昭和12年頃までに作られた原口の並四受信機です。
真空管は27A 26B 12A 12B の4球です。
実際にささっていた整流管は12Fでした。
出来るだけオリジナルに近い状態で復元する事にします。
シャーシ内部の部品はオリジナル状態は無理ですから、外部から見た時 全くオリジナルと同じように見える復元が目標です。
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外観は汚れはありますが 非常に奇麗です。
電源スイッチとそのツマミがありません。
保存の環境が非常に良かったようです。
埃は凄いですが、保存状態は良いようです。
ただダイアルはセルロイドの板が磨耗しているのと、
変形しているので動きはぎこちないです。
場所によっては空回りします。
修理直前のシャーシ内部。
オリジナルの部品が殆ど残っています。
ただスイッチが故障したらしく、取り外され、コードと直結されています。
コードとプラグは中古品のラジオとしては程度良かったのですが、
少しでも安全にと考え新品に交換することにしました。
左端のトランスは平滑用低周波チョークで、道通がありました。
低周波トランスは2個使われていますが、1個は大丈夫でした。
コンデンサーは1 0.5 1 2 2の合計6.5μFが使われています。
漏洩電流試験をしたところ大丈夫でしたので、これはそのまま残す事で修理しました。
電源トランスは大丈夫でした。
ただチョーク と低周波トランス一個が使えるという事は保管場所がよかったと思われます。
これは非常に珍しいことです。
断線した低周波トランスを外す為、スパイダーコイルを分解しました。
分解してみると卵ラグが2個空中に浮いています。
想像するに、バリコンを交換したようです。
昭和20年代 昔々鉱石ラジオを自作した時に使ったようなバリコンで、
外観から多少不思議だとは思っていたのですが、裏づけられたようです。
民間放送が始まり、周波数帯が広くなった時にあるいは交換されたのかも知れません。
取り外した低周波トランスです。
ピッチ詰めされています。
街中で、温めて取り外す事も出来ず(凄い臭い)、トランスを壊して取り出すことにしました。
工作室がゴミだらけになり これは大変でした。
ここまでゴミが出てきました。
次回からは もう少し工夫しないといけません。
札幌の「ラジオ少年」で購入した1:3の低周波トランスを鉄ケースの中に埋め込みました。
寸法的にも丁度良かったです。
低周波トランスを組み込み、通電してみました。
物凄いハムです、コンデンサーの容量抜けでした。
オリジナルのペーパーコンデンサーの使用は諦めて、交換することにしました。
シャーシに余分な穴は開けたくないので既存のものを利用しました。
2+2μFでB電源のフイルターを構成していましたが、
手持ちの関係で10+10μFとしました。
1(26Bのパスコン) 0.5(12Aのパスコン)
1μF(検波管のプレート回路)のコンデンサーは全て3.3μFのものを使いました。
オリジナル回路には無い部品も念のため追加しておきました。
AC回路とシャーシ間:4700PF
12Aプレート:3000PF
平滑用ケミコンの出力側:0.033μFのパラにフイルムコンデンサー
AC回路とシャーシ間の4700PFのコンデンサーは短いアンテナだけを利用する場合効果があります。
なおスピーカー並列(12Aプレート回路)の3000Pは出力管のプレートに含まれる高周波成分をバイパスさせる為です。
オリジナルではスピーカーのフレームをシャーシに接続するように配線されていました。
この配線はスピーカーのコイルが断線しやすいとも言われますので、この代わりです。
AC回路とシャーシ間のコンデンサー このラジオが発売された当時はアンテナ アースを正式に接続していましたが、
最近では簡単なビニール線を接続するだけなので、この様にすると効果があります。
上記修理で正常に受信できるようになりましたが、NHK1(593KHz)が蚊の鳴くような音しか出ません。
TBSの大音量に比べ、異常です。
バリコンの不具合と推定、バリコンを取り外しました。
Qメーターで測定すると、確かにQが落ちています。
容量が多い部分のQの落ち方が激しいので、バリコンの汚れを疑いました。
取り外して 洗剤で水洗い、乾燥させました。
洗剤で洗って、乾燥させたバリコン。
Qも随分回復しました。
試運転中のラジオ。
NHKも受信できるようになりました。
受信してみると増幅率が高いようで、それは良いのですが、雑音を拾います。
最近は昔に比べ 雑音が極端に多いので気になります。
特に検波管のシールドがありませんし、
PU端子が引き出されているのでここからもハムを拾うようです。
まさかPU端子にプレーヤーを接続して音楽を聴くこともないだろうと、この部分をカットしました。
多少 ブーンというハムが小さくなった感じです。
(このラジオでPUは接続できません、接続するには元の回路に戻す必要があります)
組み込んでみると、ダイアルが空回りします。
セルロイドの円盤をフリクションで廻しているのですが、変形と磨耗があり、
キャビネットに入れると微妙におかしくなります。
針の矢印の方向が下向きになるのですが、
逆方向に取り付けたほうが多少良い事がわかったので、再度変更しました。
なおダイアルの指針はガラスを外すと調整できるのですが、
割ると交換品がありませんので、これにて良しとしました。
裏側の写真。
シャーシに端子が4個付いている。
左端 :PU端子(これは雑音の関係で使えなくしてあります)
左から
2番目:アース
3番目:アンテナ1
4番目:アンテナ2
ACコードは黒の丸打ちコードでオリジナルのものと同じ形です。
コードの上の横長のケースはヒューズホルダー。
プラグも新品のだるま型に交換。
コードを新品に交換するなど、安全には心配りをしてありますが、トランスなど主要部品は70前の製品です。
当然安全性は当時より劣化しています。
使はない時はコードをコンセントから抜くなど、火災予防には充分注意ください。
2007年1月12日
修理のノウハウは「真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!」をご覧ください。
ラジオ工房修理メモ
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棚田のある日曜日ビオトープの作り方
趣味には色々ありますが、自宅にビオトープを作ってしまう方もあるようです。
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