修理して欲しいと送られてきたものです。
オリジナルは27 12A 12Bの並3受信機です。
非常に珍しいと思います、現在の中古市場で1000台に1台あるかどうかという珍品でしょう。
ただ ネジがあちこち外れているなど 誰かが部品を外したようです。
貴重品ですが、修理費が高額(2万円以上)になるので、修理は諦めていただきました。
見積もりの費用はいただいていません、現物を着払いで返送して終了です。
追加が必要な部品は下記のとおり、追加する物の方が多い。
真空管:27A 12A 12B(これは入手できないので12F)
低周波トランス 1:3の物。
マグネチック・スピーカー
電源用ケミコン
抵抗とコンデンサー類
ツマミなど
スイッチ固定用ネジなど。
ACコードとプラグ。
修理というより 不足部品を探して ラジオを組み立る感じになります。
組み立てても 本物の並3ですから、感度も悪いです。
個人的に修復するのは興味がありますが、完成した場合の性能と、費用を比較するとお勧めできません。
一般に感度が悪いといわれる並四の、さらに10分の1以下の感度ですから、アンテナは長いものを準備する必要があります。
首都圏ならアンテナをつければ正常に動作するでしょう。
ただマンションなどに住んでいると受信は厳しいでしょう。
渋谷のNHKの放送センター前のマンションで放送局123号の受信を試みましたが、アンテナ線5mくらいはってやっと受信できる程度でした。
そういう意味では、並3は場所と住まいの種類 アンテナ アースが張れるかなどの条件が厳しいです。
この並3は完成しても放送局型123号の100分の1以下の感度しかありません。
このラジオの復元は容易ですが、費用がかかるのが難点です、よく検討すべきでしょう。
普通修理というとスピーカーや真空管も一応そろっている状態で考えますが、今回はスピーカーも駄目、真空管も完全に別物でした。
骨董屋さんは手元にある真空管をいい加減に挿して売る癖があります、購入時は注意が必要でしょう。
参考の為に組み立てるための、代表的な回路図を貼付しておきます。
抵抗やコンデンサーが殆ど取り外されています。
また低周波トランスもありません。
誰かが部品取りにした残骸のようです。
ブロック型のペーパーコンデンサーと真空管。
これは組み込まれていましたが、電源トランスのテストの為 取り外しました。
取り外さないとトランスの試験が出来ないためです。
どちらにしてもこれは使用できません。
同封されていた真空管
無名 だが56の残骸らしい。
71A 何故か12Aの代わりに組み込まれていた。
使える可能性はあります。
80K:12Bの代わりに組み込まれていた物、これは規格が大きすぎて使えません。
スピーカーは磁石とコイル部分がありません。
残念ですが 修理できません。
単なる残骸です。
上記写真の頭部を角度を変えて写したものです。
馬蹄形磁石とコイル部分が抜け落ちています。
並3の代表的回路図
ラジオ科学社 受信回路百集(昭和12年)より。
C1:350PF バリコン
C2:小型バリコン
C3:250PF
C4:1μF 750V
C5:1μF 750V
C6:2μF 750V
C7:2μF 750V
R1:2MΩ
R2:40KΩ
R3:1500Ω
R4:20Ω
R5:30Ω
CH1:4mH
CH2:30H
T1:1対3の低周波トランス
T2:B 180V 30mA
F 5V 0.5A
Y 5V 0.3A
X 2.5V 1.75A
ラジオの修理を自分でやる方は このホームページの他真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。 不明な点はラジオ工房掲示板に実名で投稿ください、修理ノウハウの提供は無償です。 初歩的なことでも結構です、ただし他人が解るように書いてください(神様や占い師にするような経緯を省略した質問は返事不能です)。 当方に依頼される方はラジオ修理工房をご覧ください、こちらは有償です。 |
2009年11月29日
2009年11月30日:30 並3回路図を追加。
2009年12月1日:156 追記
2009年12月3日:252 費用追記。
ラジオ工房修理メモ
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