ラジオの修理を自分でやる方は このホームページの他真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。 不明な点はラジオ工房掲示板に実名で投稿ください、修理ノウハウの提供は無償です。 初歩的なことでも結構です、ただし他人が解るように書いてください(神様や占い師にするような経緯を省略した質問は返事不能です)。 当方に依頼される方はラジオ修理工房をご覧ください、こちらは有償です。 |
珍しいマジックアイを使ったラジオの修理依頼がありました。
マジックアイがダイアルの指針となっているもので、ラジオ工房にも1台あります。
不思議な真空管配列と思って調べてみると、
6AV6と6BA6が入れ替わっています。
シールドケースつきが6AV6で6AR5の隣にあるべき。
ついでに真空管をTV−10で試験しました。
6BE6 △(最低規格以下だが音は出る)
6BA6 △(音は出るが感度悪し)
6AV6 ○(最低規格以上)
6AR5 ○
6X4 ○
6BA6は使えないことは無いが、感度に影響するので交換する事にした。
この当時のナショナルラジオの特徴である、配線材料の劣化があります。
これでは危険なので、新しいビニール線で配線しなおししました。
ダイアルの動きがぎこち無いので、調べてみるとドラムが接触しています。
これでは上手く動かないわけです。
バリコンのハウリング防止用のゴムが劣化した為、取り付け位置が移動したもの。
修正してホットボンド?(熱で溶かすタイプ)で固定。
いよいよ電気的な故障修理です。
いつもの通り、ケミコンテスターで電源部分のケミコンの漏れ電流を測定。
最初50V 100V 250Vと電圧を加えてゆきます。
こうすると眠っていたケミコンが復活します。
漏洩電流が1mA以下になったので、このラジオのケミコンは使えると判断しました。
このテスト中に6AR5のG1の電圧を測定、+電圧が出ますので、結合コンデンサー0.01μFの不良と判断、交換しました。
このコンデンサーが絶縁不良の場合、同じ種類のコンデンサーは確認する必要があります。
確認で不良だったものは交換しました。
一応修理が終わって通電しました。
ところがガリガリ雑音があります、それも相当酷いです。
真空管を6BE6 6BA6 と抜いて行きました、変化なし。
これはどの真空管付近で発生しているか切り分ける為です。
6AV6を抜くと猛烈なガリガリ音です、普通は雑音が無くなるのですが、この場合逆でした。
どうも6AR5のグリット回路以降で雑音が出ているようです。
6AV6を抜くことによって音が大きくなるので、回路図から原因を推定しました。
このラジオは音質調整回路が6AV6のプレート回路に挿入されています。
高 中 低 の切替をロータリーSWで行っています。
6AV6のプレートがロータリーSWに接続されているわけで、この部分にリークがあるようです。
同じ寸法のSWを捜すのは至難です、音質調整を止める方法もありますが、
何とかしたくて、回路で工夫することにしました。
@6AV6のプレート回路で音質調整をする方式に変更する。
A直流電圧をかけるとリークが酷くなるので、コンデンサーで切って接続。
Bリークがあっても雑音が出にくいようにリークを起こしている端子側にスピーカーのコールド側を接続。
これで何とか音質調整が出来るようになりました。
修理中に左端のランプが取れてしまいました。
何とか修理しましたが、見かけを重視したつくりで、修理時 扱いにくいです。
完成したCM-630.
光るマジックフィンガーは非常に珍しいです。
なおこのラジオの配線材料は相当くたびれています。
危険な部分は交換しましたが、全部を交換したわけではありません。
使う時だけコンセントにさすなど十分火災予防にご注意ください。
2002年8月15日
2005年8月16日移転
2006年6月24日移転
修理のノウハウや資料については下記の書籍をご覧ください。
ラジオ工房修理メモ
radiokobo-all