ICF-6800Aの修理体験記   

この修理体験記は下手な文章で故障状況をまとめたものです。
このページは修理方法の教科書ではありません、読んだだけで修理できると誤解しないでください。
修理した台数の積み重ねがノウハウとなります、このページを見て修理出来ないと言われても心外です。
当方はメーカーのサービス機関でもありません、ラジオ大好きおじさんにすぎません。
6800と6800Aの修理は合計 百台弱しましたが、上記理由で詳細は省略します。
さらに最後の仕上げは心を込めて調整しています、この部分を省略するプロも多いです、ご用心。
サービスマニュアルを熟読して挑戦してください。
 


年寄りには厳しいので 6800の修理は原則お断りしているのですが、どうしてもと言うことでまた引き受けてしまいました。
年末にも6800Aを修理したのですが、それに比べ程度が良くありません、あちこち触られています。
問い合わせたところ事情は。
「ネットで上記機種を数台修理している方に修理していただき5ヶ月は完動だったのですが、
また同じ症状(カウンターが動かない、2MH位上の周波数を表示する。)となり、
20回に1回くらいは正常周波数値を示しダイヤルをまわしても、OKです。
最初に修理していただいた方とのメールは、パソコンのサイセットアップ等から、消えてしまいましたが、
1回目は、PLLのロック回路がVFOをMIXしないとのことでした。
その後5ヶ月は完動作動していました。
2回目は、経年のせいで抵抗値が変化しているのが原因ではないかとのことでしたが、再修理はNGとの事でした。」


ただ 不思議なことに分解してゆくと、
@止めネジが2本不足です。 素人の自分でもネジには十分注意しています、プロがこのような修理をするのでしょうか?。
考え難いことです、あるいは持ち主が分解したのでしょうか?。
A6800の弱点のPLLの部分を分解した形跡が無い。
B半田付けの跡を見ると位相検波器の部分(これもPLLの一部ですが)をいじったらしい。

この方のものと思われるホームページを訪問してみました、確かに6800の修理経験も数台あるようです。
丁寧に修理してあるので、ネジが足りないとは考えられません。
今回のものはホームページに掲載されているものでは無いそうです。
正直、他人(プロ)が修理したものを再修理するほど当方 実力はありません、引き受けなければ良かったと反省しました。
後悔 先にたたず、次々と悩まされることになりました。

まずは さらに分解しました。
半田付けをとった跡があるので、どこを以前分解したかは想像が出来ます。
どうも位相検波部分を触ったようです。
しかしVFO部分のMWバーアンテナ搭載機構の取り付けネジが
2本有るべきなのに1本だけです。
またメイン基板と本体を固定するネジも1本不足です、どうも話が違います。
もしかして、プロが修理した後の故障時、再修理を断られて困り果て、 
持ち主が誰かに触らせたのでしょうか?。
そう考えた方が自然です。
これらを見ると疑心暗鬼になります、我ながら困ったものです。
頭がこんがらがってきます。

なおネジは組み立て時、他の機種から移植しました。
すぐには悪影響ないかもしれませんが、気持ち悪いです。
追記
この部分 持ち主は一切手を加えてはいないとのこと。
どうも前回の修理の後遺症らしい。



余談ですが、VFOのパイロットランプは交換されています。
ちょっと明るすぎると感じましたが、
器用に交換されているのには感心しました。


基板を外して、PLLの各部の波形を観測、不良箇所を見つけて修理しました。
今回は6800の修理では起こったことの無い部分での故障でした。
これが6800と6800Aとの違いなのでしょうか、判然としません。

やれやれという事で、再組み立てしました。
まずMW受信です。
ところが音がにごって聞きづらいです。
Sメーターもほとんど振れません。
よく調べるとバーアンテナのコイルがずれています、これを分解時ずれたもので、調整すると音は正常になります。
でも感度や全般的な様子がなんとなく変です。


仕方なくMWチューナー部分(SWのVFOをかねる)を分解しました。
調べてみると3連バリコンの1ユニットが不良です。
内部を観察してみても綺麗で異常は感じられません。
テスターで測定すると導通が有ります。
これでQが落ちて、同調しなくなったようです。
なぜこうなったかまったく不明です。
トリマを外してみましたが変わりません。
トリマは凄く緩くなっています。
以前の修理で、この部分は開けた形跡は有るのですが、
この修理の為でしょうか?。
この部分は短波受信のVFO部をかねていますから、
いいかげんにバリコンの交換は出来ません。
仕方なく、清掃するなどして、出来るだけ回復させました。
完全な修理はこの部分の交換が必要です。
ただし見たところ特殊なバリコン(VFO部の容量が大きそう)です。
入手はまず難しいと思います。




