真空管の分解 メタル管 とGT管 12SK7

普通の真空管はガラス管なので 中がよく見えますが、メタル管(金属管)は内容がよく判りません。
分解してみることにしました。

なおメタル管は1935年 GE(RCA)が開発したもので、あまりの斬新さと丈夫さにガラス管は無くなるのではと いわれるほど持て囃されたそうです。
ただ 製造が機械化され、設備投資が大変なので 中小の真空管メーカーが作れません。
ラジオメーカーにも反対があったようで、やがて性能は同じで 従来の技術で作れる互換球が作られるようになりました。
メタル管の発売から 数カ月後オクタルベースのG管が発表され 1938年にはGT管が発表された。
したがって 例えばメタル管の12SK7は 互換性のあるGT管は12SK7GTと呼ばれるようになりました。
42→ (ここからオクタルベース)6F6→6F6G→6F6GT
ただ互換性があると言っても電極の容量が微妙に異なりますので、高周波に使う場合は調整が必要です。
なお6SA7(12SA7も)だけは6SA7GT(12SA7GT)とはピンの引き出し方が異なります。

メタル管は軍用に主に使われる様になったようです。
民生用のラジオにはメタル管 GT管が混合して使われるようになりました。
整流管や出力管など大型の球にはG管が最後まで残ったようです。

なお日本でもメタル管が作られました。
東芝と日本電気です。
ただ東芝は戦時中に工場が被災したので設備がなくなり 戦後は 製造できなかったようです。
ただ日本では 生産量は非常に少なかったようです。 メタル管やGT管を分解してみました。
矢印の部分で4箇所 固定されていますので この部分をねじ回しで外します。





足の部分の半田を外しながら 引き抜くと 画像のようになります。







メタル管を分解したところ
空気抜き穴用のシールドはベース側に固定されています。
1ピンが金属部分に接続されています、これがシールドになります。



GT管とメタル管の引き出し面の様子。
GT管の空気抜き管のシールドは金属帯に接続され、この部分が1ピンに接続されています。
メタル管は当然ですが、ステムのガラスと金属が接合されています。
接合部分は最下部に近いところです。

 
 
金鋸で 外周部分を切断してみました。
上部には窪みが付けられていますが、この部分にシールド板が噛み合っているようです。
引き出すときに なかなか抜けませんんでした。








シールド部分は外周のケースと接続されています。
下側 手前の切断面の近くにリード線が見えます。
シールドと書いた部分が電極を保持する構造体になっています。
シールドと言うより 構造体と書いたほうが正確なのかもしれません。

上部のシールドは明確には不明ですが、管の上部にある窪み部分に嵌合されているようです。
抜き出す時に 抵抗感がありました。

ステム部分は当然ガラスです、ステムと外周(金属缶)は融着されています。


ゲッターの位置
ゲッターの位置は初期のものは側面にあったようです。
赤い印の部分

順次改良されているので 製品により異なるようです。
ちなみに 上記 12SK7の場合は最上面の「シールド」と書いた部分にお変色跡があるので、
あるいはこの部分にゲッターが塗られていたのかも。


2013年12月23日
2013年12月25日 :192 鋸で切断してみました。
2013年12月26日:306 メタル管の歴史を追加。
2013年12月27日








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