最近 自分で修理して 手が付けられなくなってから修理依頼をする方が多くなりました。
BCLラジオは数えきれないくらい修理しましたので、最近 素人が手を加えられたのか、
ラジオ屋さんで修理したのかは見分けられるようになりました。
どうか 最初に 正直に 言ってもらわないと困ります。
一見して 判別できる時は良いのですが、細かく分解しないと判らないことがあります。
オークションで購入した場合はそれだけ心構えが有りますが、あたかも最近壊れたような文章を書いて送られると・・。
壊れたと思って修理に着手すると、実は壊してあったなど 対策が悲劇的です。
その例1(http://radio.eucaly.net/a/R/RF-2200-2.html#20130904)
時々接触不良のような症状があって音声が出なくなり、スイッチを上下させると治っていました。
突然、ブ〜ンという音がでて、電源が入らなくなりました。どうかすると時々通電するようですが音は出ません。
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早速通電してみたのですが 通電できません。
電源スイッチが怪しいと思い 確認すると スイッチレバーを操作しても導通が有りません。
この部分にジャンパーを張って 無理やり通電しました。
凄い雑音が聞こえます、音量VRは無関係な大きな音量です。
ところが ランプも レバーを操作しないのに点灯するのです、それも雑音に同期してランプが明滅します。
原因は 電源 ランプ BFOの3連スイッチの不具合でした。
ランプスイッチが 常時ON状態になっているのです。
ランプスイッチは押した時だけON になるように跳ね返りスイッチになっているのですが、
この動作がうまく働きません。
どうも 半田つけ跡から見て 分解した様子です。
BCLラジオ修理読本にスイッチの分解修理の様子が紹介されているので 真似したのでしょう。
この修理方法は一見素晴らしいようですが、組み立てが難しいので 元に戻せなくなります。
真似しない方が無難なのですが、どうしてもという方は注意深くやってください。
元に戻せ無くて今回のような不具合に遭遇することがあります。
3連スイッチの裏側(基板のパターン面)の画像は下図のようになっています。
念のため 電源関係3連スイッチ(電源 ランプ BFO)を分解してみました。
基板から取り外したところです。
分解して 内部構造が見えるようにしたところ。
スライド接点が変形しているのがよく解ります。
これがこのスイッチが正常に動作しなかった原因です。
この金属片が 接点の金属部分をスライドして切り替えます。
しかし 接点の間が開いて 変形しています。
これでは接点の役割を果たしません。
このスイッチは完全に壊してありました、修理 不能です。
この状態で修理依頼されても困ります、たとえ修理できても 接点は長年の使用には耐えられません。
スイッチを交換するしか無いのです。
その2()
5300の修理 ダイアル糸が切れたとのことで修理依頼が有ったのですが、ラジオが到着してみると、
ダイアル部分が取り外されています。
ここまで分解されていると修復は費用がかかります、依頼人はダイアル糸ぐらいとお考えでしょうが、とても。
袋に入れられて 同封されていたダイアル部品。
この5300は修理はしないことになりました。
その3(http://radiokobo.sakura.ne.jp/G/bclradio-repair/5800-2.html)
修理歴は無いという 5800ですが、しかし 素人修理の痕跡歴然です。
症状は以下の通りです。 1.10分ほど使用していると急に聞こえなくなる(電源が落ちている・・・乾電池の液漏れの影響かも知れません) 2.ロッドアンテナがホップアップしない(これは購入してしばらくしてから割れた部品がラジオの中から出てきたと記憶してます) |
通電してみると 確かにSメーターの振れが落ちてきます。
しかし 電源が切れるほどではありません。
現象としては トランジスター不良とそっくりです。
基板とシャーシ部分を分解した処です。
どうもトランジスターを交換した形跡があります。
最近は 持ち主が修理歴が無いというBCLラジオで改造されているものが多いので、注意深くなっています。
段々 疑い深くなって・・、困ったことです。
パターン面の画像です。
注意深く見るとトランジスターの足が短く切られていません。
ソニーサービスの修理票もありません、素人が修理したようです。
下記画像は一例ですが 長いまま残されています。
念のため 2カ所 取り外してみましたが 足は新品同様です。
どうも 比較的最近交換されたようです。
取りはずしたTR (全く同じTRが使われている 見事です) |
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以前交換した古いTR (この5800のものではありません) |
実は 数日 あちこち調べたのですが、解決しませんでした。
液漏れの影響も考えて スイッチを交換してみたり フイルター付IFTを交換したのですが 解決しません。
普通の5800の修理の数倍の手間がかかってしまいました。
BCLラジオの修理は1週間以内が原則ですから 時間をこれ以上かけても 勿体ないし、手持ちの基板と交換して修理することにしました。
落ち着いたときに 原因の追究をしたいと思います。
