内田洋行製のラジオが修理にやってきました。
残骸を購入して 外装を復元したらしい、見事な出来栄えです。
真空管は6D6 6C6 6ZP1 12F(オリジナルは80HKらしい)で試験した結果大丈夫でした。
多分ほとんど使われていなかったのかもしれません。
この種のラジオの基本的回路は下記のようなものです。
男の自由時間 真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦 111ページ記載の回路図です。
原図はNHKのラジオ技術教科書記載のものです。
http://www.ne.jp/asahi/uchio/tokyo/radiokobo2/HO-radio/index.html
全く おなじ訳ではありませんが 基本的にはよく似ています。
なお このラジオには 厳密な意味での音量調整機能はありません。
10KΩのVRは高周波増幅の感度調整用です。
ただこのVRと再生用バリコンを使って実質的に音量調整を行っているとも言えます。
再生は回転させて ピーと発振する直前(少しツマミを戻す)が最高感度です。
ラジオそのものは箪笥の上などに設置して 家族で聴取するもので、個人的に小さな音で楽しむような使い方は想定外です。
当然 アンテナは屋外に高さ8m 長さ12mのアンテナを設置して受信するのが前提でした。
ただ 現時点 放送局の電波が強いので数mのアンテナ線を屋内ではる程度で受信できることが多いです。
マンションなど鉄筋の建物は電波を遮蔽しますので 屋外にアンテナをはる必要があることもありえます。
アースは電解強度の高い地域では 電灯線が自動的にアースの代用をしてくれることが多く、
アンテナだけで受信できることが多いです。
放送局に遠く 電波も弱い地域はアースも当然必要です。
並四 高1(今回のラジオもこれに相当)は性能いっぱいで動作させます。
音量は感度を下げたり 同調をずらせたり、最後にはアンテナを短くして対応します。
一方5球スーパーは 性能を 大きく絞って受信します(たとえば100分の1など)。
この絞り方を自動で行う仕掛けが組み込まれています(AVC 自動音量調整)。
そのため どの放送局を受信しても ほぼ同じ音量で受信できます。
どこかの放送局で丁度良い音量にあわせれば 他局も ほぼ同じ音量で受信できます。
(AVCで自動的に音量を調整しているのです)
しかし 今回のラジオのようにAVCが無いものは放送局の電波の強さに音量が比例してきます。
結構 昔はラジオを聴取するのも技術が必要で 面倒でした。
上部の蓋を開けたところ なお外側は左右 背面 上面が外れる仕組みになっています。
外枠を外したところ 簡単に取り外せる仕組みです。
シャーシはアルミで 白色に塗装されています。
印刷も鮮明に読み取れます。
下図は シャーシ内部の様子です。
上面が親切に作られている割には こちら側は 単純に配線しただけで 非常に不親切な仕組みです。
極論すると ただラジオが動作するよう 部分を並べただけです。
アース端子側の位置表示さへありません。
動作確認用に もう少し工夫が欲しいです、まるで素人の工作です。
(説明用ラジオの名前が泣く)
もう少し シャーシ上面と関連が取れる配慮が欲しいです。
通電してみると この種 バラック式のラジオとしては 気持ちよく受信できます。
なお回路図 通りでは無い部分があります。
たとえば6C6のプレート回路のRFCは10KΩの抵抗に置き換えられています。
今回補修は 最初の回路図と異なり、平滑回路のコンデンサーの容量を少し増加しました。
回路図では3μFが使われていましたが、これではハムが多そうなので少し大きめの15μFにしました。
昔は ハム音も通電の印と考えた時代もあったくらいで むやみに大きくするのも無駄です。
(パーソナルラジオだと 小さな音で聞くのでハムは嫌われる)
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2020年4月7日
ラジオ工房修理メモ
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