真空管ラジオの修理 オンキョー OS−11 mT管5球スーパー

オンキョーのラジオが修理にやってきました。
通電したら発煙したということです。

型名は記載した紙が紛失していてわかりません。
当然回路図もありません。
真空管は12BE6 12BD6 12AV6 35C5 25M-K9です。
おそらく20年代終わりから30年初め頃の製品と思われます。





コイルから出ている線は最初なんだろうと思ったが、
ケースの内部に薄い銅板が貼ってあり、キャパシティアンテナの残骸だった。
これはリード線を延長し修復できた。



中央左下のペーパーコンデンサーが破裂している。
これが発煙の原因か?。


12BD6のカソードに2KΩの抵抗が入れてあります。
嫌な予感がしたのですが、??。
(これが泣く原因??)


ダイアルの回転がすごく重く、180度回転しません。
どうも昔 修理した時、オリジナルでない部品をつけたらしい。
どこを改造したのかは定かでない。


ダイアルがうまく回らない、あちこち引っかかっている。
パイロットランプの取付金具のせいか?。
あるいは止ねじか?。

普通メーカー製のラジオでこの様に建付けが(?)悪い事はまず無いのだが。



ペーパーコンデンサーの試験をしてみたら残念ながら絶縁不良で、全数交換した。
1つは完全にパンクしていて、中の銀紙が飛び出している。
回路図が無いので、現物の配置と、容量、それに想定できる回路図(頭の中の)を付き合わせ、
1本ずつ交換します。
この種のラジオは間違った値や配線がされている可能性があるので、注意が必要です。
幸い2KΩの抵抗を除き、誤配線は無さそうです。

真空管のGMも真空管試験機で確認 OK.。
これでOKと通電しようとしたが、念のためヒューズを確認したらなんと10A管ヒューズが入れてあった、
これではヒューズを入れる意味がありません、危険です。
1Aのものに交換、通電しました。

音は出るが、ピーと発振して酷い状態です。
満足に受信できません。
外部アンテナをつなぎAVCを深くかけてやると何とか受信できます。
ここで12BD6のカソードバイアス2KΩが頭に浮かびました。
おそらくこの発振が原因で、バイアスを深くして、感度を落とし発振を止めたのでしょう。

アンテナコイルを見るとハイ インピーダンス型です。
これはアンテナによっては発振します。
メーカー製の場合、まず大丈夫なのですが、このラジオの場合、コイルがネジ止されています。
修理の時に交換した可能性も否定できません。
(メーカー製の場合 普通は鳩目で止めてある)

悩んだ末にもう真空管しか原因が無いと思い、交換してみたら快適に動作するようになった。
結局12BD6の不良だった。
再度真空管試験器で確認してみるとGMは正常だが、ショートテストでかすかにヒーターとカソード間にリークがあることがわかった。
ヒーター電圧が6Vくらいだとリークが検出できない、正規のヒーター電圧をかけるとNG。
しかしヒーターとカソード間の微小なリークで発振するとは予想もしなかった。
余りの事に別にもう1台ラジオを急遽準備して、この不良真空管を挿してみたら同じ現象が起こった。
持ち主に問い合わせたら、発煙するまで、正常に動作していたようなので、
最初気になっていた2KΩのカソード抵抗でゲインを極端に落として、動作させていたようだ。
念のため 別に準備したラジオに2KΩを取り付け、この真空管で試験すると感度は悪いが、確かに動作することがわかった。
このラジオの修理はおそらく30〜40年前にやったと思われ、当時のラジオ屋さんも苦労したと思う。

これでOKと調整をするが、どうも「がりがり」雑音が出る。
フォローティングアースとシャーシ(アース)が建付けが悪いためにダイアルを回すことで接触するのが原因。
仕方が無いので、シャーシアースに変更した。
(アース線をシャーシに直接接続しないでください、漏電遮断器が動作します。)

スピーカーは経年変化の為か、多少中心がずれている感じで、大きな音を出すとびりっつく傾向がある。
シャーシに直着け構造のせいもあり、これは交換できなかった。



修理完了したシャーシ内部。


今回交換した不良部品。


破裂したOILコンデンサーと10Aヒューズ。

ラジオには10Aのヒューズは危険です、1Aが適当です。


修理完了したラジオ。
何方か型名がわかれば教えてください。
しかし裏蓋まで全部そろっているのに型名が不明とはなんとも不思議。

注)
ラジオ工房の掲示板でakibaさんから同じ物がオークションに出ていると教えていただきました。
「オンキョー OS−11」と表示されています。
有り難うございました。
2005年9月11日


通電するとなかなか素晴らしい。



 ラジオの修理を自分でやる方は このホームページの他真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。
不明な点はラジオ工房掲示板に実名で投稿ください、修理ノウハウの提供は無償です。
初歩的なことでも結構です、ただし他人が解るように書いてください(神様や占い師にするような経緯を省略した質問は返事不能です)。

当方に依頼される方はラジオ修理工房をご覧ください、こちらは有償です。
 

2003年2月11日
2005年8月16日移転
2005年9月11日型名判明

2006年6月24日移転

修理のノウハウは「真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!」をご覧ください。




ラジオ工房修理メモ

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