アマゾンのショップで購入したラジオが修理にやってきました。
出品者の説明では コンディション: 中古品 - 非常に良い - ロッドアンテナ、ジャイロアンテナ、ライト、TONE調整、BFO、メーター、 タイマーOK。電池室も綺麗です。当時の人気商品!希少価値あります! ★★動作確認済」 |
現物の状況と依頼者自身の修理状況も聴いていて、局発のTRが交換されているとも。
これは大変と 当方での修理は遠慮したいと返事していたのですが、勘弁してもらえません。
数回のやり取りの末 引き受けることになりました。
とりあえず受信してみると
我が家で強力に受かるJOAKの受信状況です。
Sメーターが半分も振れません、LOCALにするとSメーターが殆ど振れません。
猛烈に感度悪いです。
SWは何も受信できません、FMはかろうじて受信できます。
これではいくら何でもラジオとは言えません。
アマゾンではこんなものが売られているのですね?、驚き。
まず分解して
依頼人が自分で交換したTR13と局発のパディングコンデンサーを確認してみました。
出品者はTR13に2SC1815BLに交換してあったのを 本来の2SC1359Cに戻してありました。
ただ従来の修理経験から考えると2SC1815BLでは非常に不味いのです。
自分はこの石でやったことが有りませんが 発振周波数の伸びが悪くなり 目盛りの高い方で 合わなくなる事がるのです。
その為 バリコンやトリマ コイルのコアを弄り回す事が起きるのです。
引き継いて修理をお断りしたのも これが理由の一つでした。
想像通り あちこち触られていました、最終調整時 不審な動きで悩まされましたが これは我慢するしか有りません。
次にMWの受信不良の次の対策
何とか正常に受信しなくてては どうしようも有りません。
OSCは正常と見て IF部分を調査することにしました。
455KHzのフイルターの出口 部分に455KHzの信号を入れてみます。
もう1台 RF−1150を準備し 両者を比較しながら 確認してゆきます。
455KHzのIFは2SC829で TR5 TR6 TR7として増幅されています。
場所は 下図のようになっています。
ただ シャーシに組み込まれているので TRの交換は大変です。
やってみると判りますが 基板を外さないと 駄目な部分が有ります。
3個の交換の内 一番交換が大変な部分が 結果としてはもっとも効果が有りました。
この交換でMWの受信で Sメーターがやっと正常に振れるようになりました。
SWも確認すると 回復しています、やはり455KHzのIF回路の増幅率 低下でした。
この機種は100台は修理していると思いますが、IFの増幅率低下は初めての経験です。
ある意味非常に不思議です。
今回 交換したのはTR5 TR6 TR7でした、下記 背面の画像の中央部に示します。
特にTR6は パターン面にシャーシが有るので この基板全体を外さないと交換できまません。
MWの受信 JOAKを受信しているところ。
当然Sメーターは振り切れます。
NHK FMの受信 (電池動作)
FMは正常な位置で調整したのですが、91MHzが受信したいとの強い希望で 少し上側にずらせて調整した。
普通だと 目盛りの上限でTBS 90.5が受信できるのがほぼ正常なのですが 文化放送がぎりぎり受信できる範囲としました。
このようにしておけば気温の違いでも 91MHzまではカバーできると考えたわけです。
ただ目盛りの違いは いかんとも し難いので 承知願います。
クーガ 115の修理を頼まれました。
「中波の低い周波数帯とFMを除き受信感度が極端に悪い、特にSW2は全く受信しない」との事。
一般に115はSW帯の一部で受信できないことが多いです。
このラジオの修理中に、同じSW2の受信不良の修理法について問い合わせを頂きました。
同様の故障で困っている人が多いようです。
ナショナルのラジオは電気的故障は比較的少ないのですが、115は例外です。
SW帯受信不良の修理は意外といやらしいです、初めて修理に挑戦する人は敬遠したほうが無難です。
(他の故障は比較的素直に修理出来ます。)
左 自家用
