東芝 614A

その2(2023年5月14日)


分解した直後の画像です。

アンテナコイルが バリコンの隣に有りません、最初修理したものは  上に有ります。



前回(下記画像)修理のものと 構造が微妙に違う アンテナコイルが上面にある



修理 直前の画像

ケイコンテスターで 通電試験をしています。
当然ですが ケミコンは駄目でした。
アンテナコイルは シャーシ 内に組み込まれている、OSCのマイナス(アース)配線もスイッチ経由では無さそう。
量産中に 変更された可能性が 高い。
SW付きVRも交換されてい無さそう(軸がオリジナルと同じ)。



不良コンデンサーを全て交換しました。

画像撮影後 VRからの0.01μFのコンデンサーもなんとなく気になるので 交換しました。




修理後も 全体画像



困ったのは ダイアルが正常に動作しないのです、スリップしてどうしようもありません。

苦労して 分解してみました。

前回と 構造が違うようです、糸掛けのやり方も怪しいのですが 途中のプーリーが有りませんので、
このままとし、滑り止めをして 正常に動くことを確認しました。



なお 貼付回路図を見るとPU入力の切替が違います。
VRは取り替えられますが オリジナルのようだし 配線もやり替えた形跡が有りません。
(特にOSCまわりの配線)

このラジオ 良く 見かけるので 2種るい有るのかも しれない。
回路図通りの方が ラジオの混入を防いで 合理的なのですが、
逆にPUにすると 6WC5 6D6のB電流が流れなくなり B電圧が上昇します、
マジックアイの電源はそのままですから 寿命が短くなる欠点は有ります。


嶋村さんの 好意による 回路図


その2(2004年1台目修理)

素人が 時間を掛けて修理したラジオです。
一応 音は出るのですが、どうも発振気味のところが有ります。
ツマミは全て 壊れています。

原因はVRを交換した時 元の軸を使わなかったためです。
本来は軸にスリットが入れてあり、これで ツマミを固定するしかけです。

 軸にはスリットがある  交換品にはスリットが無い

更に 悪いことにはダイアルがスリップして うまく同調出来ないのです。



黄色の線が使われています、ダイアル用の糸ではありません、素人修理によくあるパターンです。
オリジナルの糸掛けは不明ですが 明らかに不具合と思われるところがありました。
更に全体的に緩いのです、これではスリップします。
図のように糸掛けをやり直しました。

   


修理前のシャーシ内部です、これで一応音が出ます。
中央のPU切替スイッチ付きVRはスイッチなしに交換されています。
非常に苦労して 交換した形跡があります。
ただ 軸の形状とツマミの構造を無視した交換のため ツマミがうまく組み込めません。
このような時は オリジナルの軸を残して 延長すべきです。
結果として ツマミが壊れてしまったのかもしれません。



ペーパーコンデンサーが残っています。
動作には大きな問題はありませんが これらは交換しました。
修復後のシャーシ内部です。



実は上記画像の前に 動作試験をしたところ CONV IF 管のG2バイパス用コンデンサー(緑色のもの)を触ると発振するのです。
原因は不明ですが 内部の接続が緩いのかも知れません。
下記画像の 矢印の部品です。
取り外してみたら 品名は書かれていません、見たこともない形状で もしかしたら中国製かも知れません。
この部分をセラミックに交換しました。

なおマジックアイは真空管が劣化しているだけでなく 抵抗も断線していました。
この部分は修理していなかったようです。



調整

なおIFTの調整を試みましたが 軸がペンキで固定され 動かせません。
いろいろ工夫して4個のうち3個が何とか動いたので 455KHz付近で 全体的にピークになるよう調整した。
(動かないIFTに合わせた感じです)


もう1つは 半固定パディングコンデンサーが使われていることです。
東芝のこのシリーズは固定コンデンサーが使われているはずなのに怪しいと思いました。

いろいろ調べてみると 発振コイルはスターのものに交換されています。
これで目盛に合わすために 半固定パディングコンデンサーに交換したのかもしれません。

ただいろいろやってみると 目盛合わせがうまく出来ないのです。
これほど狂いの有る機種は非常に珍しいです。
コイルの組み合わせを間違えたと思われます。
アンテナコイルはオリジナルの可能性が高いです。

ダイアル目盛の始点をずらせて 目盛が合うようにすると JOAKを受信する時 アンテナコイルのトラッキングが取れないのです。
(マジックアイの閉じ方が 小さい)
試行錯誤のすえ トラッキングが何とか取れる位置でJOAKを受信するようにダイアルの指針をあわせ 1400KHzで目盛を合わせることにしました。
この場合 トリマでは調整範囲を逸脱するので 固定コンデンサー(温度補償タイプ12PF)を発振側のバリコンに付加しました。
画像で様子を示します。

なおアンテナコイルは容量を出来るだけ減らす意味で 巻線間隔を図示のごとく少し広げました。
 1400KHzでのトラッキングはトリマのネジがダメになっていて調整不能なので
新たにトリマを付加して調整した。




調整が終わり 組み込んだところです。
ただツマミが壊されてるので どう修理するかが今度の課題です。
とりあえず 軽く差し込んで状況を撮影。



ツマミはプラスチックが割れていたので 接着剤で固定 さらにそれだけでは心配なので 外周にテープを巻いて補強した。





ツマミの軸はスリットを入れて オリジナルに近づける工夫をした。
前回の修復時の手抜きが とんだ手間を取らされた。



2014年7月18日
2014年7月20日
2023年5月16日:1750

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