真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦! 追加情報(補遺)


補遺
書籍では紙数の関係で記載できなかった部分の追加情報です,

並四受信機(109ページ)

このラジオは昭和16年刊のラジオ技術教科書に掲載されたものですが、並四の典型的な回路です。
(元祖並四です、「旧並」と言う呼びかたがあるようです)
豆コンへの配線にコンデンサーの記号が抜けていました、正誤表をご覧ください。
@12Fは昭和12年に発売されましたので、それ以前は12B(あるいは112B)が使われていました。
Aペーパーコンデンサーが使われているので、コンデンサーの耐圧は300Vと表示されています。
実物のコンデンサーにはTEST500V 1000Vと書かれていることがあります、基本的には同じです。
ケミコンで修復する時はバイアス用は50V耐圧で充分です。
B56 26B 26Bと出力管に26Bを使ったものがあります。
この場合ヒラメントの巻き線が共通になっています。
26Bと26Bの間は必ず トランス結合で復元してください。
抵抗結合で復元するとまず発振して動作しない事が殆どです。
またトランス結合でも発振する場合は、トランスの極性を逆にしてみてください、これで殆ど解決します。 
この回路図に近い形で作られたのは昭和7年頃から14年頃がおおよその目安です。

並四受信機その2(国策型受信機)(110ページ)


表題は戦後となっていますが、戦前・戦後の並四ラジオの代表的な回路図が正しいです。
昭和14年頃から20年代初め頃までがおおよその目安です。
上記並四(旧並)と区別するため「新並」と呼ばれることがあります。
戦後6C6 76 12A 12Fでアマチュアーが自作しましたが、メーカー製で6.3V管使用の製品は見たことがありません。



放送局型123号受信機(115ページ)


@この回路図は発売当初の回路図です、正規型とも標準型とも呼ばれています。
回路図の詳細は書籍をご覧ください。
A昭和17年3月に改定された戦時標準型の回路図など詳細はラジオ工房の放送局型受信機と国民型受信機をご覧ください。
Bこの回路図で多少不思議なのは12Y−R1 12Z−P1の間の結合コンデンサーの容量です。
0.1マイクロファラッドが使われていますが、普通は0.01マイクロファラッドです、何故多いのかは不明です。
補修する時は0.01で大丈夫です。
C復元する時整流管を出た後の10マイクロファラッドのコンデンサーの容量はこれ以上大きくしてはいけません。
大きくすると ひ弱な24Z−K2が壊れます。
戦時型では整流回路の入力側に安全のために抵抗が入れてあります。
Dアース端子にコンデンサーが直列に入れてありますが、これは当時のコンデンサーの信頼性が悪かったためと思われます。
E感度調整用のVRはC型です、普通使われているA型は使えませんので、注意してください。
それと電流が流れるので、W数(大きさ)にも注意が必要です。


真空管規格表を作り直しました、ご利用ください。
ラジオの修理に必要な真空管の規格が抜けている、誤植が多いとのご指摘が有りましたので、追加しました。
ページ数の関係で、一部削除した真空管が有ります。
今回の変更は自分の責任で実施しましたので、間違いがあれば当方宛連絡ください。
真空管の規格表については出版社のご好意で訂正版をPDFで提供いただきました。
転載厳禁でお願いします。

規格表(転載厳禁)


2連バリコンのトリマ(コンデンサー)について


112 115 116 各ページの回路図で、バリコン並列のトリマが書いてありませんが、これは不要と言うことではありません。
バリコンには当然トリマがついていた時代の回路図なので、(元回路図で)記載を省略したのでしょう。
最近入手できるものはトリマ無し(2バンド以上のラジオ用)のものが殆どです、最大30PF程度のトリマをつけることをお勧めします。
経験上 このトリマが無くても受信できますが、最高の感度は期待できません。
なお ネジ締め式で容量のあまり大きなもの(例えば80PF)は使わない方が無難です、容量が小さい時に不安定です。
場合によってはトランジスターラジオ用の15PFトリマでも調整できることが有ります。
これで容量が不足する時は10PF程度のセラミックコンデンサー(温度特性0)を並列に接続すれば良いでしょう。



絶縁トランス付ケミコンテスターの記事追加しました。


本書に紹介のST管の5球スーパーを読者が製作しました、この「修理 調整体験記」も参考にしてください。


2004年7月14日
2004年7月15日
2004年10月5日
2004年10月19日
2006年5月30日



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