真空管ラジオの修理 ナショナル真空管ラジオ  DX-335

実は先日、オークションでナショナルの真空管ラジオDX-335を購入したのですが、マジックアイが閉じません。
バーアンテナ内蔵ですが付属のアンテナ線(3M)をアンテナ端子につけてもあまり変わらず、
10Mのビニール平行コード(0.75)を二本に裂いたものを付けても扇形の影が少し小さくなりますが完全には閉じません。
ラジオの受信事態は全く問題ありません。
マジックアイは新品です
ラジオを聞く分には全く問題ないがマジックアイ的には入力不足?
ただ出品者の説明には回路は基本的にオリジナルですが状態を判断して定数の変更や部品の追加を行いました。
特にハム対策のため、平滑回路を一段追加しヒータやボリュームの配線を工夫しましたとのこと。



内部は見事に修復されています、まるで芸術品です。
自分でもとてもここまでは出来ません。
非常に丁寧な仕事です。
率直な感想はやりすぎに近いと思います。
ここまでやると凄い工数です、とても真似できません。


内部の配線も全てやり直されています。
半田付けも綺麗です。
受信してみると 感度が悪いです。
外部アンテナを接続しても マジックアイが少し閉じるだけです。
配線を見ても間違いは無さそうです。

次にトラッキング調整を試みてみましたが、変化無しです。
ここまでくるとIFTを疑いたくなります。
慎重に調整しましたが、反応が鈍いです。

やむをえず、IFTを取り外して確認することにしました。


IFTを一個取り外して分解してみました。
まずコンデンサーの劣化を予測したのですが、軽微でした。
コイルのQを測定してみると、これも劣化しています。
ただ代わりを探すのが至難です。
あちこち捜したのですが、寸法と取り付け方法が異なります。
最終的に取り付け基板の清掃、コンデンサーの交換をして組み込むことにしました。

清掃前
清掃後

この後コンデンサーも交換しました。

IFTの構造や修理方法は拙著「真空管式スーパーラジオ徹底ガイド」をご覧ください。




修理完了時シャーシ内部。

この修復は非常に丹念に行われています。
外部入力の切替もPUに切り替え時、
ラジオの混入を防止する回路が組み込まれています。
6BD6のグリッドをアースする回路です。
オリジナルのラジオを見たわけでは有りませんが、
このラジオではこの回路にシールド線(外が黒色)が使われています。
回路図どおりの修復ですが、シールド線を使うのは非常に拙いのです。
この線を外し、代わりに普通のビニール線で検波管のダイオードを
アースするように変更しました。
(元通りの配線でも良いのだが、場所的にこの方が近いいので)


オリジナル状態における上記の拡大図です。
黒色外装のシールド線を取り外しました(取り外した写真)。
上記画像ではこのシールド線はありません。
代わりに白いビニール線でIFTBのG端子に接続してあります。
(こうするとPUに切替時 ラジオの混入を防げる)
修理はこれで終了です。
IFTを455KHzにあわせ、トラッキング調整をして完了です。




バーアンテナのみでTBSを受信中、我が家ではここが最強です。


感想

このラジオは非常に真面目に修復されています、感心しました。
この販売者のラジオは購入しても損は無いでしょう、今回は例外と思われます。
@シャーシやIFTなどまで塗装されているがここまでやらなくても良いのではと思います。
こだわるのであればIFT内部の清掃をやった方が性能の面で効果的です。
A高周波部分にシールド線を無闇に使用すると不具合です。
IFTの同調が大幅に狂いますので、今回のように感度の極端に悪い受信機が出来上がります。
オリジナルは普通のビニール線だったと思われます、安全を見込んでシールド線にしたのが失敗の元です。
Bシールド線の使用でIFTの狂いが大きく、結果的にこの部分が無調整だったと思われます。
シールド線の容量は23PFありました、Qも低かったです。
IFTの同調容量は150PFですから、15%狂っていたわけで、更にQが低いということは抵抗をシャントした形ですから、コアを2〜3回廻す程度ではピークが確認出来ません。

実験してみるとQの低下は150KΩの抵抗をパラに接続した程度で、想像以上にシールド線は高周波には弱いです。


何も接続していない時のQメーター
現在のQの値は標準コイルの値に近い。
容量は500PFを指しています。
シールド線を接続した時のQメーター
@容量は23PFを示している
(477PFを指しているので、500PF−477P=23PFF)。
AQの値が著しく低下している。
これはシールドケーブルが高周波に弱いことを示す。
別途実験したら150KΩの抵抗をコンデンサーにパラに接続したことに相当。



ケースに貼付されていた回路図。

6BD6のG1 X印に接続されていたシールド線を外した。
その代わり、6AV6の2極管プレートをPU使用時アースする回路に変更した。
これは物理的にVRのスイッチと距離が近いためです。


 ラジオの修理を自分でやる方は このホームページの他真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。
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当方に依頼される方はラジオ修理工房をご覧ください、こちらは有償です。
 

2009年8月11日
2009年8月12日:22
2009年8月13日:62
2009年8月15日:301 シャーシ内部画像を大きくした。
2009年8月16日:347 Qメーターの画像を追加。




ラジオ工房修理メモ

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