右 今回の修理品。
送られてきたラジオは
@SW1 感度不良
ASW2 受信せず
BSW3 ほとんど受信せず
CMW やや感度不良、目盛り合わず。
でした。
115はSW2の低い周波数の受信不良が多いのですが、これは極端に悪いです。
中を開けて見ると基板を止めるネジがありません、悪い予感です。
不慣れな人が修理した跡が歴然です。
基板固定用のネジを外すと言うことは、内部の部品も相当いじられている可能性があります。
左側基板のバリコンの右側のネジは修理後つけたものです。
このネジを外すと基板が外せます。
このラジオは微同調機構が付いていますが、
基板を外したせいかトリマの半田つけが外れていました。
何とか不良部品を交換し、調整をして修理できました。
@MWとSW1は調整不良
ASW2 SW3の受信不良は部品の劣化、調整不良の複合作用でした。
SWの受信不良はクーガ115の持病ですが、固体差が有って、
交換部品や常数をラジオ毎に変える必要があります。
オシロスコープを持ち出すやら、
別の短波ラジオで動作を確認するなど 苦労します。
なおMWとSW1の感度不良は経年変化というより、
以前修理しようとした時、コイルと調整用のトリマを触った可能性が高いです。
むやみに触らぬ方が無難です。
基板がシャーシなどに邪魔されないので、
他の故障は部品の交換も比較的簡単で修理しやすいです。
しかしSW2の受信不良はどうもいけません。
一般に115はSW2の4MHz以下が受信できない現象が多いのですが、
修理した115はSW2 3が殆ど受信できませんでした。
これくらい酷い故障の115は始めての経験です。
何とか修理出来て、良かったです。
やれやれ。
(BCLラジオの個別故障の修理方法の問い合わせはご遠慮ください)
115の修理その2
MWの感度が時々悪いと言う115の修理で、ジャイロアンテナのリード線の断線しかかりを発見しました。
リード線不良を交換しようとしましたが、固定部分がひび割れしていて、
結果的に出来ませんでした。
物理的にこの部分に無理がかかるようです。
それにしても比較的珍しい故障です。
全体を交換して修理完了。
完動品として購入したそうです。
@接触不良が酷いです、ここまでのものは非常に珍しいです。
A全体的に受信が変です。
バンド切替スイッチのレバーを外したところ、下にあるナットが傷だらけです。
普通はこのようなことはありません。
工具を持たない方が、ペンチで分解したようです。
変だと感じて調べてみるとFETやTRが一部交換されています。
更に他の抵抗まで交換されていました。
発振波形を見ると様子が変です。
このままではどうしようもないので、発振トランジスタのみは再度交換しました。
他の部分は交換は諦めました。
目盛り合わせをして、トラッキング調整をすると、狂います。
調べたところ、MWの発振周波数調整用のトリマが接触不良を起こしているようです。
振動を与えると周波数が変わりますので、これでは実用に使えません。
別にトリマを組み込んで対策しました。
これでMWは正常に受信できるようになりました。
SW2 SW3の受信感度が低いようですが、内部が相当弄られているので、
これ以上の対策は中止しました。
調整しようと、中を壊す人が多いので、慎重にお願いします。
自分で修理したというクーガ115です。
調整のみ依頼されたのですが、
到着してみると、ダイアルの表示が変です、異常に膨らんでいるし、スタート位置が無茶苦茶になっています。
よく見ると ツマミの軸に糸かけの数が異様に多いです(画像の白枠の部分)。
既定の巻回数を超えています、どうもべつのプーリーに巻きつけるべき処を間違ったようです。
またダイアルフイルムがまくれ上がっています。
自分の115を分解して並べてみました。
(なお115には製造時期によって微妙な違いがあります、構造は良く似ていますが全く同じではありません)
現物を見本に糸かけをやり直しました。
想像以上に時間がかかりました。
フイルムが全部にわたり正常に移動するか、さらに開始点も一致させ、
バリコンの回転と表示が一致するか、意外と手強い作業でした。
