30年以上前に自分で組み立てたと言うラジオがやってきました。
当時ブーンと言う音と、1局のみ受信できたそうです。
真空管は新品同様です。
シャーシはペコペコで、機構的に万全では有りません。
デザインはなかなかですが、零細企業が作ったキットの感じです。
まずケミコンと結合コンデンサーの試験をしました。
ケミコンは大丈夫ですが、結合コンデンサーは漏洩があります。
結合コンデンサーを交換して、通電すると、確かにブーンと言う音が出ます、アンテナを接続しても殆ど反応がありません。
修理前のシャーシ内部。
整流管5M−K9のカソードとケミコンの配線がありません。
良く見るとケミコンの入力側はアース端子経由、
5M−K9のソケット近くで、アース端子に接続されています。
(赤いビニール線)
どうもどこかで行き違いが生じたようです。
この配線を修正すると、ブーン音は消えました。
でも未だ受信できません。
再生もまったく効きません。
コイルの配線間違いかと疑ったのですが、大丈夫です。
6BA6のプレートにマイカコンデンサーが接続されています。
これを外すと再生が効くようになり、受信も正常に出来るようになりました。
再生がかかりすぎの時に この部分に小容量のコンデンサーを接続することがあります。
でも外してみて、容量を見ると吃驚、250PFでした。
これでは再生はおこりません。
再生はプレート回路に発生する高周波成分をグリット回路に戻してやる仕掛けで、真空管1本分の増幅率があると言われています。
プレートにバイパスコンデンサー(250PFでも高周波では)を接続すると、この成分がバイパスされて、グリットに戻せ無いことになります。
逆に 再生が効きすぎる場合は、ここに小容量の(10PF〜数十)コンデンサーを付加すると効果があります。
修理完了時のシャーシ内部。
AC電源をアースする部分は安全のため交流用のコンデンサーに交換しておきました。
写真で見てわかるように、マイカコンデンサーは1個にしました。
プレート回路のRFチョーク代用の抵抗(普通は10〜30KΩ)とプレート負荷抵抗(250KΩ)の接続点に高周波バイパス用に250PFを入れます。
このラジオはこのほかにプレートにも付加されていたのが、再生が効かなくなる原因でした。
どこかで最初製作する時間違ったのでしょう。
5球スーパーでも受信が弱いJORFも受信できました。
ただ受信できない局があります。
どうもバリコンの不良と見て、調べてみました。
バリコンと言うより、ガリコンになっています。
取り外したところ。
エアーバリコンとしては、最小型と思われます。
羽根が接近しています。
木の棒は爪楊枝です、羽根の間隔と比較ください。
何とか接触部分を修正しようとしたのですが、
程度は
随分よくなりましたが、完全では有りません。
結局諦めました。
取り付けて受信しているところ。
594KHz
810KHz
954KHz
1134KHz
1242KHz
1422KHz
が受信できますが、NHK2は受信できません。
この部分でバリコンがショートするようです。
ただたまに受信できることも有ります。
逆に今まで受信できていた局が受信できないこともあります。
根本的解決はバリコンの交換しか方法はありません。
余分な費用をかけるのも考え物なので依頼主と相談、
このまま利用いただくことにしました。
あとは再生バリコンのつまみを180度回転させました。
これで再生の強度と目盛りの数値が一致するようになりました。
(従来は数値が大きくなると、再生が弱くなる)
1970年頃、東京高円寺のエレックセンターで通信販売していたもの。
組み立て時から 1局しか受信できなかったそうですが、最初からバリコンが不良だった可能性すらあります。
部品や作りはけっして良いとは言えません、ペコペコのシャーシを使ったラジオです。
しかし 今までいろいろ見てきましたが、このラジオは欲しくなるような不思議な魅力がありました。
ラジオの修理を自分でやる方は真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。 不明な点はラジオ工房掲示板に実名で投稿ください、修理ノウハウの提供は無償です。 初歩的なことでも結構です、ただし他人が解るように書いてください(神様や占い師にするような経緯を省略した質問は返事不能です)。 当方に依頼される方はラジオ修理工房をご覧ください、こちらは有償です。 |
2004年8月1日
2006年6月24日移転
修理のノウハウは「真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!」をご覧ください。
ラジオ工房修理メモ
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