バーアンテナの取り付け冶具とコアがありません。
配線もあちこち外れています。
分解してみると、シャーシ内部は無茶苦茶です。
出力管と12AV6付近はヒーターの配線すら有りません。
素人が組み立て途中で、放置した物の用です。
ただ抵抗が黒こげの物があり、怪しいとは思ったのですが・・。
ブロックケミコンも駄目になっていました、普通はこんなことは無いのですが。
まず出力管のソケットが破損しています。
配線を外す時に無理に引っ張ったためでしょうか?。
ソケットを交換することにしました。
ただネジが2.6mmの物しか穴に入りません。
手前のネジが普通の3mm 奥が2.6mmのもの。
アースベロが無い部分のシャーシに半田付けしてあります。
一見大丈夫に見えたのですが、つついてみると半田付け不良、芋半田が続出。
このラジオはシャーシアースが多用してあり、全てがこの不良でした。
素人に組み立てさせるキットとしては全く不親切な設計です。
最初の状況(外観は良好だが) | 半田付けを調べてみると 芋半田 | 再半田付け後 |
このラジオ全てに共通する不良として、シャーシアースの半田付け不良がある。
熱容量の小さな半田こてでは無理な作業です。
10箇所くらいあり、再半田付けに泣かされた。
OSCコイルの断線。
発振しないので、調べるとコイルの断線でした。
タップの部分での断線でしたから、分解修理して使うことにしました。
誤配線の例
感度が極端に悪いので、調べると、MWの配線がFM用バリコンに接続されていました。
これを修正して、受信してもまだ感度が悪いです、いろいろ調べると、バリコンのショートでした。
更に調べると、付属トリマの部分でのショートであることが判明しました。
MWの配線がFM用バリコンにしてある。
トリマに使われているマイカが破れていました。
この為、バリコンがショートした状態になったようです。
手持ちのマイカを利用して修理しました。
バリコンの容量を測定すると340pFでした。
バーアンテナや
取り付け金具がありませんので、TR用のバーアンテナを工作して組み込むことにしました。
勧めらる方法では有りませんが、FM用IFTの頭に接着することで組み込みました。
取付金具が欲しいところです。
このようにして、動作させると、雑音が多くて、上手く動作しません。
OSCコイルの関係か、発振が強過ぎるのかもしれません。
手持ちの12BE6に交換して、上手く動作する物があったので、交換しました。
本当の原因はOSCと思われるのですが、止むを得ません。
回路図を見ても分かるように、この機種はヒューズがありません。
危険なので、シャーシ内部にヒューズを組み込みました。
35W4をヒューズ代用にした機種は有るのですが、シリコン整流の機器でヒューズ無しとは思いませんでした。
FMのIF部分は配線が酷いので、大部分取り除きました。
その部分にヒューズホルダーを組み込んだわけです。
35W4をつかったものはこの真空管をヒューズ代用にしたものは多いのですが。
ブロック型のケミコンも不良でした。
FM受信用の1KΩの抵抗が焼けていましたので、シリコン整流器も壊れて、あるいはACがケミコンに加わったのかもしれません。
この時代のケミコンが酷い絶縁不良になるのは、確率的に低いですが、例外的故障なのかもしれません。
このラジオの組み立て方から見て、動作したことは無いはずなのに、組み立て不良であちこち壊してあることが判明しました。
シャーシアースも素人向けのキットを考えていない方式ですし、基本設計不良と思われます。
FMの受信範囲がアメリカバンド(88〜108)になっているので、あるいは輸出用の残り機材をキットにしたのかも知れません。
とにかく不思議なラジオでした。
良く見るとダイアル糸が切れかかっています。
このままだと断線する可能性があります。
最終的にダイアルの糸をかけなおしました。
トリマの調整のみでは目盛りが合いません、固定コンデンサーを追加して調整。
アンテナ側の調整は無理でした、設計に問題がありそう。
なお回路図でも分かるように変換段にはAVCが加えられていません。
したがって、放送局ごとの感度差は大きいです。
裏蓋はベニヤ板です、この種の製品は見たことがありません。
最初は誰かが後で作ったのかとも想像したのですが・・。
マンションにお住まいの方が使われるので、念のためリード線アンテナを追加しておきました。
総合的な感想:
率直に言って 大変な作業を引き受けてしまった感じです。
ここまで、あちこち壊してあるとは想像できませんでした。
もともとの設計も良くないようです。
MWだけでも何とか動作するようになりました。
MWだけで予定の3倍以上の工数がかかってしまいました。
ラジオの修理を自分でやる方は真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。 不明な点はラジオ工房掲示板に実名で投稿ください、修理ノウハウの提供は無償です。 初歩的なことでも結構です、ただし他人が解るように書いてください(神様や占い師にするような経緯を省略した質問は返事不能です)。 当方に依頼される方はラジオ修理工房をご覧ください、こちらは有償です。 |
2009年4月30日:134
ラジオ工房修理メモ
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