ソニー トランジスターラジオ ICF−110Bの修理


ICF−110Bの修理(2019年7月18日)

AM受信時 雑音が出る 電池動作の時 OFFにしても不思議な現象が起きるというものです。

まず分解しようとしたのですが 音質調整VRがケースに引っかかり 本体が取り出せないのです。
無理に引き出すと 破損させるので 慎重に作業します。
何とか VRを外して 引き出しました。
予想通り VRを本体シャーシに接着してあります、ご丁寧に金具まで変形させているのです。
やっと取り外した 結果は下記画像のとおりです。
シャーシ部分に接着剤が残っています。
このように後先考えずに作業されると非常に困ります。

なお 実際の組み込みは プラスチックの長方形の切り込みに、曲げた金属片を乗せるだけなのです。
これで上下(下の方はキャビネットの前面の突起で押さえる仕組み)は
本体をキャビネットに組み込むと固定されるのです。
この部分を組み込むのが多少ノウハウが必要で、
ここを接着されると 他の部分に邪魔されてキャビネットに入りませんし、
取り出すときも 出せないのです。

多分仮付けをして 組み込んだのでしょうが 迷惑な話しです。

さらに
もともと依頼主が購入した時点で接着されていて、 修理を引き受けた方が 構造をよく知らず 無理やり取り出そうとして 
出っ張りのあるフイルム部分を壊した可能性もあります。
そう言えば電源スイッチのツマミも簡単に取れるし どうも怪しい。
(抜き出すとき 邪魔になるツマミを無理やり外した)
 
この部分接着されていることに気がつか無ければありえる話しです。
そうすると 一方的に修理者を責めるのもかわいそうな気もします。
 
なおこのガリガリ雑音はソニーラジオでは有名です。
再発の可能性はあります。
TRの脚が銀メッキされていて 通電により 銀イオンが析出するらしい。
これが成長して 別の脚と接触し始めると故障が起きます。
脚が黒くなっているのがこの現象の証拠です。
この現象は突然起きます、段々酷くなります。
最後は受信できなくなります。

TR不良例(ICF−5800の例)



下記に同じ故障例があります。
http://radiokobo.sakura.ne.jp/G/bclradio-repair/bclH16.html




ダイアルフイルムが滅茶苦茶なので素人が分解したらしいとは思いましたが、
接着までするとは 困ります。

 後日談

持ち主とメールのやり取りをして判明したこと

最初は 不思議な動作(電源OFFでも 音が出る)だけの状態だったらしい。
これを修理に出したら この現象が回復することなく、ガリガリ雑音が追加されて返ってきたらしい。
それで当方に回ってきたようだ。

ただ 現象的にはガリガリ雑音は最初は微少で 段々大きくなり 最終的に不動になります。
したがって 修理の不手際で 出たものではありません、修理期間までは把握していませんが、
輸送や修理途中で 健在化したと考えたほうが 正しいでしょう。
この責任を全て 修理(業)者の責任にするのはちょっと問題かも。
(個人的には持ち主の誤解で自分の責任と考えるべきでしょう)

修理(業)者が この機種の修理に経験が浅かった場合
もし音質調整VRが接着されていることに 異常を感じなかった(知らなかった)場合
無理やり 分解しようとして 出っ張り部分のダイアル(フイルム)部分に無理な力が加わり
フイルムが破損したと考えると 状況的には説明が付く。

という事はこの110BのVRは誰が接着したかですが、持ち主がやって忘れていたのか、
あるいは 中古品を購入したかのどちらかと思われる

そのように考えると これまでの経過とあわせ 素直と思います。

接着されると 自分がやっても 取り出せなかった。
歪むほど無理すれば取れたかも・・。
もし破損品と知らずに修理に出すこと その不具合の責任は誰が負うかは悩ましい。
正常に動作するようになったので・・。

ご注意
この機種はICF−1100やICF−5500のご先祖に当たります。
回路も非常によく似ています。
ただ構造上 修理は数倍大変なので 安易に引き受けると泣きます。
自分はこの機種 大好きで10台以上手持ちがありますが・・・。
5500と同じと思って引き受けると酷い目に逢いますよ ご注意ください。

