東芝 BCLラジオ
TRYX−2000

仕様についてはBCLラジオ博物館1をご覧ください。

シングルスーパーのBCLラジオとしては最も人気がある。
自分も気が付いてみたら沢山集めていた。
下の写真は手持ちの一部(現在お譲り出来る物はありません)。
ロッドアンテナがユニークで、デザインも人気の秘密か。
MWは周波数が非常に読みやすい。
短波帯は目盛り幅が狭いので、やや読み難い。
先日読者から短波帯(9730KHz)で正確に周波数が読めないと問い合わせを頂きましたが、
校正(CAL)は1MHzのマーカーですので、CAL位置から100KHz以上離れると、読み取り周波数に誤差がでやすくなります。
125KHzマカーのクーガ2200ほど正確には読めません。
これはこの機種の原理的なものなので、調整で修正出来るものでは有りません。
より正確に読むには100KHzのマーカー発振器を別途準備すると良いでしょう。
でも過大な期待をしない方が良いと思います。
またSW3はマーカーのイメージと本物の区別が難しくなります。
イメージは本物の910KHz下に出ます、強さがほとんど同じなので、注意してください。


下段中央が整備済みのもの、他は未整備、基板はTRYXー2000を分解したもの。

1)整備済みの東芝BCLラジオ TRYX−2000

2)東芝BCLラジオ TRYX−2000の内部

右側は表面のカバーを取り外したところ、左側は基板部分。
基板の取り外しは、比較的簡単だが、電源廻りがやや面倒。
バリコンは普通のラジオ用の物が使われている。
ダイアルは糸かけ式、直読ダイアルはツマミ側についている。

3)TRYX−2000の修理に挑戦

元箱入りのTRYXー2000の修理を依頼されました。
さすがに綺麗です、ダイアルロックが新品同様に出来ます、これは非常に珍しいです。
FMは動作するが、AMは全然受信できないとのこと。
こんな故障は初めてです。
早速調べてみるとFU(Function Unit)と呼ばれるIF部分のAM部分が壊れていることまではわかりました。
この部分が壊れると修理が大変なので、本来辞退すべきですが、あまりに綺麗なのでつい頑張ってしまいました。
このラジオは分解に苦労します、ソニーほどではありませんが。
普通の修理はここまで必要ありませんが、FUを交換するには基板だけにする必要があります。
なんとか基板を取り出しました。

基板を取り出したところ。
左中央部のアースパターンで四角く囲まれた部分がF.Uの取り付け位置です。
F.Uは中間周波増幅部分が一つのブロックにまとめられた物です。
東芝のBCLラジオに多用されています。
完全に金属でシールドされているので、安定度も高いでしょう。
若しかしてシングルスーパーのTRYX2000がダブルスーパーの5900なみの感度があるのはこのFUのせいでしょうか??。
恐らく量産効果を上げる為にも役立ったでしょう。



F Uの外観(左)と内部
悪戦苦闘の末 やっとブロックを基板から外しました。
中身は今回始めて開けてみました。
ICも使われています。
でもこの修理は確認方法が??。
結局 他のTRYXからこの部分を取り出して交換することにしました。



部品取り用のTRYXを整備して、動作を確認、 F Uを壊さぬよう丁寧に抜き取り、これをこの2000に移植しました。
書けば簡単ですが、気を使います。
何とか無事に動作するようになりました。
基板を元のシャーシに組み込みます。
電源回路に一部ラッピング配線(昔交換機に使われていた)が使われています。
工具がありませんので、仕方なく半田つけで修復しました。

FU(IFブロック)の交換が終った基板面。
下は取り外した(不良の)FU。

動作も快適と喜んでいたら、メーターが不審な動きをします。
分解してみるとパネルと本体部分の接着が外れていました。
指針と目盛りが接触する可能性があります。
メーターを修理して再組み立て。



無事修理完了。
目出度し目出度し。



2001年8月18日

修理例はBCLラジオの修理体験記にもあります。

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