東芝の珍しいラジオが修理にやってきました。
外観は普通のmTレスと同じですが、トランス付です。
修理前のシャーシ内部。
バリコンの脚が浮いています。
この部分はホットボンドで埋めました。
真空管を抜くとヒューズホルダーが良く見えるようになりました。
なんろ85V側につけられています。
なぜかこの様な例は他にもあります。
音が大きくなるので、変更したのでしょうか?。
使われていた真空管。
85Vタップで使用されていたので、真空管に2割増しの電圧が加わり、
無理で、ぼけているのではと心配したが、使える範囲だった。
東芝のmT真空管としては初期のものと思われる形状。
ボタンステムの部分のこうさくがに特徴がある。
不良のVR(写真上)と、交換用のもの、少し軸が長い。
同じ長さに鋸で切りました。
500KΩAがオリジナル、今回は1MΩD型。
これで問題は有りません。
なおDはAより、小音量時さらに滑らかに音量調整が出来ます。
しかし当時のVRとこのVRでは取り付け位置が90度違うのです。
仕方が無いので、シャーシに穴を開けて取り付けです。
この部分不精して、穴を開けないと、後でVRが緩んで困ります。
軸の長さを調整しましたので、先端が切り落とされています。
上側の穴が今回開けたもの、左右の穴はオリジナル。
結合コンデンサーの漏洩は大丈夫でした、これは珍しいです。
なおACラインのパスコンはAC規格のものに交換しました。
(シャーシ右上、VR付近の黄色のセラミックコンデンサー)
IF管6BD6のカソードバイアスが正式にかけられている。
全般に東芝らしい手抜きが無いのも不思議な設計。
小型のプラスチックラジオとしては非常に珍しいトランス付です。
ただトランスは相当熱を持ちます。
またB電圧は150Vくらいで、低く設計されています。
この為85Vタップで使用されても真空管に過度の無理が加わらなかった可能性はあります。
試験しているとランプが点滅します。
製造後時間が経過しているので、ソケットの金具が接触不良になったようです。
端子と金具の部分を半田付けして解決。
さらに試験をしてゆくと雑音が出ました。
真空管をゆすると雑音が出たり、消えたりします、ソケットも接触不良になっています。
真空管の脚を磨くと同時に、雑音の出るソケットの修理です。
真空管を1/3くらい挿した状態にします。
写真のようにソケットの金具よりほんの少し沈んだ状態です。
こうしておいて、ラジオペンチで金具を締めてゆきます。
真空管は冶具ですから、不良のものでも、脚さえ正常なら大丈夫です。
スピーカーが浮いています。
なぜこうなったか不明です。
ワッシャーを入れて、固定しました。
IF調整、目盛りあわせ、トラッキング調整を終了。
ただ周波数の低い部分はコイルの調整は出来ません。
高い部分のトリマ調整だけです。
これで修理完了し、ケースに入れてみると、どうもブーンと言うハム音が気になります。
整流管のカソード端子のリップル電圧を測定してみるとAC2.5Vくらい有りますので、
やはりケミコンが多少容量抜けしているようです。
10μFのコンデンサーを付加しました。
ケミコンを付加して、1.5v程度になりました。
これで気分的にハムが少なくなったと思います。
マツダマークは後ろから照明されて、光り輝く仕組みです。
このラジオには「かなりやA」と書かれたシールが貼られています。
この様な例は珍しいでしょう。
普通は裏蓋に印刷されているはずです。
依頼主の佐藤さんによると「かなりや」シリーズで唯一のトランス付機だそうです。
ラジオの修理を自分でやる方は真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。 不明な点はラジオ工房掲示板に実名で投稿ください、修理ノウハウの提供は無償です。 初歩的なことでも結構です、ただし他人が解るように書いてください(神様や占い師にするような経緯を省略した質問は返事不能です)。 当方に依頼される方はラジオ修理工房をご覧ください、こちらは有償です。 |
2004年8月5日
2006年6月25日
修理のノウハウや資料については下記の書籍をご覧ください。
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