです。
目盛りをあわせる大事なバリコンなので、替わりはありません。
仕方なくスチームクリーナーで洗ってみることにしました。
上手く行くと良いのですが、???。
ところが 洗っただけでは上手く落ちません。
油球みたいなものが羽根にこびりついています。
仕方なく紙などで丁寧に間を掃除しました。
最後は乾燥です。
Qは乾いてみないと分かりません?。
(以上 2日目)

1日経過して乾燥してきたのでQメーターで再度容量を測定してみました。
残念ながら 最大容量は同じでした、さあ大変です。
原因がわからなくなりました。
Qは大丈夫でした。

仕方なく自分のFRG-7を持ちだして分解し、バリコンの容量を測定してみました。
最大容量は同じでした。
という事は最大容量が増加したと考えたのは間違いだった事になります。
メインバリコンの使い方として、上下にそれぞれ10%程度の余裕があります。
(あるいは取説の320PFはこれか?)
あるいはこの間の容量が変わったのでしょうか?。
しかたがありません、とりあえず組み込むことにしました。

組み込み前にギアにグリスアップ、
元通り慎重に組み込みました。




ドラムダイアル メーターをつけて完了。
何故かメーターにケミコンがついています。
メータが激しく浮動しないように誰かがつけたのでしょう。
(これはこのままに)


正規の位置に取り付けて校正しました。
なんと上手く調整できます。
何故でしょう??。
上下10%を除いた部分で容量が変だったのでしょうか?。
最大容量しか測定していなかったのは失敗でした。
「結果よければ全て善し」と考えることにしました。
第2IF プりセレクター等の調整をしたら見違えるように感度が良くなりました。
目出度し目出度し!。
しかし不思議な故障でした。


無事完成し、6,055KHzを受信しているところ。



なお今回のFRG−7は外観の綺麗さと依頼主の熱意でつい挑戦してしまいました。
本当なら お返しすべきラジオかもしれません。
下記の如く 接点復活材をロータリースイッチにかけるのは止めましょう。
自分は何回か酷い目に会っています。
TRラジオなので電圧が低く、何とか動作しますが、これが真空管ラジオだったらまず駄目でしょう。


ロータリースイッチに接点復活材らしいものが大量にかけられている。
これを見ると残念ながら力が抜けてきます。
修理しようと言う気力が無くなるのです。
ロータリースイッチに接点復活材をかけてはいけません。
どうもペークにしみ込んで絶縁不良になり、
火花が飛んで酷いことになった経験があります。



もう一つのスイッチについても同じ。

FRG−7の修理その2


FRG−7は3台修理しましたが、内2台は改造機でした。
メーカー製の機器を改造する記事は困ったものです。
改造の利点の一面だけを強調した無責任な改造記事で困った人が多かったのでは無いでしょうか。
今回修理した機器は幸い動作していましたが、以前修理した物はパターン切れで修理不能とメーカーからも返されてきたものでした。
メーカー製の受信機はバランスが取れた設計がされていると考えた方が良いでしょう。
選択度を無理に向上させても安定度が問題になります。
無意味な改造は止めましょう。

今回感度試験もしてみました。
JRCのSSGで行いましたが、校正が正確ではありませんので、絶対値はやめて、スカイセンサー5900と比べてみました。
27MHz帯で確認したのですが、FRG−7の方が少し良いようでした。
でもこれは固体差程度です。

一方周波数読み取り精度を比べてみました。
FRG−7はマーカーが無いので、4MHzを基準に合わせ、後はダイアルの目盛りと実周波数を比べてみました。
比較機はクーガ2200です。

なおFRG−7は0KHzと1000KHzもメインダイアルを両端で予め校正済。
クーガ2200は4MHzと8MHzの両端で校正済。

目盛り (KHz) 4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700 4800 4900 5000 6000 7000 8000
実周波数 (KHz) 4000 4100 4200 4300 4405 4510 4610 4715 4807 4902 5000 - - -
参考(クーガ2200) 4000 4103 4203 4300 4400 4500 4600 4700 4800 4900 5000 6040 7040 8000


これから見ると10(5)KHzを読むには125と500KHzのマーカーが有効なことが分ります。
FRG−7には目盛りの調整機構があるので、100KHz程度のマーカーを準備すべきでしょう。
この数値は それぞれ1台だけの比較ですから、絶対的ではありません、誤解の無いように。

こんな測定を始めたのはJOAKを受信した場合、594KHzでは無くて、
目盛りでは580KHz付近で受信できるので、なんとなく気になった為です。
FRG−7の場合、MHz部分は水晶発振に同期しているので、正確です。
バリコンを使った、VFO部分(メインダイアル)が読み取り精度に影響します。
この校正をいかに正確にするかが大事です。

