このラジオの素性は不明です。
トランスの銘板も異なりますので、市販のキャビネットキットに組み込んだものかも知れません。
オリジナルのラジオは並四に高周波増幅をつけた58 57 56 12 12Fだったようです。
器用な素人が残骸を購入して、並四にしたてようとしたもののようです。
到着時の現状です。
写真を見ただけで、改造品と判ります。
並四トランスにヒーター電流2Aの80Kを挿す事は常識的には考えられません。
コイルも変だなとは思ったのですが、良く見ると2バンドの5球スーパーコイルでした。
ある意味で 珍なるラジオと言えると思います。
12Aのグリッドリークは絶縁不良で、
150Vを加えるとGに100Vが出るという凄まじさでした。
これでは大変と思ったのですが、12Aのバイアス回路がありません。
結局 12Aには電流が流れていなかったのです。
コイルはなんとスーパーのアンテナコイルが使われていました。
アンテナはアースと導通が無いと思ったら、短波の同調コイルに接続されていました。
当然 アース側は浮いていました、いやはや。
同調コイルはMWの同調コイルが使われていたので、
DIPメーターで測定するとディップは確認できましたが・・。
どうもこのラジオの製作者は相当ラジオは勉強しているが、
応用問題には対応できていない感じですね。
今まで1000台以上 らじおは見てきましたが、
ここまでもっともらしく組み立ててあって、内容が酷い物は記憶にありません。
スターの並四コイルに変更しました。
検波管57はアメリカ製の新品です。
56 12Aはそのまま使えました。
整流管は中古の12Fです。
検波管のシールドケースのキャップがありません。
多少 ブーンと言うハムを拾い易いようです。
ヒューズも2Aが使われていましたので、1Aに変更しておきました。
左端に バイアス回路(1.5KΩ+4.7μF)と
AC回路のシャーシへのアース(0.01μF)を組み込みました。
ケミコンは400V 15μFを追加。
2KΩの平滑抵抗の後はブロックのコンデンサーを流用。
電源は12Fの出力側に400V 15μFのコンデンサーを外付け。
残りはブロックコンデンサーを利用しました。
並四コイルの再生巻線には10KΩの抵抗を直列に入れました。
これで再生が均一にかかりやすくなります。
プレート回路のバイパスの200PFも追加しました。
使用できなかった主な部品。
スーパー用コイル:これは当然ですが、使用できません。
80K:ヒーター電流が2Aですから、並四には当然使えません。
トランスは12F用の0.5Aで作られています。
57:真空管試験器ではOKですが、実機ではノイズが多くて使用できませんでした。
原因は不明です。
このような原因不明の不良も稀にあります。
12Fのプレート:235VAC
以下は直流電圧です。
12Fのフィラメント:255V
平滑後の電圧:225V
12Aのプレート:220V
バイアス電圧:18.5V
56のプレート:115V
57のプレート:60V
57のG2:25V
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2009年5月28日:017 公開
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