三菱ジーガム505の修理 

505の修理体験記その1

三菱のジーガムの修理を依頼されました。
異常に人気のある機種です。
radiokobo-all
故障は雑音が出るというもので、ガリ ガリと音がします。
これはどこで発生するか切り分ける必要があります。
シンクロスコープを使って信号を追いかけてゆくとわかります。
発生箇所の部品を交換すればOKです。

内部の写真はラジオ資料館のジーガム505をご覧下さい



パターン面は写真のように音量調整のVRや
BFOピッチ調整のバリコンなどが実装されています。
IF回路の一部はこのままで修理できますが、
本格的に修理するにはこのサブシャーシを取り外す必要があります。



基板面の上のサブシャーシを取り除いたところ。
この状態でシンクロで信号を追っかけると故障箇所がわかります。
不良部品を交換して修理完了です。


注意
このラジオの修理は薦められません。
ソニーのラジオは保守性が悪いのですが、このラジオは良い勝負です。

ソニーのラジオは数が多く修理する機会も多いので、ある意味で手馴れているが、
505は人気の珍品なので難しいと感じるのかも知れない。
サブシャーシを取り外さなくても良い程度の修理であれば、比較的楽。
サービスマニュアルなど資料が整っている人が修理する前提で作られている。
小生の如きアマチュア−が修理するようには出来ていない。

理由
@サブシャーシを取り外すには、ダイアルの糸かけを外す必要があります。
特殊な糸かけ方法で、元に戻すのに苦労します。
自分で一度やってみると良くわかります。
A修理の手がかりがありません。
普通はシルク印刷で凡そ見当がつくのですが、とにかく修理の為の情報が何も印刷されていません。
どのコイルが何にあたるか、TRがIFなのかOSCなのか、全て手探りで調べる必要があります。
(部品配置とプリントパターンで接続を解読してゆき、総合的に判断)
B部品の実装が丁寧にされているのは良いのですが、半田こてで部品を外すのに苦労します。
ソニーなどはリードが直線で挿入されているが、三菱は先端が曲げられている。
簡単に部品が外せません。

ジーガム505の修理その2

メーター断線と「がりがり」雑音の修理です。
メーターの断線は珍しいです。


メーターを取り出してみると、ヒゲぜんまいの部分が断線しています。
引っかかりか駆動回路TRの不良だったら何とかなるのですが。

昔は断線も修理した事はあるのですが、もういけません降参です。



同種のメーターを1台犠牲にする事とし、パネルを交換して、
505用のメーターとする事にしました。



完成した505用メーター。

メーターの修理が終わったので、今度は「がりがり」退治です。
原因は局部発振のTR不良です。
これは簡単に判明しましたが、交換は苦労しました。
このTRの交換は基板を裸にする必要があります。
糸かけを外さないと分離できませんので、手間が大変です。
「がりがり」は再発の可能性が高いので、他のTRも交換しようとなんとか合計4本はしましたが、
あまりの事にここで諦めてしまいました。
あと3個ほど交換したかったのですが、残念。


修理完了し、調整しようとしたのですが、
バーアンテナのコアが割れていました。
エポキシで接着、締め付けているところ。


中央下にピンクのネジが見えますが、
どうもこの下のネジの取り付け部分が割れています。
これも接着しました、強度は心配です。
キャビネットの端もかけています。

どうもこの505は一度落下させたのではないでしょうか?。
これが原因で
@メーター断線
Aコア割れ
Bキャビネット破損。



完了した、505.
人気は高いが、保守性は良くありません、
4日間もかかってしまいました。

なお今回の修理で、もう根気が続きません。
次回修理の引き受けは、サービスマニュアルが入手できてからにします。
そんな訳で(入手の見込みが無いので)三菱505の修理は当分いたしません。
問い合わせはご遠慮ください。



2001年9月15日
2003年8月25日

2006年6月26日
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