ナショナル BL−240の修理体験記

全く 音の出ないラジオの修理です。
音が出ない原因は出力トランスの断線でした。
比較的 大型のトランスなので、現在の市販品と交換すると、大きさが制約になります。




出力トランスの断線修理

出力トランスの断線はST管ラジオでは良く発生します。
原因は巻線の品質に問題があった為です。
mT管時代になると、品質が向上し断線が少なくなりました。
出力トランスは1,000円程度で市販されているので、交換するのが早いです。
ただ寸法が昔のものに比べ、小さいので組み込む時に加工作業が必要です。
昔は替えコイルが販売されていて、簡単に交換できました。
今回は取り付け寸法の関係で、手持ちの替コイルを利用しました。


コイルの交換のため取り外したところ。

既製品の出力トランスです。
当然使えますが、取り付け穴の位置が違うので、
スピーカー側に加工が必要です。





出力トランス(シングル用)は当然ですが、コアはギャップがあります。
白い矢印の部分にパラフィン紙が挟んでありました。


コアを緩めとこのようになります。
これは直流磁化を防止するためのギャップです。
電源トランスやプッシュプル(PP)用の出力トランスはコアを交互に組み合わせるのでギャップはありません。
プッシュプル用の出力トランスは直流磁化が無視できるので、
ギャップが無いのです(巻線に逆方向の電流がバランスして流れる)。
なお
PP用のトランスはシングル用の出力トランスには原理的には使えません。
ただPP用のトランスは大型のものがほとんどなので、
少出力真空管の場合 実際使用してみて音質が悪くなければ実用的には使えるでしょう。


替コイルを組み込んだスピーカー。




調整中のシャーシです。



修理後のシャーシ内部。
コンデンサー類はほとんど交換しました。


今回交換した部品。


マジックアイの修理。

マジック アイは全く点灯しませんでした。
不思議に思い、半田をはずして付け直すと点灯するようになりました。
暗いですが、使えないことはありません。


新品のマジックアイを組み込んだところです。



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2010年6月15日




ラジオ工房修理メモ

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