松下製 RF−1188をオークションで入手いたしましたが、おおまかですが以下のような不具合がありました。
少しでも良い状況で受信したいと思い、以前からHPを拝見させていただいておりましたので思い切ってメール致しました。
<症状>
@全体的に受信状態が悪い。
Aフィルム表示と受信周波数がずれてしまっている。
BBFOが全く動作しない。
Cメーター切替スイッチの動作が異常。 |
外観は非常に綺麗です。
ただこの機種はBFOの発振不良が多いです。
まず最初にしたのはジャイロアンテナのグリスアップです。
油切れで硬くなっているので、放置するとプラスチックが破損します。
BFOの発振不良対策は大変でした。
BFO回路は本体基板の上に小さな子亀が乗っかかっている感じです。
場所はメインバリコンの隣です(最下段の画像参照)。
オリジナルの回路自身に問題があるようで、なかなか発振しません。
カット・アンド・トライで何とか発振するように試行錯誤で修理しました。
発振は弱いです、大きな信号にはビートがかかりませんのでご承知ください。
SSBなどの信号には対応できます。
クーガー118にBFO基板を追加した形式になっています、
その為か電源は1.2Vで発振させるので、非常に微妙な回路です。
メーター切替スイッチの異常動作
電源電圧確認とSメーターの切替スイッチが前面パネル左上部に組み込まれています。
触らないのにメーターが異常に反応するなどの動作をします。
最初は接点の接触不良と思っていたのですが、
よく調べてみると、パターン割れでした。
スイッチを無理に動かしたので、スイッチががたがたで
結果的にパターンが切れていました。
また壊れるといけないので、
手持ちの1188から移植して修理しました。
解ってしまえば簡単ですが、まさかここでパターン切れを起こしているとは想像さえしませんでした。
これで終了 無事解決と思い込んだのですが、大変なことに。
JOAKが670KHz位の位置で受信できるので 狂いが酷いなということは最初から解っていたのですが・・。
まずJOAKを594KHzに合わせ、JORFを1422KHzに合わせました。
ここまでは順調と思ったのですが・・。
さらにSW1で1.6MHzを合わせ、3.6MHzを合わせよとすると、目盛が合いません。
3.5MHzくらいで どうしても上に伸びないのです。
気分を変えて
ここでトラッキング調整をしようとしたのですが、どうも様子が変です。
RF−1188の場合 ジャイロアンテナの中にMW SW1のバーアンテナが封入されているので、
MWとSW1は同時にトラッキング調整をした方が便利です。
なんとなくトラッキングがとりにくいのです、この現象で バリコンが怪しいと判断しました。
取り外してQを測定してみると極端に悪くなっています。
Qが低くなると当然ですが 同調点がブロードになり、トラッキングがやりにくくなります。
念のため SW2も合わせてみたら 目盛が合いませんでした。
現象としてポリバリコンにCRC(または接点復活剤)をかけるとこのような現象を引きおこます。
2200のようにカバーの無いバリコンにかけることはよくあるのですが、
カバー付のものに隙間から噴射するとは困ったものです。
バリコンの隙間に浸み込むと誘電率が上がるのか、バリコンノ容量が30%くらい増加するのです。
RF−1188のダイアル機構は画像のようになっています。
重りの付いた同調軸はお金をかけた豪華な造りですが、
修理する時は要注意です。
バリコンはこの後ろ側に組み込まれています。
同じ規格のバリコンを探して、移植することにしました。
RF-1180 RF−1188のバリコンが合致します、
この機種はFMに高級な3連バリコンを使っていますので、よく似ていても互換性がありません。
取り外したバリコンを測定してみると、容量が100pF
(約30%)増加しています。
Qも極端に落ちています。
計算してみると200程度です、新品時は1000以上ありますので、明らかに不良です。
不思議というか当然というか等容量のバリコンはやはり同じように容量が変化していました。
これではどうしようもないことが解ります。
手入れをしたつもろで、何食わぬ顔でオークションで販売するのですから泣けてきます。
バリコンを分解してみると、乾燥していますのであるいは大昔にやった事かもしれません。
バリコンを外すにはダブルギヤで構成されている部分も全て取り外す必要があります。
作業は慎重にやらないと元に戻せなくなります。
部品取りになった基板
カバーを外して分解してみました、
乾ききっているので、昔に噴射したのかもしれません。
何とかバリコンの移植も終わり、目盛り合わせ トラッキング調整もして 修理完了です。
反省事項
ダイアル目盛がずれているといわれていたので、最初にこちらを注意すべきでした。
感度もよいし、BFOの不具合に気を取られていて、最後にバリコンの不具合に気が付くとは!!。
BCLラジオは数えきれないくらい修理しましたが、カバー付のポリバリコンにCRCが吹き付けられているものは初めての体験です。
数年前に小型のソニーのTRラジオで同じ状態のものを見ましたが、それも含めて2台目です。
クーガー2200のように開放型のバリコンの場合は比較的このようなCRCを吹き付けるのは多いのですが・・。
手間が大変なので、最初にわかっていれば、修理はお断りすべきでした。
管理人の注 この修理体験記は下手な文章で故障状況をまとめたものです。 このページは修理方法の教科書ではありません、読んだだけで修理できると誤解しないでください。 修理した台数の積み重ねがノウハウとなります、このページを見て修理出来ないと言われても心外です。 当方はメーカーのサービス機関でもありません、ラジオ大好きおじさんにすぎません。 「なんでも教えて君」のお相手は致しかねます。 さらに最後の仕上げは心を込めて調整しています。 |
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2003年4月15日
2003年4月16日
2006年6月26日
2011年11月1日:2,843 内容を全面的に入れ替え
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