ソニー TR−63の修理 その2

ソニー トランジスターラジオ創世記のTRー63の修理です。
通電しても全く無音です、更に通電が安定しません。
安定しない原因は なんとリード線の斷線しかかりでした。
画像の矢印の部分 2箇所。



無音の原因は ドライバートランスの断線でした。
Tー63T1と刻印されたケースに入れられています。



分解したところ。



最終的には手持ちのドライバー トランスで このケースに入れられるものを選んで組み込むことにしました。
これで音が出るようになりましたが、非常に小さい音です。
調べてみるとケミコンの劣化です。



ケースです、スピーカーやイヤホーンジャックが組み込まれているので、基板の裏側にケミコンを組み込む余裕がありません。



最終的に ケミコンは背丈の低いものを2個並べて組み込み、
その上に古いケミコンを組み込んだままにして外から見えないように工夫しました。
下の画像は基板のパターン面から写したものです、全体画像のスピーカーのSERIAL NOの上に見えるケミコンの下側になります。



修理完了したTRー63 蓋を開けても 新しい部品は見えない。
なお 他に2つのケミコンも交換しました。
これは古いものは そのまま残し(回路的には切り離し)、新しいものをパターン面に半田付けした。
作業そのものより パターン面に組み込める大きさのものを探すほうが 大変でした。
秋葉原で あちこち探しやっと見つけました。


大きな○印は交換したトランス。
小さな○印はケミコンです。
ケミコンは 合計4個を交換。



赤い ケースのTRー63
こちらは製造番号が50000番代です、緑色のものは8000番代でしたから こちらが新しいです。
回路が違います。
見かけで大きく違うのは スピーカー右側のケミコンです。
この部分にも2個 合計で4個のチューブラ型が使われているのが判ります。

修理前の状況



分解したところ

調査の結果 ケミコンの劣化とトランジスターの不良でした。



取り外した トランジスター

エミッターとベース間がオープンになっています。



最終的に ベースとエミッターを半田付けし コレクターは浮かした状態で組み込みました。
基板上に シリコントランジスターを組み込んで 対応しました。



ケミコンは 古いケミコンをカバー扱いにし その下側に4個組み込みました。
ケースを開けた状態で見ると 修理した痕跡がほとんど判りません。






なお TRー63には2つの回路図が有るようです。
こちらの回路図は後期タイプのものです。
製造時期が古いものは(上記 緑色のもの)は回路が異なります、ご注意ください。 



修理して 1月後 赤いTRー63が帰ってきました。
音が出なくなったとのこと。
調べてみると 検波回路のダイオードが働いていません。
実はこの時代のソニーのダイオードは不良になる確率が高いのです。
TRー72の修理で散々泣かされてきました。


温度変化で プラスチック部品が伸び縮みし 
接触面が浮くことでダイオードがオープン(不良になる)になる。
ペンチで 両端を押さえると回復することが有るらしい。

今回使われているものは形名は同じですが プラスチックカバーが被せてあります。
生産した時期が1〜2年後なので多少改良されているとは思ったのですが・・。

実は修理中に回復して 音が正常に出るようになったのです、どうすべきか悩んだのですが、
また不良になると 困るので、現品は取り外さず 浮かせた状態にし、
新たにダイオードを基板下に組み込んで対応することにしました。
具体的には下記画像を御覧ください。






2014年3月8日
2014年3月12日:151
2014年4月17日:387








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