何とか修理して欲しいとの依頼です。
ただ残念ながら、この機種の回路図などの技術資料は一切ありません。
実は現物が到着するまで、どのようなものか不明でした。
電池で動作させてみると無音です。
それとリード線が1本外れています。
黄色の矢印A部分。
セロテープで絶縁してあります。
電池ケースを外し、ジャックのブロックを外したところ。
この部分には外部電源、イヤホーン、PHONOの3つのジャックがついています。
。
この機種は修理した事もないので、慎重に分解します。
何枚かデジカメで途中経過の写真を撮影しておきます。
ネジも長短があるので、メモしておかないと、復元が大変です。
長 中 短の3種類が使われているので、ややこしいです。
回路図も無い、見たこともないラジオですから、長期戦に備えて、基板部分を取り外しました。
こうしておかないと、リード線が切れて、いよいよ判らなくないます。
写真は分解の途中です。
このラジオは無音ですから、まずスピーカーの確認です。
テスターで測定してみると、クリック音が出ます。
少なくとも断線はしていません。
音量調整用のVRの部分に音声信号を入れてみました。
これでも全く無音です。
次に低周波トランスの断線を疑いました。
初期のトランジスターラジオの為か、トランスと出力トランジスターが無関係の位置に配置され、
トランスはリード線タイプです。
細いリード線があちこち引き回されています。
なんとか銅箔(パターン)の意味付けが判断できるようになりました。
このラジオの低周波段は2SB54 2SB54 2SB56×2で構成されています。
初段のB(ベース)に信号を入れるとスピーカーから音が出ることがなんとか確認できました。
ここまできて、外れたリード線が初段の2SB54に接続されるべきと言うことが判明しました。
さらにPHONO ジャックを見ると、一部半田が外された形跡があり、反対側の端子から、
0.02μF(203表示 最初の写真の黄色矢印 C)経由で初段の2SB54のベースに配線がされています。
配線を元に戻そうとしたのですが、ジャックが壊れています。
これは3個一体型で成型されていますので、いまさら入手できません。
現時点 TRラジオでPHONOでも無いと思い、これは短絡(PHONOは使えないすることにしました。
ただ不思議なのは上記のコンデンサー0.02μFで、真空管ラジオなら納得ですが、トランジスターラジオとしては小さすぎます。
取り外してみたのですが、後で交換したものか、どうかは不明です。
回路図が有れば、簡単に解決するのですが、仕方ありません。
常識的な値 3.3μFに交換しました。
これで音が出るようになりました。
あとは受信ですが、高周波部分に接触不良があり、これを退治して、快適に受信できるようになりました。
調整中の7TP−404S。
455KHzでIFの調整をしましたが、ピークは小さいです。
Qが比較的低いようです。
目盛りも狂っていましたので、調整し、最後にトラッキング調整をして終了。
トラッキング調整には手作りの調整冶具が役立ちます。
写真上の5円玉。
詳細はラジオ修理メモ18をご覧ください。
慎重に再組み立て。
組み立て完了。
電池でテスト。
電池ボックスの電極は錆びていますが、使えるでしょう。
接触不良の時は電池をずらしてみてください。
なおリード線が切れやすいので、電池交換は慎重にお願いします。
正面の写真です。
2004年12月8日
2006年8月5日よりカウント
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