2019年7月24日





雑音退治

受信してみると雑音が出ると同時にSメーターも揺れます。
2SC710の不良と見当をつけました。
このTRは7個 使われています、オシロで 2SC710の電極をあたります。
下記画像の位置のTRが不良ということが判り、交換しました。
見つけるのは コツが必要ですが 極めて難しいという事はありません。
5800や5500などの場合 予防保守を兼ねて 全数(FMチューナー部分は1除く)
交換しているのですが、この機種の場合は実装の関係で不良箇所のみ交換しています。

そのため 将来的に壊れる可能性は残ります。
(今後 同じような現象が発生することがあります、ソニーのラジオに特に多い。)



残りは不思議な現象です。
SW OFFでも 電池が新しいときは不審な動作をするということで、
電源スイッチ廻りを調査しました。
SW OFFでも電流が2から3mA流れるのです、これでは電池がたまりません、使わなくても消耗します。
スイッチのリークを疑ったのですが、半田を外してみても不変で、スイッチは正常でした。
思わぬ部品の不良が判り 対応しました(非常に珍しい 詳細はノウハウのため非公開)。
そう言えば 大昔 同じ経験をしたおぼろげな記憶あり。

正常に動作するようになったICF−110B



なお 後日談
このラジオはどうも小生のところに来る前に 別の方が修理したらしい。
持ち主が 分解したと思っていたが 別人らしい。
いやに ダイアルフイルムが破損しているのも その時の傷らしいが・・。
この傷が持ち主の このラジオに対する愛情かと 勘違いして無理して修理した。
修理は事前に 事情を教えてください。
事情が判れば もう少し工夫のしかたもあります。
修理中止 フイルム部分の交換など・・。 

総合的に判断して 修理業者の意見を聞いていませんが、本当は修理依頼者の責任のほうが大きい感じがします。
うかつに修理を引き受けると とんだ被害になります、ご注意ください。
(2019年8月4日)


音量調整で0から急に音が出るICFー110Bの修理(2014年9月11日)

音量が0にはなるのですが、極く小さく出来ない現象です、それと音量の変化が何となく変です。
我慢できない範囲では無いとは思うのですが、気にすれば何となくいやらしいです。
hehexxxさんから購入したラジオらしく、心配して持ち込まれたもの。
お掃除名人の出品者からの購入品ですから 掃除はバッチリです、但し調整は全くやられていませんでした。



分解してみると 音量調整用VRがやはり駄目でした。
テスターで測定すると0Ωから急に200Ωに急変するのです、これでは音量が極小さくはなりません。
結局 別の110Bから移植して修理しました。





こちらにも修理体験記があります

先日SONY製「ICF-110B」を条件(音でない)つきで入手したので、修理をお願いしたい。

不良内容
・電池にて電源は入る
・ランプは点灯する。
・メーターはFMでは電源ON時にかすかに動く。
 上記状況なので音が全く出ない。(ガリっとも言わない)


確かに電池で電源は入り、・ランプは点灯します。
・メーターはFMでは電源ON時にかすかに動くが、音が全く出ない(ガリっとも言わない)。

MPX端子にクリスタルイヤホーンを入れてモニターするも無音。

分解したICF−110B

確かに電池で電源は入り、・ランプは点灯します。
・メーターはFMでは電源ON時にかすかに動くが、音が全く出ない(ガリっとも言わない)。
外観は今まで見てきたなかでは極上といえるほどでしたが、
不思議なことにフイルムダイアルに傷があります。

MPX端子にクリスタルイヤホーンを入れてモニターするも無音。
イヤホーン端子に外部スピーカーを接続しても駄目、
この部分にクリスタルイヤホーンを挿入すると 雑音がかすかに聞こえる。
取り外してみるとスピーカーの断線でした。
取り付け寸法の関係で、別のICF−110からスピーカーを取り外して組み込みます。

