デザインがユニークなためか人気が有ります。
サンヨーのTRが使われています、同社のBCLラジオと基板が良く似ているので、
同じところで製造された可能性があります。
ファインチューニングがついています、
これは発振バリコンに小容量のバリコンをパラに接続した物、
周波数の高い方では効きますが、周波数の低い(バリコンの容量大)方では効きが悪いです。
FMとAMの回路がそれぞれ独立に準備され、しかも出力など切替無しで並列に接続されています。
SWの受信時FMの放送が同時に聞こえると故障修理で悩まされました。
あたかもバンド切替SWの不良(リークや絶縁不良)の如き現象です。
最初はリークを疑ったのですが、結果的には別の部品不良でした。
回路を追いかけてゆくとFM AM(MW SW)ともトランジスターのコレクターとエミッターは常時通電です。
検波回路の出力も、スイッチ経由で切り替えるのではなくて直結です。
FM とAMの切替は唯一 トランジスターのベース回路の電源ラインの切替だけです。
スイッチの接点の節約という意味では合理的な回路かも知れません。
今回はAMの受信が出来ない故障の修理完了直後に、「AMの受信がFMの混信で聞けない」が発生しました。
このラジオは基板が4枚に分割されています。
受信のメイン基板はダイアル部分との2階建て構造で、修理はすごく大変です。
基板にはシルク印刷されていて、回路を追いかけてゆくには良いのですが、
ダイアルメカを外さないとパターン面が見えないという致命的不都合があります。
「AMの受信がFMの混信で聞けない」故障はバンド切替スイッチのリークかと心配したのですが、
最終的には部品不良でAM FMの双方のベース回路に電圧が加わる故障でした。
解って見ると単純な故障でしたが、見つけるのに苦労しました。
おそらくFM AMの双方が独立した回路が組み込まれていて、
しかもFM AMの入出力の切替が無いラジオは非常に珍しいのではと思います。
他にこのような例を知りません。
修理や回路を追いかけてゆく時はシャーシから基板を切り離す必要があります。
ソニーの5800や5900も嫌らしい構造ですが、何しろ数が多いので修理する機会も多く、
慣れでカバーできますが、この日立の機種は珍品なので、悩まされました。
あまり修理したく無いラジオです。
ダイアルは動くが全く受信できないKH−2200の修理です。
引き受けるかどうか悩んだのですが、引き受けてしまいました。
結果的に 大変なことになりました。
返却まで 3週間以上かかりました、非常に珍しいです。
その間 急に九州に帰省するなどありましたが・・。
まず ダイアルで選局できないのはこの機種によくあるプーリーの欠損です。
プーリーの軸が プラスチッツクで出来ているので 折れやすいのです。
ある意味欠陥商品と云えるかも知れません。
日立がOEMで作らせたものでしょう、困ったことです。
プーリーそのものも紛失していますので、壊した人は判っているはずなのですが・・。
代わりに プーリーを準備しなくてはいけません。
分解したところ
保守性は非常に悪いです。
いろいろ考えた末 クーガ2200のダイアルメカからプーリーを抜き出すことにしました。
ダイアル駆動機構の 右上の部分を切り取ることに。
切り取り 直角部分を 平らにならし 穴あけ加工をします。
下記のような形になります。
これを 元の位置にくみ込みます、意外とこの固定が嫌らしかった。
最終的には画像と違う固定方法をとりました。
(最初はねじ止めだが、外れやすいので ビス ナットに変更した)
メイン基板のパターン面
動作させて見ると 不安定なのです。
消費電流も多いし 全体的に 動作が不安定です。
原因を調べるのと悪い部品を交換するのに3週間もかかってしまいました。
この機種は 資料が無いので 当然パターン図もありません。
怪しげな回路図があるのですが、今回の調査で間違いも見つかりました。
テクニカルマニュアルを持っていない機種の修理は大変ですね。
悪い部品を切り分けるために、パターンを切ったり、部品の半田を吸い取ったり 大変な時間がかかりました。
特に 回路が特殊で ソニーや松下の方式と全く異なるのです。
調査時間は5800の十五倍くらいの時間がかかってしまいました。
もうこりごりと言うほどの作業量でした、反省。
なお不良ICの代わりに 同じ名前のものを運よく入手出来たのですが、いざ組み込もうとすると寸法が違うのです。
これには 困りましたが 画像で示すようにパターン面に実装することで何とか組み込めました。
不良TRも見つけ交換しました。
背面からの画像
○印の内部はICが組み込まれていた場所です。
寸法が違うので こちら側に組み込めないのです。
(パターン面に組み込む)
プーリー破損 その2(2020年7月17日)
上記とおなじ現象のKH−2200です。
やはり 分解されていて プーリーの残骸はありませんでした。
この場所に組み込むプーリーは前回と同じRF−2200のダイアル機構から切り出して加工します。
ただ穴あけは意外と大変で 今回は何度か試行錯誤してやっと組み込めました。
ただ問題はSW1と3が発振しません。
OSC用のTRを交換するなどやりましたが、どうにもなりません。
この機種は 保守性が悪いので よく使うMW SW2 FMで我慢していただくことにしました。
原因は意外と単純と思われるのですが、追求するにはバラバラにする必要があり、
工数がかかるので ここで妥協しました。
ソニーのラジオは数も多いので 修理した台数も多いので分解も慣れているのですが、
日立(ただし これはどう見ても外注品です OEM品)は数が少ないので 経験が積めません。
サービス(テクニカル)マニュアルをお持ちでしたら お譲りください、コピーで結構です。
2018年10月19日:6,129
2020年7月17日:7,362
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