Zenith ゼニス 6D311 真空管ラジオ修理

1938年に発売されたラジオです。
見事にコンパクトにまとめられています。
300mAシリーズの真空管を使った最初期のトランスレスラジオです。
真空管は6A8G 6K7G 6Q7G 25L6G 25Z6G バラスト管の構成。
なお6Q7Gはメタル管6Q7に変更されていました。



通電すると 確かに微かに受信します。
アンテナの接続が変なので感度は極端に悪いです。
音質は普通ですが、しばらく通電すると音質が極端に悪くなりました。
鼻詰まりの感じなので 真空管かバイアスがおかしいのではと想像しました。



アンテナリードの引き出し方が変です。
コイルのホット側から直接引き出されています、いくらなんでも酷すぎます。
ハイ・インピーダンスのコイルが使われているので 断線させたようです。
その修理方法としては とんでもないやりかたです。

なお バリコンの上に正体不明のコイル用ボビン(磁気コアいり)が搭載されています。
配線は切断されていますが、オリジナル状態では接続されていた形跡があります。
回路図上では記載がありませんが、アンテナコイルの2次側の1部として使われていた可能性があります。


バリコンの最大容量を測定してみました、370PFでした。
アンテナコイルの2次側のインダクタンスは245μHでした。
計算しても この組み合わせで問題ないので 
謎のコイル(ボビン部分しか残存していない)はそのままとしました。


コイルの裏側(シャーシ内部)です。
この構造ですから コイルを取り外すのが大変でした。




苦労の末 コイルを取り外したところ。



取り出した コイル

なんとか 断線したコイルを取り外し 断線部分を苦労して接続し 修復しました。
ハネカム巻きの1次側が断線していました。



再度元通り組み込みます、これで 受信できるようになりました。


スピーカーが変だ!

各部の電圧を測定してみると出力管のプレート電圧が異常に低いのです。
整流管の出側では120V近くあります、平滑後の電圧は60Vです。
スピーカーのフィールドコイルで60Vも降下しています。

回路図によるとフィールドコイルは450Ωと思われるのですが 実測2000Ωあります。
原理を理解しない素人が たまたま同じ寸法のものに交換したのかも知れません。
コイルを巻き替えた様子はありませんので スピーカーごと交換した可能性が高いです。
このスピーカーはトランス付のラジオから抜き出したものでしょう。



スピーカーへの配線はコンデンサーが交換されているので 半田付けはその時やり直されているので、証拠は残っていません。
そのように思って見るとスピーカーが何となく色違いに見えてきます。



本来なら 交換すべきでしょうが、オリジナルと同じものを探すのは日本では至難です。
パーマネントにする方法もありますがこのままでも実用的な音量が出ますので、このままで良しとしました。


半固定バイアス

このラジオは半固定バイアスが使われています。
非常に嫌らしいです。
通電後 しばらくして音が悪くなった原因では無いかと疑い 調べてみました。


どうもバイアス関係の抵抗が2倍以上に高くなっているものがあり、これは交換しました。
ただ大きな問題が見つかりました。
バイアス回路のR10の抵抗(画像のR10)がアースされていないのです。
断線かと思い、外してみると 抵抗は大丈夫です。
実はこの抵抗は−B1と画像上側のEと接続され その端子は左横のE でシャーシと接続されていたのです。
どうもこの左側のEの部分で接触不良になっていたのです。
錆が酷いので このような事になったのでしょう。
途中で音質が悪くなった現象はこの部分も影響しているのかも知れません。

-B1 -B2と表示されている部分は回路図の上で 赤字で示した部分です。
-B2の位置はセメント抵抗R9の反対側 VR のスイッチ端子に相当します。
なおこの60Ωのセメント抵抗は 最終的に100Ωの普通の抵抗に置き換えました。



上記画像の修理後のものです、角度を変えて撮影してあります。
矢印の部分です。

抵抗は側面に半田付けして修理しました。



回路図上のR9に相当する部分は60Ω 5Wのセメント抵抗に変更されていましたが、
出力管のバイアスを もう少し深くしたいので 100Ωに交換しました。
これにより25L6Gのグリッドバイスは4V(←3.4V)になりました。

(オリジナルの抵抗値60Ωではバイアスが浅いので 100Ωに変更した)

回路図


修理後のシャーシ内部

バイアス関係の抵抗は大きく変化していたので 交換した。



IF 目盛合わせ トラッキング調整

IFTは470くらいになっていましたので 455KHzに合わせました。
C同調ですから 慎重に合わせないと不具合が起きます。
周波数の低い方の目盛は合っていましたので 高い方を合わせました。
100KHz程度の狂いでしたが 簡単にトリマの調整で終わりました。
低い方のトラッキング調整ですが、調整棒を挿入しても大きな変化ありません、これで良しとしました。
高い方はトリマで調整して終了です。
快適に受信できるようになりました。



JOAK(594KHz)を受信しているところ。



2014年11月1日:169

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(中津)




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