真空管ラジオの修理 自作5球スーパーの修理

ST管5球スーパーの修理を引き受けました。
到着したラジオを見ると自作品です。
大分心配したのですが、中身はごく標準的な回路の5球スーパーでした。

なぜか違う種類のツマミが付いています。


厳重に梱包されています。


シャーシ上面。
シャーシはごく薄い鉄板。
このためもあってか、トランスが唸りやすい。



シャーシ内部。

真空管を全部抜いて、通電してみました。
物凄い音がします、トランスが唸るのです。
シャーシが凄く薄いのと、締め付け不足です。
これではとてもラジオは聞けないと思うのですが、最初から動作していなかったのでしょうか。

真空管をTV-10で試験すると
6WC5    OK
6D6     OK
6ZDH3A  OK
6ZP1    OK
12F     エミ減(NG)
6E5は使用痕跡がありますので、総合するとこのラジオは最初は動作していたと思うのですが、
真空管だけ別のラジオから持ってきたものでしょうか?、いささか不思議です。

このラジオは自作品の例にもれずダイアルの糸が切れています。
機構的に無理があるのか、自作品は切れる確率が高いようです。
このラジオは残念ながらバネまで紛失しています。


パネル固定に+ネジが使われています。
どうも最近一度修理に挑戦したようです。


手持ちのバネを適当な長さに切ります。


両端を加工します。


ダイアルの糸かけ完了です。
意外と手間がかかります、やりたくない作業の一つです。


コンデンサーは全て交換しました。
抵抗は全て交換して欲しいというご要求でしたが、
試験したら使えるのでそのままとしました。
無駄に費用をかけても仕方がありません。
ラジオ全体の部品が極度に弱っているので、
抵抗だけ新品にしても無意味です。

音量調整用のVRは「がり」があるだけでなく、
500KΩB型が付いていますので、
これは手持ちの新品500KΩA型に交換しました。


動作試験
修理完了したので、動作試験です。
試験用真空管で、まず動作試験、その後本番用の真空管を挿入してIFの調整を終了。
ここまでは順調でした。
ところがダイアルの目盛りを合わせようとすると合いません。

どうもこのラジオはコイル バリコン キャビネット(ダイアル組み込み)を別々に購入して組み立てたらしい。
多少強引に合わせました、これで実用的には使えるでしょう。
トラッキングも取れています。

12Fが不良です、持ち主はmT管にという御要求でしたが、
ソケットを交換すると簡単には元に戻せないので、
代用真空管に変更する事にしました。
シリコンダイオードと270オーム3Wの抵抗を真空管のベースに組み込みます。
こうしておくと12Fを入手した時、すぐ差し替えられます。


組み込み完了。
但し相当熱を持ちます、火傷や感電には十分注意ください。


新品のマジックアイをさして、撮影。
良く動作します。

但しこのラジオは
戦後の物不足時代に作られた部品で組み立てられています。
いつ漏電してもおかしくありません、トランスも相当発熱します。
不在時はコードをコンセントから抜くなど火災予防に注意ください。

 ラジオの修理を自分でやる方は このホームページの他真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。
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当方に依頼される方はラジオ修理工房をご覧ください、こちらは有償です。
 


2003年9月2日

2005年8月16日移転

2006年6月24日移転

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ラジオ工房修理メモ

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