ナショナル 真空管ラジオ BL-280の修理

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前面パネルは汚れが酷いです。

ネジを外してみると、内部は塵だらけでした。
あまりの汚れに、洗剤で洗いました。
汚れが落ちない部分は研磨剤で汚れを落としました。
ただ洗剤は悪くすると文字を消す恐れがあり、短時間で洗うのは止めました。

ネジは錆びていて、途中で折れるものも多く、困りました。
塵の中には楊枝まで含まれています。
画像は パネルを上に少しずらせて撮影しました。


側面パネルは簡単に外れましたが、下側の側面の台も無くなっています。
代用品を製作する必要があります。
スピーカーは幸い、無事動作しました。


シャーシの内部です。
コンデンサーはブロックケミコン ペーパーコンデンサーが絶縁不良です。
全数交換することにしました。
真空管は6BE6 6BD6 6AV6 6AR5 6X4 6E5が使われていました。
回路図では6BA6ですから、途中で交換したのかも知れません。
相当劣化はありますが、6AV6はGMが150マイクロ モーで、これは使えませんでした。
マジックアイの6E5は全く光りません。

ブロックコンデンサーは内部の液が漏れていて、漏洩電流が酷かったです。


この時代のナショナルのラジオに多いのですが、パイロットランプの配線がぼろぼろで危険なので、
全て交換することにしました。
ランプが全部で7個ついているので、作業は大変でした。
ランプそのものも5個 断線していました。
ACコードも皮膜が裂けている部分があり、これも危険なので交換しました。
配線が結構複雑なので、作業は大変です。


動作試験をしてみると、音が極端に悪いです。
バイアスが怪しいと調べたら、6AR5のカソード電圧がものすごく高くなっています。
原因は500Ωのバイアス抵抗が断線していました。
この抵抗が断線するのは非常に珍しいです。

ダイアルの糸も切れていたので、交換しました。
またバリコンの固定ゴムが半分溶けて、ぐらぐら動くので、ホットボンドで固定しました。

IFTを455KHzに調整し、目盛りあわせをして、
最後に1422KHzのJORFを最高感度になるように調整して終了です。


修理完了後のシャーシ内部。
ブロック コンデンサーを取り外し、ラグ端子を組み込んで、
これにケミコンを取り付けました。
アンテナ線も短いので、数mのビニール線を組み込みました。

スイッチ付VRは幸いにも無事でした。
2回路のスイッチがついたものなので、現時点 まず代わりは見つかりません。
このVRのスイッチでパイロットランプの点灯(PHONO)も切替ています。
このような回路は始めて見ました。

画像の右下は試験用マジックアイ 6R−E13(6E5の代用品)
この作り方は代用真空管の作り方をご覧ください。


添付されている回路図です。
この機種は半波整流のモデルがあるそうです、
整流管は6X4で同じなのですが、
プレートをパラに接続して利用しているとのこと。



今回 取り外した部品。
画像の部品のほかACコードも交換しました。

一番大変だったのはパイロットランプの配線の取替えです。
被覆がぼろぼろで、複雑な配線を間違えなく復元するのに苦労しました。
ランプそのものも殆ど断線していました。
マジックアイは全く光りませんでした。
6AV6のGMは150くらい有り、普通ならこれで音が出るはずなのですが、
全く 無音でした。
2極管部が悪いのかも知れません。





この写真はBL-280の全波整流タイプのものです。
同じ型名で半波整流のものがあります。

左端のツマミ:電源 音質3段階
中央のツマミ:音量 とPU切替
右端のツマミ:同調






JH4ABZさんのBL−280(半波整流タイプ)

左下のパイロットランプがありません、左端のツマミは電源ON OFF 音質調整 PU切替。
詳細はJH4ABZさんのホームページをご覧ください。


JH4ABZさんのBL-280.

電波科学 昭和30年(1955年)7月号 新製品紹介ページ



この画像で見ると、最初に作られたものは半波整流方式のもののようです。
何時から 全波に変更されたのかは不明です。


2010年9月17日
2010年9月22日:271 半波整流の機種情報を追加。
2010年9月23日:278 電波科学の新製品紹介記事を追加。




ラジオ工房修理メモ

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