スタンダード 真空管ポータブルラジオ SR-540の修理

オークションで落札し、最初は少し動作していたのでずが直ぐに鳴らなくなってしまったものです。
というラジオの修理です。

電池がありませんので まずアダプターでの動作確認です。
この種のラジオはAC動作時 ヒラメントは直列に接続されます、うかつに通電しては断線の恐れが高いです。
通電は慎重に行う必要があります。









まずケミコンが容量抜けしているので 交換しました。




これで慎重に通電します。
ところがB電圧が数V以下しか出ません。
アダプターも調査しましたが 異常なしです。
B回路を切り出して 測定してみると アースとの間が40Ω位です。
回路をどのように見ても アースされる場所がないはずなのに 頭が混乱してきます。
もしかしてアダプターの差込で切り替わるSWの不良も疑ったのですが・・。

まず B回路を切り離してもアースとの間に約40Ωあるのは変わりません。
IFTなどの接地を疑いました。
念のため真空管を抜いてゆくとコンバーター管を抜くと導通が無くなります。
念のため 調べてみると1R5SFが挿してあるではありませんか!。
正規の1AB6を挿すと 問題はありません。

両者はよく似ていうのですが、1R5SFは@ピンとDピンが接続されているのです。
このため1AB6の代わりに1R5SFを挿すとDピンにB回路が接続されているので、
結果的にB回路がヒラメント回路経由で接地されることになるのです。
どこでどう間違えたか知りませんが、酷い目にあいました。
ほぼ2日間 あれやこれやと悩んだ末の結論です。

1AB6と1R5SFのピン配置図

 1AB6  1R5SF
   

1AB6のDピンはB電圧が加わります。
@ピンはヒラメント回路ですから 当然数2.8V程度です(配線図から計算)。

ところが1R5SFの@ピンとDピンは真空管内部で接続されています。
1AB6の代わりに1R5SFを挿されると @とDは接続されているので、
B電圧はヒラメント回路の電圧に近くなるのです(B電流が流れるので多少は上昇する)。

これで原因がわかりました。



なお 球が違うことを見つける前は配線を順次調べて行きました、配線が纏められていて 
追跡がすごく大変でした。
普通のラジオと大きく違うところです。
下記画像で 配線を追いかけてゆく状況を想像ください。







球の挿し間違いが 判明し、交換したら正常に動作するようになったので、コンデンサー類の交換です。
プラスチックで固めたペーパーコンデンサーを調べてみると意外とリークが酷いのです。
これらは全数交換することにしました。



交換したコンデンサー類



最終的に 交換した部品です。

ダイアルの糸かけ

どうも ダイアルの糸は滑って ダイアルがほとんど動かない、
どうもCRCでもすべりを良くする目的で噴射したのかもしれない。
なんとなく 油ぎっている。
それと つまみもなんとなく様子がおかしい。
素人が修理した感じがする。

最終的に ダイアルの糸かけはやり直した、ただ完全ではない。
バリコンが入りきった場所で 引っかかることがある。

オリジナル状態の画像



やり直し後




なおコンデンサー類を交換した結果 マジックアイの表示が同調にあわせ動くことが確認できた。
AVC回路では普通の真空管に比べ抵抗値が高いので、
コンデンサーのリークの影響でAVC電圧がほとんど動かなかった為と思われる。
(この部分が普通の5球スーパーと大きく違う)









コンバーター管も正規なものに入れ替えて これで完成です。

2019年9月21日:365

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