もう一つは発送時 分解したらしく ジャイロが壊されていました。
画像で判るように軸が折れているのです。
クーガ115の場合 分解した状態でジャイロに無理な力を加えると 簡単に軸が折れます。
取り扱いは十分注意した方が良いでしょう。
実はエポキシで接着したのですが2回 取れてしまいました。
なんとなく内部にCRCをかけたような形跡があります。
その為か うまく接着出来ないのかもしれません。
さらに困ったことが、配線が1本切れてしまっているのです。
この配線は狭い空間を通り配線されているので、やり直すのは大変です。
配線をやり直し、3回目に接着した画像です、青い線がやり直した配線です。
これでやっと調整できるようになりました、下の画像はローカル(感度が悪い方)に切り替えてNHK1を受信しているところです。
こちらにも修理体験記が有ります。
BCLラジオの修理をご希望の方はラジオ修理工房をご覧ください、メールには住所 氏名をお忘れなく。
続オークションに寄せてもご覧ください。
ここからは重複(最近のBCLラジオの修理のコピー)
ダイアルが空回りするようになり、さらに落下させたクーガ115です。 |
分解してみると 予想通り ダイアルメカの破損でした。
さらに落下した衝撃のためか BFOスイッチの保持部分が破損しています。
この部分はケースと一体構造ですから この部分だけの補修はできません。
どうしてもということなら キャビネット(ケース)ごと交換することになります。
スイッチの保持部分が壊れた状態、スイッチをケースの側面に接着することで 今回は対応することにしました。
BFOはうまく動作しない(スイッチがうまく動作しない)事があります。
本来の状態はこのようになっている
ダイアル駆動機構の不具合は矢印の部分の破損でした。
この部分は別の115から移殖します、ただし 製造時期により、寸法の違いものが有りますので注意が必要です。
(同じ115でも互換性が無い)
プラスチックの色は違いますが 寸法的には大丈夫でした。
組み込んだところ。
組み込んで 試運転中。
なお 落下したショックか 固定用のネジが曲がったり、1本はボスが無くなっていました。
3本のネジのみで 固定。
内部は触られていないはずなのに 壊してあった クーガの115の修理です、いやはや想像を絶する展開になりました。
最初から壊したと言ってもらえると ここまで苦労はしないのですが・・・。
昭和50年頃のBCLブームの時代に私自身が購入したRF−1150が倉庫から出てきました。 電源を入れてテストをした所、まともに聞こえるのはFMだけで、中波及び短波帯はノイズしか聞こえません。 ダイヤルの表示も極端にずれてます。ワンオーナーですから、内部をいじったりしてません。 |
ダイアル駆動機構を外したところ。 軸の切れ込みは上下対称なので、間違えて 180度違う組み合わせは可能だが、 普通はバリコンが動かないので、すぐ気が付く。 しかし慣れないと無理に回転させれば、バリコンは壊れ 360度回転するようになる。 今回の障害は この取り付け間違いが 原因と思われる。 |
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ダイアル駆動機構が上記のバリコンの軸に組み合わされる。 矢印の部分が重なる。 このバリコン駆動機構はスリップが無いので、強力に廻ります、 バリコンの回転止めを壊すのは比較的簡単なようです。 この機種では 多くの壊れた実例があります。 (バリコンの容量が最大になるよう 軸を左向きに回しきり、 ダイアル表示が最小周波数を表示する位置で組み込むのが正しい。) |
修理品 | サンプル機 |
修理品 一見 怪しいとは思ったのですが、 普通は配線までやり直しませんので 疑いませんでした。 結果的にはリード線 青は配線先無(浮いている) 黒は間違った位置に接続されていた。 |
サンプル品の同じ場所。 |
動作確認中のクーガ115
radiokobo-all
2002年2月26日
2006年6月26日
2012年12月31日:
2013年1月12日:8,024
2023年8月3日:24,025