東京放送局のラジオセットコンクールに応募し、1等に当選した3球ラジオを記念して発売したもの。
当選号R−31 そのものは3球で、感度も良くなかったので、あまり売れなかったらしい。
写真は
ラヂオの日本 昭和7年1月解説記事より。
再生は固定式で、調整が不要なため、扱いは簡単だが、当然感度は悪かった。
3球程度では再生を充分かけないと実用的には無理があった。
電源SWと同調のツマミしか無いことがわかる。
その後改良型を出した、その後のものは厳密な意味での当選号では無いと思います。
ただこのタイプのデザインのものをナショナル当選号型と称して、キャビネットを売り出す会社もあったくらい有名だったらしい。
正確には当選号シリーズと呼ぶべきかもしれない。
今回のR−43はそういういみでは実用的に使えるラジオだったと思われます。
ダイアルのエスカッションが無い。
電源トランス チューク 平滑用コンデンサーが鉄のケースに収納されているらしい。
中身は鉄ケースを分解しないと不明。
回路を追いかけてゆくと、抵抗やコンデンサーが沢山組み込まれているようだ、
困った事になった。
昔 修理しようとして中止したR−43のシャーシ内部です。
トランスのカバーが外されていたことが上の写真と比較してわかりました。
配線図がありませんので、実物で配線を追いかけてゆきました。
ただエンパイアーチューブが使われ、よじって有りますので、そのままでは追いかけられません。
テスターを使って、接続を確認してゆきました。
ここまで調べて、おぼろげながら全容が想像できるようになりました。
普通のラジオで使われている、抵抗 コンデンサー チョーク トランス類が鉄のケースに納められているらしい事です。
故障時の修理を全く無視した設計です。
修理をした形跡が無いので、おかしいとは思ったのですが・・・。
右下の3端子 2列のものは白いケースのトランス底面です。
この部分だけ修理、配線を変えた形跡が有ります。
恐らくコイルが断線したためでしょう。
後日224BのG2の配線にミスがあることを発見しました。
前回(恐らく昭和10年代)の修理の時間違ったのでしょう。
G2とRFコイルのBが接続されている。
電源トランスの鉄ケースカバーを外したところ。
ブロック型のペーパーコンデンサーを外したところです。
このコンデンサーは日本無線のシールが有りました。
アンテナコイルの切り替え用可変抵抗器。
ずたずたに断線しています。
抵抗値は不明ですが、断線していない部分の抵抗値から類推して2,000Ω程度ではと思われます。
この様な特殊なVRは入手できませんので、普通のB型VRで代用することにします。
トランスを外してみました。
パラフィンが充填されています、トランス類は内部で固定されているようで、外せません。
想像では 低周波トランス、スピーカー用チョーク 結合コンデンサーが組み込まれているのではと思われます。
部品を順次組み込みました。
ACコードでラジオ側のプラグが規格が古くて入手できませんので、直結としてまず修復しました。
1:3の低周波トランスは 元のトランスケースの下側に取り付けました。
この状態で通電してみました。
検波段以降は働いているようですが、放送波全く受信できません。
まずコイルの不良を疑って、分解してみました。
正直 お金に糸目をつけずに製作したという感じのコイルです。
見たことも無い構造で、外観からは厳密にはわかりません。
RF(検波)段のコイルの内部に丸いベークがネジで固定されています。
円筒の底なので、分解すると元に戻せなくなる可能性があり、これ以上の調査は出来ませんでしたが、どうも半固定コンデンサーのようです。
側面から見たコイル。
左側がANTコイル、右側がRF(検波)コイル。
コイルにDIPメーターを結合して、共振点を測定してみました。
RFコイルの方はバリコンのどの位置でもディップがありましたが、
ANTコイルの方は、バリコンの抜けたときだけディップを確認できました。
逆に言うと、バリコンの羽根が接触している様子です。
バリコンの羽根を整形して、全ての位置でディップすることを確認できました。
なおコイルのシールドを外しているので、共振周波数は低い方に移動します。
動作試験中のR−43。
シャーシ内部の模様。
グリッドリークの抵抗は断線していたので、裏側に1.5MΩの抵抗を半田付けしました。
オリジナルは1か2MΩと思われます。
パワーボックス(鉄ケース)の内部構造
この中には電源トランス、平滑用チョーク、抵抗3個、タップ付き巻線抵抗1個(実質2個相当)、それにペーパーコンデンサー多数が実装されていた。
幸い 電源トランスとチョークは無事だったので、そのまま使用する事とした。
247Bのバイアス用抵抗は抵抗値が増加しているがそのまま流用する事とし、その他の部品は取り外した。
端子も下記のように一部変更した(アース端子、47B中点の引き出し など)。
トランス類の故障は別にして、部品は交換の容易さを考え、外部に出す事にしました。
最初の修理ではカソードバイアス抵抗(抵抗値が変化している)は残しておきましたが、
抵抗は全て外す事にしました。
返送したところ、おかしいと言う事で返却されてきました。
鉄ケースの中でリード線が固化していたため、輸送中の振動で絶縁が取れたようです。
赤い矢印の部分で芯線が剥き出しになっている。
全て 絶縁物を交換することにしました。
トランス自体は交換できませんが、多少良くなるでしょう。
出来るだけオリジナル部品を残す前提で、抵抗も使用していましたがこれもやめました。
(ゆるみ止めに中に実装したままです)
オリジナルの抵抗も抵抗値が変化していたので、外付けで調整していたので部品点数としては同じです。
組み立てた電源箱。
修理完了したシャーシ内部。
ダイアルエスカッションは別のものを一時的に流用、少し寸法が違うようです。
真空管用のシールドケースのうち、検波管用は写真撮影時外してあります。
裏蓋も当然あります(撮影時はずしてある)。
この写真は今回修復のラジオとは直接関係ありません。
以前修復を試みたR−43型です。
参考
ナショナル当選号 R−31の回路図
修理のノウハウは下記の書籍をどうぞ。
トランスなど主要部品は製造後80年以上経過しています。
使用時のみコードをコンセントに挿すなど火災予防に 充分ご注意ください。
安全性の保証は出来ません。
ラジオの修理を自分でやる方は このホームページの他真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。 不明な点はラジオ工房掲示板に実名で投稿ください、修理ノウハウの提供は無償です。 初歩的なことでも結構です、ただし他人が解るように書いてください(神様や占い師にするような経緯を省略した質問は返事不能です)。 当方に依頼される方はラジオ修理工房をご覧ください、こちらは有償です。 |
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