ビクターFR−6600の修理    

依頼主から
接触が悪いのか中波と短波の音声が出ません。キャリブレイションスイッチ、オーディオフィルター、
AFC/MW DX LOCAL、 BFOも利きません。

この機種は技術資料もありませんので、辞退したのですが、何とかと言うことで、とにかく挑戦してみることにしました。


裏蓋を外した、前面だけです、でも汚れが凄いです。

この機種はサービスマニュアルがありませんので、部品の配置から信号の流れを調査してゆく必要があります。

アンテナコイル 発振コイル IFT セラミックフイルター バリコンなどから推定してゆきます。
昔 修理したことを思い出しながら、ほぼ特定出来ました。
短波帯はダブルスーパーで第2IFは10.7MHzです。
第2OSCを可変させて10KHzを直読する仕掛けです。
この部分はソニーの5900と同じです。


黄色の線で囲った左側の部分は短波SW1〜4の第1局発(1OSC)です。
中央部分が第2局発(2OSC)。

中央左寄りにバリコンが見えます、
FMチューナー部分はバリコンの横にサブ基板で組んであります。



MW SWとFMは全て受信できるようになりました。
キャビネットに組み込んで調整です。
サブダイアルが緩くて固定できません。
どうも部品が無くなっているようです、コイルバネを作って固定しました。
ただ調整をしてゆくと、MW FMは大丈夫でしたが、SWのサブダイアルの校正が出来ません。
10.7MHz±130KHzに調整しようとしたのですが、あわせられません。
5900の場合、コイルのインダクタンス(コア)とトリマで両端の周波数を合わせることが出来ます。
ところが6600の場合、コイルと固定コンデンサーだけですので、両端をあわせるとすれば固定コンデンサーを交換する必要が有ります。
新品の時は部品の精度を上げればよかったのでしょうが、経年変化にこれでは対応できません。
それと短波の同調時 時計回りと 反時計回りで同調させるとメインダイアルの目盛りの位置が少し違います。
どうも様子が変です。

再度分解してみました。
どうもこのラジオは分解修理したか、改造した形跡があります。
ダイアル機構の固定ネジが緩い、セラミックフイルター(四角で赤いもの)と思われるものが、基板のパターン面に取り付けられています。
ただしセラミックフイルターは部品面に取り付けられているので、本当はこちら側に無いはずです、もしかして改造し追加した?。
どちらにしても異常に多い数です。
この位置は第2OSCのコイルの裏側付近ですから、スチロールやセラミックコンデンサーは第2局発の調整をした跡と想像できます。

この部品を交換してカットアンドトライで時間をかければ、サブダイアルの校正は原理的に可能ですが、
改造してあるらしいことで、闘志がなくなりました。
自分のものなら、挑戦しますが、依頼品を研究対象にするわけに行きません。
何度も半田付けと交換を繰り返すと、壊す可能性もあります。
5900クラスですと、代わりのものが提供できますが、6600は珍品ですから、そうは行きません。

ここで調整は諦めることにしました。


上の写真の2OSCと書いた部分の裏側付近(ラジオから見て正面側)です。
右端にメインダイアルの文字盤が見えます。

キャラメル型の赤い物はセラミックフイルターではと思われるが不明。
若しかしたらコンデンサーか?。

その右端はサブダイアルのバリコンに直列に入れられたコンデンサーと思われる。
どうもこの容量が不足しているのではと想像されるが未調査。

抵抗 セラミックコンデンサーが沢山見えるが、常識的にこの数は多すぎる。
改造した可能性もあり。
この部分の改造 メインバリコンの不審な動き(バリコンの羽根が変形している可能性あり)、バックラッシュを勘案し、
周波数直読への調整は諦めることにしました。
誤差が大きいので、実用的には換算が必要。

サブダイアルの読み(差) 実周波数(差)
+120KHz +106KHz
+100KHz +90KHz
+50KHz +45KHz
0 0
−50KHz −46KHz
−100KHz −90KHz
−120KHz −104KHz

原因は不明だが、パディングコンデンサー(相当)の容量減少の可能性が高い。
ただリニアーでないので、サブダイアルのバリコンにCRCがかけられている可能性もほんの少しはある。

5900だと修理経験である程度目標が見えますが、何しろ6600は滅多に見かけませんので、無理をして、壊してしまっては元も子もありません。
なおキャビネットの裏蓋を固定する5本のネジの内2本がバカ穴(ネジが固定できない)になっていました。
昔々 何度も分解されたもののようです。

FR−6600の調整

目盛りの狂いが大きいということで調整を依頼されました。
6年ぶりに 調整することになります。
テクニカルマニュアルがありませんので、コイルとトリマを慎重に確認して、調整することになります。





この機種は素人が分解して修理した形跡があります。
ネジの部分にマジックインクで印がつけてあり、慎重に分解した形跡があります。
トランジスターも交換したのか、あるいは外して、
再度組み込んだのか2階建てのような組み込み方がされています。
(残された足に、再度半田付け)
コイルとトリマの働きが判明すれば、残りは調整です。
調整そのものは難しくありません。

5900と比べて、違うのはサブダイアルの調整範囲がコイルと固定コンデンサーのみであることです。
このため、片側の周波数が完全には合わせられません。
これが残念なところです。
短波帯の感度そのものは、5900と同じ程度です。


2004年12月24日
2006年6月26日
2010年7月13日:1,095 
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