真空管ラジオの修理 PHILCO 60 真空管ラジオ修理体験記

昭和10年前後のものと思います。
症状は、ここ最近、放送局に同調したら、雑音が大きくなり、放送が聞き取れなくなります。
他には、少々ハム音が出るくらいなのですがずいぶん長く使ってるものですから今後も使ってゆきたいと考えています。

まずケミコンの漏洩を調べて、通電しました。
確かにハムは出ますが、音は小さいながら受信します。
同調すると、ピーという音が出ますが、我が家のウオシュレットのIF妨害のようです。
調べてみるとIFが465KHzになっています、原型は460KHzですから、多少変化していることになります。
455KHzにあわせることにしました。


背面から見た60型。
どうもこのタイプは1933〜1936年にかけて製造されたようで、
キャビネットの形からすると1936年製らしい。


真空管は6A7 78 75 42 80です。
75のシールドケースは無くなっています。
中央の四角のケースはアンテナコイルと発振コイルです。
IFTは丸い管です。
ペーパーケースのケミコンが2個使われています。
これは残してあるだけで、電気的には使われていません。
真空管は80がエミ減でした。
B電圧が280Vくらいしか出ません。
AC電圧が280Vくらいありますので、新品に交換すると300V以上は出るでしょう。
中古の5R−K19を利用した代用真空管に交換すると330Vありました。



代用真空管80K。


シャーシの内部構造。
四角いケースに入れられたペーパーコンデンサーもシャーシ内部に残っているが、
電気的には切断されています。




修理後のシャーシ内部。
IFTの同調コンデンサーはシャーシの後ろ側にに配列されている。
調べてみると、それぞれの機能は表示のとおりです。

改造されている形跡があるが、
この機種は1933〜36にかけて沢山作られたらしく、
製造時期により回路図に変更があるので、厳密には不明です。


回路を追いかけて行くと、IFTa-2に47KΩがパラに接続されている。
取り外すと、発振するので、入れたのだろう。
調整と発振し具合を見ながら、最終的に150KΩに変更した。
これで大分 感度がよくなった。
ただ多少発振気味です、感度と安定度でバランスを取りました。


VRをあげてゆくと、発振するので、回路を調べると、75のプレート回路のバイパスがありません。
200PFを追加しました。


78のトップグリッドが緩くなっているので、接着剤で固定した。
IFTをオリジナルの460KHzに戻すか、455KHzにするか悩んだが、455の方が温水便座の影響から逃れるには、
他のラジオと共通の方がよいだろうということで、455KHzとした。
ダイアルの目盛り合わせをしたが、比較的良く合うようだ。

最後にトラッキング調整をして、終了。

なお このモデルは2バンドになっているが、目盛りあわせなどは出来ないので、調整はしていない。
ラジオ日経の4M バンドの受信が出来る。


外観は非常に綺麗です。
内部は相当手を入れてあるようです。
どこまで改造したのかは、不明です。
裏蓋はありませんでした。

回路図などは下記にあります。
http://www.philcoradio.com/tech/60evol.htm
どうしてもハムが取りきれないので、再度分解して調査した。
まさかと思ったが、スピーカーの配線を調べて驚愕、接続間違いでした。
42のプレートとB電源の出力端子が逆に接続されていた。
昔修理した時、逆に接続したようです。
これでハム音は非常に小さくなった。



図のように配線されていた。
真空管ラジオは沢山修理してきたが、このような経験は初めてでした。
ハムが少し多いなとは思ったのですが、この配線でも正常に動作します。
もう少しで、見落とすところでした。
スピーカーの配線がオリジナルに比べ、長くなっているので、
昔修理した人が間違えて配線したようです。
経験豊富な方が修理して、販売した物にこのような間違いがあるとは。
気がついて良かったです。
後日 自分が恥をかく恐れがありました。


裸の状態だと正常だが、キャビネットに収容すると、発振気味なので、
42のプレートに0.0047μF(1000V耐圧)を追加した。

 ラジオの修理を自分でやる方は このホームページの他真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。
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2009年2月25日

2009年2月27日:070 スピーカー配線などを追記した。

2009年3月3日:191




ラジオ工房修理メモ

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