東芝真空管ラジオ かっこうD 6TB-121 修理体験記

自分で分解してキャビネットを清掃したそうです。
動作しないので、見て欲しいとのこと。
このラジオは機械的タイマーがついた、当時としては珍しいものです。
昭和31年製と思われます。



動作試験
まずケミコンテスターで 電源部のケミコンを試験しました。
何とか使えそうでしたが、同時に試験して 出力管の結合コンデンサーは絶縁不良でした。


なおこの機種は本来 切替スイッチつきのVRが使われていたようです。
最初 不思議な配線の仕方(空中配線)に悩んでいたのですが、
ラジオ屋さんの仕業らしいと判って 納得しました。
メーカー製ラジオとしてはありえ無い配線方法でした。
何しろ 大型の10KΩが空中配線で不安定なので、驚きます。
スイッチつきVRを取り外した時にこのように変更したらしい。




動作させてみると、かすかに受信します。
しかし、文化放送と日本放送が受信できるだけです。
調べてみると、バリコンのアンテナ側のセクションが羽根が入ったところで、接触していることがわかりました。
分解して、清掃すると、意外とバリコンの羽根を変形させて、駄目にする場合が多いです。

バリコンの修理をまずやりました。
全部の放送局が受信できるようになったのですが、感度が低いので更に調べて行くと、アンテナリードが断線しています。
これも 恐らく 分解時 壊したのでしょう。

これで大まかな修理は終わったので、ペーパーコンデンサーの交換です。
特に電源回路は「安全規格」のコンデンサーに交換しました。


なお シャーシとAC回路の間にはコンデンサーが設計上入れてありませんが、この部分にも追加しました。
これを入れると 短いアンテナだけを使う場合に感度が相当向上します。

次にIFの調整です。
455にあわせてゆくと、どうもうまく調整できません。

IFTを分解してみました。
特に不具合は無いようでした。
一度 IFTを分解して、問題が無いことを確認後 組み込んでみると、今度は発振します。
感度は良くなるのですが、良くなりすぎて発振するのです。
あちこちパスコンを入れてみたのですが、駄目でした。
結果的に100KΩの抵抗で、IFのコイル(プレート側)をダンプすることで落着させました。
200KΩでは発振しますので、いやらしいですが、原因は不明です。


トラッキング調整中です。
ダイアル目盛りは正確でした、1422KHzでトリマを調整して終了。



10KΩの大型抵抗を位置をずらせて、組み込みました。
6BA6のカソードバイパスと6AV6の結合コンデンサー(試験すみ)は交換してありません。
ACコードも安全のために交換しました。


キャビネットに貼り付けられていた回路図です。
赤字のように変更しました。

 ラジオの修理を自分でやる方は真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。
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2011年2月14日





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