ナショナル真空管ラジオ 国策2号受信機 KS−2

修理前のシャーシ内部


分解してみると AC100Vのリード線が全くの裸になっています。
このラジオの製作年代は昭和15年ころと思われるので、製造後70年以上経過しています。
その間に絶縁物が消えてなくなったということでしょう。
恐ろしいことです。
このような現象は ほとんど記憶にありませんので、非常に珍しいということでしょう。
コンデンサーは使えませんので、交換しました。
角型のケース入りのケミコンも勿論使えません。
これはリード線を切り離しただけにしました。
ケミコンのケース部分は見かけ上残っています。
真空管は58 57 26B 12A 12FKの5本です。
整流管はオリジナルは12Fです。
26Bのみエミゲン気味でしたが、大音量で動作するので、これで良しといました。
整流管以外は新品時に組み込まれていたものがそのまま残っていた感じです。


上記の拡大図です。

修理後のシャーシ内部


ACコードはビニール電線がついていましたが、製造当時と同じ黒の丸打ちコードに変更しました。
ケースに組み込まれているスイッチも壊れていたので、交換しました。

シャーシ上面からみたところ。


左から RFコイル 58 57 26B 12A 26Bの上側は整流管。
トランスは 想像以上に小型です。
シールドケースは鉄製です。

背面の状況

コードやゴムブッシュも交換しました。
黒の丸打ちコードに変更、先端はダルマ型のプラグ。
ヒューズは丸い名板を外すとあらわれる仕掛けです。
このような方式のものは珍しいです。
安全性は十分配慮しましたが、何しろ70年前の安全規格(考え方?)で作られた製品です。
使うときだけ コードをコンセントにさすなど使用上も十分注意してご利用ください。

ナショナル 国策2号 KS−2の正面


動作試験中です。
我が家ではアンテナを付けないでも受信できる程度です。
想像以上に高感度です。
26Bの増幅が1段ついているせいかもしれません。
音量が大きすぎて、多少扱いにくい感じがしました。
感度調整はコイルのタップ切り替えで行います。
(右側のツマミで3段階に可変)
VRでの調整に比べ、調整範囲が狭い感じです。
松下電器 国策受信機 2号 回路図 KS-2

添付された回路図は次の通り、基本的にはこの回路図に沿って修理したが、ケミコンの容量は大きくした。
回路図上4と2μFになっているがこれは400V 15μFのケミコンとした。
これでもハムは大きく出ます。

なお パイロットランプは直列接続になっていたが、ソケットに錆があり、接触不良で2個とも滅灯する現象が発生したので、
並列接続に改造した、こうすると最悪でも1個は点灯する。
真空管 58と57も直列に接続されている。
12Aと共通のヒーター巻線を利用しているためです。



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2011年7月19日




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