ヘルメス Sー48 高1受信機



中央が同調、左側のツマミは再生(感度の調整) ピーという直前が最高感度です。
ピーと発振させると 他のラジオにも妨害電波が出ますので 注意してください。
右端は 電源スイッチと 音量(原理的には感度調整)です。
右に回すと音量が大きくなります。
この方式は原理的に 音量は最小にしても 0になりません。


ラジオ工房 到着時の背面の画像

真空管が4本中 3本ありません、シールドケースも1個紛失しています。



ヒューズホルダーも破損しています。
コイルのシールドケースのキャップも1個ありません。
バリコンは錆付き ダイアルも動きません。
なんとか 清掃し 注油して動くようになりマヂた。

真空管は24 24 47B 12Fです、外観や球の構成から昭和14年前後の製品と想像されます。
製造後75年になるでしょう。
当時の安全基準で作られているので 十分注意してご利用ください。
使わない時は コードをコンセントから抜いておいたほうが安全です。 



シャーシ内の様子です。
パイロットランプの配線が初段の真空管から取られています(茶色の線)。
実は これが素人修理の危ないところで、同じように復元したら出力管にバイアスがかかりません。
結局 配線をやり直しました。
パイロットランプの片側がパイロットランプのソケットのところで 片側がアースされているのです。
そのため この位置からパイロットランプの配線を取出してはいけないのです。

どうも大昔 素人が修理を試みたのですが、上記理由で動作せず 途中で諦めたラジオだったようです。
そのため 真空管などを部品取りにされて 放置されたもののようです。

試験してその後 更にひどい修理方法を発見しました。
怪しい処置がしてあるものは 全般的に 要注意です。




ヒューズボックスを組み込みました。
またスイッチは側面に組み込まれていますが 70年以上前の製品なのですごくちゃちです。
VRも断線して使えないので スイッチ付に交換 このスイッチを電源スイッチに使いました。
ツマミが差し込み式なので 昔のVRの先端部分を新しいVRの先端に組み込んで使う工作もしました。
結構 作業は大変です。
抵抗 コンデンサーなどの部品はごく一部を除き新品を使いました。
組み込んで試験しているところです。




修理後のシャーシ内部です。
ケミコンは当然使えませんが 配線を切り離して組み込んだままです。

真空管は58 57S(これは組み込んであったもの) 3YーP1 12Fです。
抵抗 コンデンサーはごく一部を除いて 新品に交換。
58はアメリカ製の新品が手持ちがあること、シャープカットオフの24は動作上問題が大きいのと、
シールドケースが大きさの関係で困るので、ソケットも交換して このようにしました。




これで受信できる様になったのですが、JOAKが受信できないのです。
周波数の高いところも1500KHzくらいしか伸びません。
どうも怪しということでシールドケーを取り外し コイルを見てみると、
アンテナ端子の配線がなんとG(RF増幅管のグリッドに接続)から引き出されているでは有りいませんか。
これは怪しいとコイルの脚を見るとなんとスター(STAR)のマークが・・。
最大容量430PF用のコイルです。

規格の違うコイルを使い 配線も間違うはでは正常に受信できるわけがありません。






バリコンの最大容量は330PFくらいです コイルのインダクタンスは200μH、
これでは放送波帯をカバーしきれません。
コイルを交換することも難しいので 磁気コアの破片をコイルに挿入して インダクタンスを少し増加させることで、今回は対応しました。
これで受信カバー範囲が少し広がりました。
580〜1550KHz程度。

なおこのラジオは真空管ラジオデーターベースでは48型となっていますが、
試験表にはSー48と書かれています。


修理後の背面です。

 ラジオの修理を自分でやる方は このホームページの他真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。
不明な点はラジオ工房掲示板に実名で投稿ください、修理ノウハウの提供は無償です。
初歩的なことでも結構です、ただし他人が解るように書いてください(神様や占い師にするような経緯を省略した質問は返事不能です)。

なお メールで管理人あて質問して来る方がいますが、とても個別には対応できません。
掲示板だと 管理人以外の方が 返事してくれたりしますので、丁寧に対応出来ます。
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2014年7月5日






ラジオ工房修理メモ

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