組み立ててみると見事動作です。
6,055KHzのNSBが正常にj受信できます。
やったーと喜んだのも束の間、大問題発生です。


SWは1〜2MHz 10MHz〜 12MHz 20〜22MHzが受信できません、他は正常に受信できます。
しかし バンド切り替えSWの0と1のところだけ受信できない原因は良くわかりません。
この部分だけ回路が正常に動作をしていないようです。
これでは受信機としては困ります、修理失敗です。
考え込んでしまいました。

一晩考えて どうもVCO2が怪しいのではという結論になりました。
翌日早速確認しました、確かにVCO2がこの範囲では正常でありませんでした。
発振が停止しています。
原因は色々考えられますが、主なものは。
@TRの不良になりかかりで、周波数の低いほうが発振しない。
Aまさかと思うがバリコンの不良。
BコイルのQ低下。


最終的にはバリコン不良と切り分け出来ました。



再度大幅に分解、バリコンも裸にしました。
この作業は大変で、泣きます。
このバリコンの一番右端が不良、他は問題なし。
なぜこの様な現象が起こるのか、想像が出来ませんでした。
外観検査をしてもなんら変わりは有りません。
Qメーターで測定するやら、清掃するやら格闘しました。
なんとかQメーターで試験してもOKとなりましたので取り付けました。

原因は接点復活剤をかけたのではと想像されます。



基板をシャーシに組み込み、各ブロックを組み立てて完成です。
やっと正常に動作するようになりました。
それにしても2度手間 3度手間です。
もう「懲り懲り」とう感じでした。





2日ほどランニングテストをしました。
無事動作しました。


修理完了して思うこと
ランニングテスト中にふと思いついたのが、八重洲FRG−7の修理にある事件でした。
これはバリコンに接点復活材をかけて動作不良になった例でした。
もしかして何時の時点でか、バリコンにかけたのではという思いです。
不良になったバリコンのユニット部分だけ、かけやすい位置にあるのです。
もう一度分解して、調べるだけの気力はありませんでしたが、こう考えると世にも不思議な現象が説明できる感じがします。
本当のところはわかりません、全て想像です。
神のみぞ知るてな事でしょうか??。

再度壊れないことを祈ります、再修理はNGと言いたいです。
真空管ラジオではプロ以上と自負していますが、半導体受信機では駆け出しです、難しいものはご遠慮ください。

なお今回故障したPLL部分は、前回の修理が原因ではありません、6800は部品点数が多いですから、当然壊れやすいです。
普通の回路では感度低下で、明確にはわかりませんが、
PLLは部品の劣化で、信号があるレベル以下になると急に動作しなくなります。
この機種は非常に魅力があるのですが、壊れやすいです(美人薄命 例えが古いか??)。
オークションで、あまり熱くならないよう注意しましょう。


ICF−6800A修理体験記2

省略

ICF−6800A修理体験記3(2012年11月7日)

FMの感度が猛烈に悪い、MWも感度が悪いという6800Aです。
画像は修理後 ロッドアンテナで受信しているところです。



MWは調べてみるとそんなに酷くは有りません。
調整が狂っているようなので、再調整して終了しました。
MW SWともに感度試験をしましたが、0dBの信号が受信できるので、問題は有りません。
十分高感度に調整できました。

FMの修理

FMの回路は画像の白色の線で囲った部分に組み込まれています。
不具合部品を探すために 1個1個交換してみて修理しました。
FMの修理は慣れないので苦労します。



照明をLEDにして欲しいとの要望があり、電球色LED2個を直列に接続して組み込みました。



ところが 再発(2012年11月13日)

1週間ほどして 感度が悪いのが再発したとのこと。
受信してみると 猛烈に感度が悪いです、これで切り分けできると喜んで分解すると、再度回復してしまいました。
なんとか現象を再発生させて、調べてみると イモ半田が原因でした。
外観では何ともなさそうに見える部分が接触不良を起こすとは、とても信じられません。
製造時の不良が今になって発生したと言えるかもしれません。
前回修理した時は結構 長時間 通電したのですが 正常でした。



