真空管ラジオの修理 サンヨー 真空管ラジオSS−70 修理体験記

SANYO製SS−70 5球mtトランスレスタイプのラジオをアンティークショップで見つけました。
店の方に動作させてもらい、NHK第一(大阪666KHz)や、その他民放が受信できることを確認し購入しました。
ところが、家で電源を入れてNHK第一にチューニングし数分した後、突然聞こえなくなりました。
電源と低周波の高音/低音の切り替えスイッチを兼ねたダイアルを何回かカチャカチャ動かすと、聞こえるようになりましたが、またすぐに聞こえなくなりました。
現状はチューニング針の1400Kc以上の表示の部分ではラジオ日本(1422kc)などが
聞こえることもありますが、1400kc以下ではノイズも弱くなり受信できていない状態です。
このラジオはデザインが好きで特に翡翠色したマジックアイに惚れ込んでいます。
このラジオで夜NHKのラジオ深夜便を聞きたいとおもいます。

到着後 まずケミコンテスターで試験しました。
ケミコンの漏洩電流は1.5mAまでしか下がりません、少し多いと言う感じです。
出力管のG1の直流電圧を測定するとテスターの針がかすかに振れます、結合コンデンサー0.002μFを交換しました。
これででとりあえず通電してみる事にしました。
最初 音が出ていたのですが、様子が確かにおかしいです。


分解直後のシャーシ内部。
フローティングアース方式です、回路図はキャビネット底面に貼り付けてありますが、
汚れて読めません。
直巻き式の電源トランスが使われていて、パイロットランプとマジックアイのヒーター電圧を供給します。
B電圧もマジックアイを光らすためにステップアップされています。

真空管は12BE6 12BD6 12AV6 35C5 35W4 6E5の構成ですが、
出力管は30M−P23に交換されています。
またマジックアイは抜いて調べていませんが、6Z−E1のようです。

VR付近が脂ぎっているのが多少気になってはいたのですが・・・。


真空管を調べようと 抜いてみると、ソケットが濡れています。

何度拭いても滲み出してきます、どうも接点復活材かCRCをかけたようです。
たっぷりかけてあるので、2枚合わせのベークソケットの間に溜まっているようです。

写真は5回以上拭いた後で、真空管をもう一度抜いた時のものです。
これは困った事になりました。

残りの真空管も念のため調べてみたら同じ状況でした。

この修理は分解し、ソケットを新品に交換する必要があります。
写真で判るようにリベットで固定してありますので、穴あけからやり直す必要があります。
時間さえかければ修理可能ですが、費用を考えると躊躇します、困った事になりました。
(作業は全部部品レベルに分解し、再組み立てすることになります)

ただ確認する内に油状のものは接点復活材では無さそうだと思われるようになりました。
と言うのはベーク板で接点復活材を塗布し、B電圧をかけると、火花がでて、焼けてくる事があるのですが、
その兆候は無いようです。
あるいはもう少し時間を経過すると、あるいは発火するのかもしれませんが・・。

発火しそうに無いということで、受信できるように修理をしてみました。
IFTの調整をしましたが、Qが低下しているらしく、ピークの確認難しい状況でした。

正常に受信できる時と受信が出来ない時があります。
原因はバリコンのアースの接触不良と思われます。
念のため、リード線でアースを別途接続しました、これで安定して受信できるようになりました。


青色の線でアース母線に接続。


594KHzのNHK第1を受信しているところ。


1244KHzの日本放送を受信。
目盛りが大幅にずれています。

受信可能な最大周波数は1270KHzでした。
発振回路を調べてみると、普通のボビンに巻かれたコイルとチタコンによる固定コンデンサーです。
周波数がここまで違う事は常識的にありえません。

バリコンを見ると脂ぎっています、どうもCRCか接点復活材をかけたようです。
バリコンの羽根にかけると容量が増加して、悲劇になります。
実例はこちらにも。
バリコンの最大容量と最小容量時でどこまで受信できるか確認してみました。
カウンターはSSG(標準信号発生器)の読み取り周波数です。

バリコン 最大の位置で496KHzでした。

バリコン最小の位置で 1275KHzです。


結論

素人修理の悲劇はCRCの多用です。
骨董屋さんの得意の修理方法です。
mT管のソケットを交換し、バリコンの洗浄をすると、費用がかかるので、
ここまでで使っていただく事としました。
ただソケットのリークで火災になる可能性も0ではありません、充分注意してご利用ください。


今回は出力管のG1の結合コンデンサーの交換と、
バリコンのアース配線の不良のみを修理しました。
修理完了時のシャーシ内部の写真です。

ご注意
販売店には依頼主から苦情を申し入れていただく事としました、放置すると第2 第3の犠牲者がでます、まったく困ったものです。

その2(2009年3月9日)

埃まみれのサンヨーSS−70の修理です。
ここまで汚れている物は、珍しいです。
分解して、キャビネットは洗剤をつけて、水洗いしました。




糸ヒューズが使われています、5Aくらいでしょうか。
バネの材質が悪く、ガラスヒューズを入れると接触不良になります。

調べてみると 2本のガラスヒューズが必要です。


写真には画像がありませんが、
アンテナコイルはスターに交換されていました。
回路図を追いかけて行くと、添付の回路図と大きく違います。
改造されているのか、最初から変更されていたのかは不明です。


ダイアルの指針が変な位置で半田付けされています。
この位置では目盛りが狂います、何故こうなっているかは不明です。



動作試験中のSS−70。
12BE6がエミ減でした、
動作はしますが感度が低いので交換することにしました。


修理後のシャーシ内部。
相当改造されているので、それに対応した修理としました。
イヤホーンジャックやヒューズホルダーの接触が悪く、
意外な部分の修理で功労しました。

ケミコンは不良になっていたので、交換しました。
その他、ペーパーコンデンサー類も交換してあります。
ACコードも交換しました。


マジックアイも新品に交換しました。
6E5が使われていて、プレート電圧が150Vくらいですから、
中古品で光らせるのは厳しいです。
添付されていた回路図です、このとおりではありません。
大幅に改造されていました。




修理のノウハウや資料については下記の書籍をご覧ください。



2006年9月24日

2009年3月5日:0473

2009年3月9日:0489






ラジオ工房修理メモ

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