松下のT−40が修理にやってきました。
音声が殆ど出ません、蚊の鳴くような音と言ってよいでしょう。
ピンク色のキャビネットに入っています。
トランジスターラジオ博物館1にも写真があります。
昭和35年3月発売開始ですから、トランジスターラジオの創世記に近い製品です。
故障原因は電解コンデンサーの容量抜けでした。
殆どのものを交換しましたが、2個ほど交換できませんでした。
本当は全部交換すべきですが、基板のパターンが剥れ易く、うかつに交換すると壊します。
またこのラジオは2バンドになっていますが、SWは受信できません。
短波帯で発振が止まります。
この修理も中止しました。
恐らく発振回路の部品の不良(TRエミ減 OSCのQ低下 CRの不良)と思われますが、
発振回路付近のパターンの上にジャンパー線が沢山つけられていて、
うかつに触ると元に戻せません。
写真の黄色の線内がこの回路部分。
上の黄色の線内の部分の裏側(基板のパターン側)です。
修理は不可能ではありませんが、工数を考えると止めた方が無難と思いました。
ただ気になったのは左の黄色の矢印部分です。
スピーカーの裏側にナショナルのカタログの切れ端が貼ってあります。
さらにロッドアンテナが基板に向き合う部分にもビニールテープが貼ってありました。
キャビネットの裏蓋をはめる時になんとなく浮き上がった感じになります。
上記が原因と思われますが、この部分を外すと基板に接触する恐れもあり、
そのままとしました。
なおネジが2本不足していました、修理の後遺症でしょう。
後日談
実はこのラジオ修理完了して数日後、持ち主からダイアルが動か無くなったと連絡があり 返送していただきました。
到着後分解してみると、周波数の最も低い部分で固着 動かなくなっていました。
キャビナットに入れる時に引っかかる状態で閉めたのではと心配しましたが、どうもそれではありませんでした。
一度動くと、後は正常に動作します。
いろいろ悩みましたが、最終的にダイアルの糸に油状のものが付着しているのが原因とわかりました。
昔修理した時に付着したのでしょう、普通に動作させている時は問題ないのですが、反対側(周波数の低い方)に無理にまわすと固着します。
固着すると、キャビネットを分解しないと動くようになりません。
これでは困るので、何とか対策をしました。
この種の修理をしても、無理にダイアルを廻す試験はしませんので、気がつかなかったのですが、これはとんだ伏兵でした。
後日談の後日談
行方不明だった自分のT−40を偶然見つけましたので、修理する事にしました。
キャビネットの色は黒に近い色です、不思議な事にツマミはオレンジ色です。
上の写真とほぼ同じ位置での撮影です。
スピーカーの裏紙もロッドアンテナ本体へのビニールテープの貼り付けもありません。
どうもこの方が正常のようです。
前回はラジオ屋さんの修理だと安心したのがいけなかったようです。
古い製品の修理は同じ製品を比べながらやるのが正解でした。
修理完了のT−40。
修理したT−40の裏側。
ダイアルがから回りするT−40(2013年6月6日)
どうも この機種はダイアルが空回りして 動作しなくなる現象が起き易いようです。
滑り止めをして 正常に動作するようになったのですが、結果的には駄目でした。
ダイアルの糸かけをし直して 解決しました。
分解して 基板麺を出したところ。
空回りする 糸かけを観察すると、2回しか 巻いてありません。
どうも昔 修理した方が 間違えたのかもしれません。
修理依頼品の糸かけ | |
今回の糸かけ 後 |
2005年6月2日
2013年6月6日:3,176
2006年8月5日よりカウント
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