故障箇所が複数あるようで、これだけでは当然動作しません。


フイルムダイアルにさらに傷をつけないようにカバーして調査。
スピーカーの後方に基板が見えます。
メーターはIF増幅のTRのコレクター電流を読んでいますので、
まずTR不良を疑って、IFのシールド板を取り外しました。
(写真は取り外してある)
TRの2SC710のコレクター電圧が極端に低く0に近いです。
TR不良を疑ったのですが、違いました。
回路の状態を全体的に判断して電源回路用部品の断線と判明しました。
ただ悪いことにシャーシ(黒いプラスチックの構造体部分)の下側に位置する部品です。
このままでは取り外しも組み込みも出来ません。
半田鏝が使えないのです。
結局 基板とシャーシを分解して、取り外し、やっと組み込みました。
配線をあちこち外さないと分解できません、復元する時困らないように準備してばらします。
部品の交換そのものは短時間で出来ますが、小さいな中に部品が詰め込まれているので、
準備作業に時間がかかります。



部品面の写真です。
今回の故障部品はバリコンの少し右側という位置でした。


基板を外すとこうなります。
使われているバリコンはアルプスのハイポリバリコン 最大容量340PFのもの。
ちなみにICF−5800も同じアルプスのハイポリバリコンが使われていますが、
最大容量が違います(250PF)。

無闇に分解すると元に戻せなくなります、ご注意ください。


修理完了し、工作机の上でJORFを受信。

手前は取り外したスピーカー。

ソニー ICFー110Bの修理

落下させたので ダイアルツマミが硬い がりが多い ダイアル目盛の狂いです。
分解し ダイアルがスムーズに動くように調整 目盛を合わせ ました。
前面から見たところです。



ケースに組み込んだ 背面





SONY IC−11シリーズ 

何故かこのラジオを見ると買ってしまいます。
我が家には 少なくとも10台以上有リます。
中身が細かいので 修理の引受を止めていたのですが、何とかしないと勿体無い感じもします。




スピーカーなど部品が欠品に なっていますが、これでも外部スピーカーをつなげば動作します。
動作確認用にしようと計画しています。


動作確認用 ICF−110

前面のシャーシ部分を切りとりました。
これで 高周波部分のパターンが ほとんど見えるようになりました。
必要に応じ 各部分で動作状態が観測できます。

故障の110と比べれば 悪い部分の切り分けに役立ちます。


別のICF-110

これも無音でした、調べてゆくとSメーターは正常に動作します。
しかし 全く 無音です。
@MPX端子にクリスタルイヤホンを接続すると音が聞こえます。
A録音端子にクリスタルイヤホンを接続しても音が聞こえません。
当然スピーカーから音が出ません。
BAUG端子にクリスタルイヤホンを接続し、イヤホン端子に外部スピーカーを接続すると、
反応があります(マイクを接続する形になるので)。
ということは AF用ICは活きていることになります。




スピーカーを外したところです。
この状態で試験します。



可笑しいと思いつつ スピーカーを見るとなんと配線に緑青が吹いているではありませんか、
それより 断線しています。
ラジオは此れまで沢山修理してきましたが このようなものは非常に珍しいです。



リード線だけかと表を見るとなんと ボイスコイルからの中継線部分もこの状態です。


どうしようもないので 修理を諦めました。
どこまで錆びているか調査しようと分解したのですが、うまく見つけることは出来ませんでした。

背面の画像です、電池の液漏れで 電池金具だけでなく シールド板の部分にもサビが回っています。
ただパターン面の損傷は無いようで ラジオ自体は正常に動作します。
サビの感じから 電池の液漏れが スピーカーの裏側まで回った様子が感じれれます。



さらに 別のICF-110

この110は電池の液漏れ跡も無く 正常に動作しました。
残念なことに アンテナの先端が折れてるので 正常なものに交換することにしました。
この機種の アンテナも先端が折れているものが多いです。




   ICF−111  ICF−110(B)
正面     
背面  


2007年9月25日
2012年10月10日:3,504 リンク追加。
2014年3月18日:4,587
2014年3月23日:4,883
2014年9月11日:5,548
2019年7月18日:11,165
2019年7月22日:11,440 後日談を追加。
2019年8月4日:11,732

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