アンテナのPOP UPが壊れたというので この対策もしました。
破損した部品が出てきたとは言われていたのですが、実際は部品が取り除かれていました。
破損しただけではありませんでした、壊してあったのです。
これも記憶違いかもしれません。
普通 POP UPが出来なくなるのは 右側の黒いプラスチックが破損することが多いのです。
白い部品は無理に取り外さないと 取り外せません。
バネも同様です。
自然には外れないのです。
ケースに組み込もうとしたのですが、どうも様子が変です。
スピーカーの取り付けかたが逆になっています。
スピーカーも取り外したようです、どうも怪しい限りです。
スピーカーのリード線は左側から取り出すのが正常です。
180度回転して 組み込んであるので 違和感があります。
さらに基板の部品に端子が接触する恐れもあります。
途中で 電源が落ちたという現象はあるいはこれが原因かもしれません。
スピーカーは正規の方法で組み込まなくてはいけません。
スピーカーを表から見ると 埃が溜まっているので どの方向に取り付けられたかすぐ分かります。
埃の付き方で 最近変更したことが判ります。
これらを総合すると 素人が 最近(数年以内に)弄り回したもののようです。
素人修理の後始末は大変なので 事前に教えていただかないと困ります。
いかにも素人工作らしい場合は解りやすいのですが、今回のように見事に工作してあると見分けがつきません。
非常に悩ましいのです。
下側のエッジに 埃が溜まっている。
昔の修理だったら 上側(間違って取り付けた時の下側相当)にも埃が無いとおかしい。
結果報告(2013年10月12日)
時間を見つけて修理しました。
高周波部分のTRなど怪しいと思われるところを交換、AM FM切替スイッチを交換、455KHzIFT(セラミックフイルター入り)を交換。
これで何とか正常に動作するようになりました。
あまり あちこち触ったので 根本原因がどこにあったかは不明のままです、残念。
その4 改造されたRF−2200の修理(http://radiokobo.sakura.ne.jp/G/bclradio-repair/bclH16.html#20121116)
これは 最初からおかしいと依頼主から言われたものです。
上記の例のごとく 隠して修理依頼されたものでは有りません。
事前に言っていただければ それなりに対応できます。
SW3.4.5.6が聞こえません。 SW1.2はきこえます。感度は?です。 MW聞こえますが目盛りが合ってません。 FM聞こえます。 修理および調整お願いします。 |
外観の綺麗な2200です、SW3〜6が聞こえないとは不思議と思ったのですが、
まず分解してみると、一部のケミコンが新品に交換されています。
どうもケミコンを交換すると音が良くなるという”伝説”が有るらしいことは、ネットで知っていましたが・・。
これは素人修理の悪い予感がしました。
ケミコンが壁に接着されています。
このような方法は 一見安全なようなのですが、現実には熱の影響で膨張収縮した時 悪影響が無いか注意が必要です。
なお 小生の持論は 無暗に部品を交換しない方が良いということです。
半田つけ不良や極性の間違いなど副作用も結構あります。
不良品の交換は当然ですが、無暗に改良と称して部品を交換するのは望ましくありません。
自分などトランジスターの方向を間違えて 何度泣かされたことか。
工作に絶対の自信のある方のみ実行すべきでしょう。
SW3〜6の受信不良対策
短波の受信不良は 現象からOSCの断線かパディングコンデンサーの不良と想像し、分解してみました。
ところが OSCの断線は有りません。
どうもおかしいと思い よく見ると パターン面の半田つけが変です。
部品を交換した形跡があります。
半田つけ跡から見て怪しいのは白く囲った部分です。
短波の発振コイル付近の裏面(パターン面)です。
理由は不明ですが SW受信用のTRを全て交換したようです。
普通は大変なので ここまでやりません、相当 修理経験のある方の仕業でしょう。
サービスマニュアルも当然お持ちでしょう、そうでなければ交換できません。
このような改造(修理)は初めて見ました、いやはや。
パターンが熱でとれやすくなっているので、もとに戻すのに苦労しました。
全数は元に戻せませんでした、とりあえず4個のみ復元です。
短波が受信できないので 無暗にトランジスターを交換して、確認したのかもしれません。
下記画像は取りはずしたTRです、秋葉原の秋月電子で10本100円で購入できるようなもののようです。
受信不能の場合、悪くなりそうな部品を順次交換することは良くあることですが、やみくもに交換するのは非常に危険です。
エミッタ― ベース コレクターの電圧を測定し、総合的に判断した後 交換すべきです。
良品のTRにとりあえず交換するのはいかにも安易な方法です。
参考資料
この部分の全体像は下記画像をご覧ください。
また詳細はhttp://www31.ocn.ne.jp/~radiokobo/bcl.htmlの2200の項をご覧ください。
ダイアルの糸かけ機構も弄った時の副作用か、ダイアル糸がプーリーから外れていました。
だいぶ 摩耗していますが すぐに切れるほどではないので、糸そのものはそのままとしました。
糸かけを正常な状態に戻して 修復完了です。
radiokobo-all
2013年9月29日
2013年10月12日:484 5800のその後を追加。