真空管ラジオの修理 ナショナル 真空管ラジオ R−4D2

このラジオは当初R−402と思っていましたが、R−4D2と判明しました。
昭和12年に発売された物で、当時の定価75円でした。
同じ時期の並四などは30円くらいですから、倍以上したことになります。

58 57(プレート検波 半固定再生式) 2A5(半固定バイアス方式) 整流管80の4球式。


復元したナショナル R-4D2


凄い埃です。


ダイアルの糸も切れています。
この修理は想像以上に大変でした。
トランスには針金でペーパーコンデンサーが組み込まれています。


シャーシ内部の配線の様子。
大幅に改造されています。
コイルもスターに交換されています。
音量調整用のVRも500KΩが使われて、
400KΩの固定抵抗と直列に接続され、
スクリーングリッドの電圧を可変するつもりのようです。



整流管はベースがぐらぐらでした。
フィラメントの導通もありません。
一度分解して、半田付けをやり直しました。


ヒューズホルダーを分解してみると、90Vの端子に入れられています。



出力トランスは半田付けが外れています。
どうも素人に近い人が修理しようとして、
最終的に諦めた可能性が高いです。


部品配列。


500KΩ A型のVRがつけられているが、これは怪しい。
残りの配線からみて、オリジナルは10KΩのVRの可能性が高い。
B巻線のセンタータップが外れています、おかしいとは思ったのですが、
半固定バイアスとの記載を文献に見つけました。
ただB巻線は350Vあるので、半固定とすると、多少高すぎる感じはします。
これも修理を途中で諦めた為かも知れません。


コイルは「スター」に交換されている。
最終的に535KHz〜1630KHzが受信できるようになりましたが、
ダイアル目盛りとは合いません。





修復中のシャーシ内部です。
再生用のトリマはシャーシの背面(後方)から調整できる仕様だったようです。
この部分の部品が無くなっているので、新しい部品を考える必要があります。
結局80PFのマイカとポリバリコンの組み合わせにしました。




検波用コイルの中にバーアンテナの磁気コア破片を入れて、コイルのインダクタンスを増加させました。
アンテナ側コイルはなにもしていませんが、トラッキングは取れています。
元々はmax430PF用のバリコンと組み合わせるコイルと思われます。
原理を理解しないで修理しようとしたのでしょう。

オリジナルはこの部分からドライバーで「トリマ」を調整する仕掛けでした。
部品も紛失しているので、ポリバリコンを使い、
小型のツマミを組み込んで、簡単に再生が調整できるようにした。
右に回すと再生量が減少します(音が小さくなる)。

修理完了後のシャーシ内部。
実はバイアス回路の470Ωは使わない方式で組み立てたのですが、
実際 動作させて見ると2A5のプレートとスクリーングリッドの電圧が300Vにもなるので、
フィールドコイルに直列に470Ωを入れて、20V程度B電圧を落としました。
2A5がエミ減気味で、電流が少なくなるためのようです。

回路図

いろいろな情報から推定して、下記のような回路図を考えてみました。
PU端子がついているのですが、今回は接続しないことにしました。
回路図は試行錯誤の末 このようになりました。

水魚堂回路図エディタBSch3Vでの作図は
井上さんに書いていただきました、感謝。
@元の回路図がありませんので、全て管理人の推測です。
この機種は半固定バイアスで、再生も半固定との広告がありました。
58のカソードバイアスは10KΩのB型VRの電流容量が心配なので、
それまで使われていた420Ωを流用した物で、
オリジナルは300Ωの可能性が高いです。
APU回路がついていましたが、これは省略しました。
B電源SWは側面についていましたが、VRに付属の物で代用しました。

C電圧
80の出力端:400V
B電圧:280V
2A5プレート:267V
2A5 G1:-19.5V
58プレート:280V
     G2:105V
    K:3〜50V
57プレート:185V
     G2:40V
     K:2V


交換した部品の写真、このほかVRも交換した。

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2009年3月24日:064
2009年3月26日
2009年3月29日:271




ラジオ工房修理メモ

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