現象から想像して、パターン切れらしいと想像しました。
あちこち調べてゆくと、AとBの間に導通が当然あるはずなのに、導通が無いのです。
シールド板とパターンは一見しっかり半田つけされています。
パターンの割れを想像したのですが??。


拡大鏡で見てもパターンの割れは見つかりません。
パターンの途中に3カ所絶縁を取り除いた部分を作り 
Aとの導通を測定してみても問題ありません。
結局 判ったのは パターン面と半田面の間が浮いているらしいと想像しました。
広い範囲に半田つけしてあるのに このようなことがあるとは信じられませんでした。
何度確認しても同じ状況です。
でも現実には導通が無いので、再度半田つけすると同時に、
安全のため ジャンパー線(青い線:下の画像参照)で結んでおきました。


シールド板が熱で膨張収縮を繰り返し、
経年変化で半田面が外れたのかもしれない。
想像外の 故障でした。
白い線で囲った中が今回の不具合個所。

いやはや とんだ災難でしたね、原因が見つかってよかったです。

6800Aの修理体験記4 (2013年2月16日)

通電しても無音と言う珍しい故障です。
6800はこれまで百台弱の修理経験がありますが、このような現象は初めてです。
FM MW SWとも無音で Sメーターも勿論振れません。
最初は定石通り AFから確認したのですが、これは大丈夫。
やはり IF以前が怪しいと思い、調べてゆくとIF回路に使われているソニーのカスタムICが不良らしいと見当をつけました。
このICはAMの場合、2段増幅になっていて、後段の方は正常に増幅しているのですが、初段の方が駄目でした。
これは交換するしかありませんが、現在入手はできません。
別の6800から移植して修理しました。
白い丸印の部分が 問題のカスタムIC。
この種半導体は寿命の点で移植したくない(壊れやすい)のですが、他に方法がありません。
動かないより 動作する方が良いとご理解ください。



今回交換した部品

珍しいことにメモライトのランプまで切れていました。
右端がメモライトです。



ラジオ日経をロッドアンテナで受信しているところ。
Sメーターも大きく振れます。




後日談(2013年2月17日)

プリセレクターの周波数表示板が取れているとの情報が有りました。
この部分は接着されているので 振動で外れたと理解して、返送していただきました。
画像のような状況になっていました。



早速 分解して 貼り付けようとしたのですが、念のため受信してみるとVFOの回転が異常です。
引っかかるのです。
ツマミを外してみると あら不思議、ツマミと軸の間からプラスチックの破片が出てくるではありませんか!。

分解してみるとこれは酷い状況です。
あちこちが破損しています。
どうも輸送中に落下させたようです。
段ボール箱に入れて送ったので ここまで酷いとは思いませんでした。
金属の取っ手の部分を下にして 落下させた感じの壊れ方です。
取っ手に力が加わったため 外箱の部分まで破損したようです。

破片があちこち 散らばっています。

大きく割れている場所を示します。
他にも不具合個所があるかもしれません。



A部分の割れ

破片を集めて 接着しました。







B部分の割れ
強い衝撃で上側が割れて外れかけています。
これがプリセレクターのツマミが浮いていた原因です。



ケース側面の割れ
これは接着して修復しました。


C部分の割れ

プリセレクターの側面です、この部分が割れているので プリセレクターのツマミが浮き上がっていた原因の1つです。
細かく破損しているので これ以上の修復はできませんでした。



D部分の割れ

この部分も接着して修理。
中央部分を固定する部品です。



E部分の不具合

メモライト部分です、ここには白い破片が挟まって動作しませんでした。
白い破片の出どころは不明。


修理完了後の6800A

何とか修復することが出来ました。
やはり重量のあるものを輸送する時は 大きめの箱で送らないと悲劇が生じます、修復できてよかったです。



修復後もこれだけの破片が残りました。




6800の修理体験記
もごらんください。


2003年2月17日
2003年2月20日
2003年8月16日 リンクなど追加。
2004年6月11日ホームページ容量の制約で一部省略しました。
2004年7月28日
2004年8月8日
2006年6月26日

2007年7月22日:2353
2011年11月25日:5,156 内容省略
2012年11月7日:6,078
2012年11月13日:6,101 感度が悪くなる現象が再発。
2013年2月16日:6,831 通電しても無音の6800Aの修理。
2013年2月23日:7,125

ラジオ工房BCL2へ


radiokobo-all