ナナオラ 30B

ナナオラの非常に珍しい初期 並3です。
沢山ラジオは見てきましたが、このような横型キャビネットの並3はこの機種だけと思います。
10年以上前に持っていましたが、処分しました、残念。
この機種を見たのは2台目です。
ただ残念ながら この機種は 内部が無茶苦茶に改造されています。
なお並4とは昭和7〜8年ころ5極管が発売された時期に、それまでの貴重品だった3極真空管が並みの球に落ちぶれ、
その3極管を使ったラジオが並4とか 並3とかと呼ばれた物です。
ちなみに当時 5極管を検波に使った3球ラジオは3ペンと呼ばれ、多少高価だったようです。

その後5極管が普及すると 昭和13〜14年ころから5極管を検波管に使ったものも並4と呼ばれるように変化しました。




分解してみると 何かと様子が変です。
6C6 76 12A 12Fの真空管構成になっています。
この機種はもともと珍しい並3(本当の意味の3極管による)だったはずです。
下記資料をご覧ください。
形名は30型となっていますが、外観は下記資料から30B型のようです。
シャーシそのものは全く同じで、キャビネットの違いで、形名が異なったのでしょうか。

昭和14年の卸屋さんの資料です。
http://radiokobo.web.fc2.com/siryou/14.html

昭和14年初めには製造中止になっているので、おそらくこのラジオは昭和12年ころに販売されていたものと思われます。



56 12A 12Fの3極管による並3が 並四に改造されています。
2.5V 6.3V管の混合ですからヒーターはどうなっているか心配です。
コイルもスターの戦後のものに交換されています。
バリコンはセルロイドをセパレーターにした古い時代のものなので、交換されていない可能性が高いです。
並3受信機の場合、増幅度が低いので、1:6程度の低周波トランスも使われていたはずですが、これもありません。






シャーシ内部の様子


とにかく分解しないとどのようになってるか不明です。
紙ケースのケミコンも後日 組み込まれたもののようです。
部品の様子から戦後に改造されたものと思われます。
2.5V管の入手が難しかったので、6.3V管を使用したのでしょう。


部品を外したところ。
どうも6.3Vのヒーター電圧は2.5Vと5Vを直列に接続して作られていました。
計算上7.5Vになりますが、巻線が細いので、おそらく7V程度に落ちていたとは思いまうが、
恐ろしいことです。
2.5Vはまだしも 5Vの巻線は0.25Aの12A用ですから、直列に接続すると
0.25 0.3 0.3 0.15(PL)の合計1Aの電流が流れます。
4倍の電流を流すわけで、いくらなんでも危険です。

増設分の真空管は2.5V球を使うことにしました。

57 56 12A 12Fの4球です。
2.5V巻線はもともと1.3A?で太い線が巻いてあります、最終的に2.15A流れますが、こちらの方が無理が少ないでしょう。
実際電圧を測定してみましたが、大丈夫でした。

オリジナルの並3に戻すには部品の関係や、感度が低くて実用的でないので、やりませんでした。


修理後のシャーシ内部。

新しく組み込んだ部品はほとんど新品に交換しました。
抵抗も無理すれば使えたかもしれませんが、心配なのでこのようにしました。
平滑回路のケミコンは整流管を出たところで10μF 、
1.5KΩの抵抗を出たところで100μF(これは手持ちの関係です)。


受信してみると 想像通り低い周波数が受信できません。
戦前のラジオのバリコンは容量が小さいので、逆にコイルの容量が大きいのです。
したがって 戦後のコイルに変更するとこのような現象が発生します。
仕方がないので、コイルの中に磁気コアの破片を入れて、コイルのインダクタンスを増加させ、
低い周波数でも受信できるようにしました。

受信してみると それでも分離が悪いです。
混信が酷くて実用的に使えません。
バリコンの不良です。
Q メーターで測定しても 振れが極端に悪いです。


やむなく 取り外して、洗剤で水洗いし、乾燥させました。
これで何とか実用的に使えるようになりました。





電源コードも製造当時と同じ 丸打ちタイプのコードに変更して修理完成です。

キャビネットの補修は川辺さんの工作です、見事な仕上がりです。
キャビネットを含む写真は川辺さん提供です。
有難うございました。

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2011年9月9日
   
  







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