こんな訳で7MHzでも27MHzでも目盛りと実際の周波数とはメインダイアルの中頃では、
スタート部分(0KHz)をあわせても、15KHz程度の誤差があります。
思ったより正確と言えるかもしれません。



セラミックフイルターが空中配線で取り付けられている。
まるでブランコです。



ブランコ状態で危険なので、結束バンド2本で軽く留めた。
またビニール線の接続部分が剥き出しだったので、
ビニールテープで絶縁した。

FRG−7の修理
数年ぶりに首記ラジオの修理をしました。
この機種は回路図(厳密には違うバージョンの回路図)は有るのですが、サービスマニュアルがありません。
殆ど無音状態ということで、調査を始めました。





数年前修理しただけで、詳細な記憶はありません。
アンテナ入り口から出力段まで追いかけてゆく事にしました。
VRの端子に音声信号を入れるとスピーカーから音が出ます。
AF部分は活きているようです。

@Sメーターは全く振れません。
A雑音も含め殆ど音がでません、ただこの機種は内部雑音が低いので、無音に近いと言っても故障と即断するのは危険です。

写真の下側の基板がRF部分(局発 第1IFなど)
写真上側の基板が第2IF 検波 AF 電源。

RF IF部分の安定化電源が壊れているのではと疑い、試験しましたが 大丈夫でした。
この受信機は基板がいくつかに分かれていますが、大きなものはRF 第1IF部分(写真左下)と 第2IF AF 電源部分(写真右上)の2枚です。
両者の間はケーブルで接続されています。
この部分に第1 IFの信号(2MHz〜3)を入れてみたら、音声は出ません。
第2IFのブロックが壊れていることがわかりました。
これから先が実は大変でした。写真でわかる様に金属シャーシに基板が取り付けられています。
回路図とパターンを照合するのが実に大変なのです。
反対側から懐中電灯で照らしながら位置決めしてゆきます。




基板から多くのリード線が出ています、この為仮に外してみることが出来ません。
うかつに配線を外すと元に戻せなくなります。

保護用のレジストが塗ってあり、かつ部品が詰め込まれているので部品面とパターンの対比は一筋縄ではゆきません。

結局パターンをノートに書き取り、このパターンにどの部品が接続されているか調べます。
第2IFの信号経路を追いかけてゆくわけです。
当然ですが、全部のパターンを追いかけてゆくのは大変なので、狭い範囲に原因箇所を追い込んでからやりました。
したがってこの範囲と限定するのに経験が必要です。

パターンと部品の照合はICF−5900や5800クラスですと楽ですが、やって見ると判りますが簡単ではありません。




上記基板の部品面。
原因は抵抗の半田付け不良と思われます。
気持ちが悪いので、新品に交換しましたが、
取り外した抵抗は正常でした。


抵抗とトランジスターを取り外したところ。


取り外した抵抗。
よく見ると上のリード線が凄く奇麗です、半田で濡れていない感じがします。
(天ぷら半田 芋半田と呼ぶ現象と思われます)
パターン図があれば比較的簡単に切り分けできたのでしょうが、回路図(それもバージョン違い 少し異なる)と取説だけで修理に挑戦すると手間がかかります。
でも良い勉強になりました。
しかしこの機種で半田付け不良(芋半田)が有ろうとは!、想定外の故障でした。
でも依頼主が、「梱包して保管しておき、最近取り出したら、故障していた」と言う現象は説明できます。
新しいうちは、芋半田でも大丈夫だったのが、時間が経過したので、接触不良になったと考えれば理屈は合います。
肉眼ではとても見分けられない部分でした。



なお取説には調整要領が書いてあります、これも真面目に調整しておきました。
感度を測定しましたが、素晴しいです、我が家の測定器では信号が絞りきれ無いくらいでした。
5900や2200より大分感度は良いようです。

ただ操作性は良いとはとても言えません、面倒です。
@バンド切替SWとプリセレクターで大まかな位置決めをする。
AMHzツマミで受信周波数のMHzを選ぶ、この時LOCKの赤ランプが滅灯した位置で止める(どうも感覚的になじまない)。
BメインダイアルでKHz代の周波数を選ぶ。
Cプリセレクターで最高感度になる様に調整。
写真は6,115KHzのラジオ日経を受信中。


2002年8月31日
2002年9月1日
2002年9月2日
2003年1月3日 BCLラジオ修理についての記事をこちらにまとめました。

2006年6月26日
2006年7月7日
2012年5月9日:7,515 画像のリンク切れを修正

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