自作5球スーパーの修理(間違いの多い自作ラジオの具体例)

急に無音になったそうです。
無音になたた原因は出力トランスの断線でした。
中古の部品を集めて 組み立てたスーパーです。


真空管は6W−C5 6D6(6C6) 6Z−DH3A 6Z−P1 80BKです。
IF増幅には本来6D6を使うべきですが、6C6が使われていました。

最初は6D6と思い込んでいたいたのですが、放送局により歪むことがあるに気がつきました。
更に電圧試験をしてみると、IFのカソード電圧の変動が普通ではありません。
放送局により0V近くになることがあります。
AVC電圧でプレート電流が流れなくなっているのです。
これでやっとシャープカットオフの真空管が使われているなと気がつきました。
6C6でも受信できないことはありませんが、不都合が発生するので、6D6に変更しました。
電波が強いと、AVC電圧で6C6がカットオフしてしまいます。
これが音の歪む原因です。
短いアンテナを接続するとAVC電圧が8V近く発生します。
これでは6C6は使えません。


6C6と6D6は外見は全く同じですが、グリッドの巻き方が異なります。
6D6はバイアスが深くても動作しますが、6C6はバイアスが深いと動作しなくなります。
AVC電圧が(−)1〜3Vくらいなら6C6でも充分動作しますが、
電波が強く(−)7Vになると6C6ではプレート電流が流れなくなり、動作しなくなります。

AVCはグリッド電圧の変化によって、増幅率を可変し、一定の音量を確保する働きをします。


シャーシ内部
半田付けした端子に赤いペンキが全てにわたり塗られている。
米軍の軍用品の真似かも知れませんが、アマチュアーの組み立て品で百害あって一利無しです。
半田の取り外し、再度の半田付けで大変でした、端子の測定も満足に出来ません。
この扱いには苦労しました、皆さん 絶対真似をしないように。
配置は全体的には良いのですが、ケミコンと整流管の位置が拙いです。

なお 別途説明しますが、画面中央付近の6Z−DH3A付近の0.01μFのオイルコンと
100PFのセラミックコンデンサーは不具合です。
配置の不具合

発熱する整流管とケミコンを隣り合わせ、それも接近して組み込むのは拙いです。
肩が触れ合うばかりに組み込まれています。
ケミコンが不良になります、このケミコンも熱に炙られたのか容量抜けを起こしていました。


真空管の位置とケミコンの取り付け位置を それぞれずらせて、
少し離すようにしました。
従来の4倍くらいには広がったでしょう。
部品の下側に穴が有るので これ以上は難しいです、これで妥協しました。


全体的に電圧が高いので、おかしいと思って調べると、
90V端子に配線してあるではありませんか・・。
90V端子に100Vを加えてあることになります。

100V端子に接続して、試験すると今度は通電しません。
調べて見ると90V端子と100V端子の間で導通が有りません。
いやはや困ったことになりました。

このような不思議な故障は非常に珍しいです。


トランスを交換すれば良いのですが、費用を考えると悩みます。
とりあえず 暫定処置で下記のように対策することにしました。
20Ωの抵抗を入れて電圧を少し落とすことにしました。
7Vくらいしか落ちませんが、何とか許容範囲でしょう。
手持ちに放熱器つきの20Ωが有ったので、使いました。
理想的には30Ωのほうが良いでしょう。
相当熱を持ちます、W数に注意してください。


ケミコンテスターで250Vを加え、ケミコンの漏洩電流を試験すると同時に、
6Z-P1のグリッド電圧を測定したら3.6Vありました。
(普通のテスターより、入力インピーダンスが高い電子電圧計で測定した)
実際の動作状態では6Z−DH3Aのプレート電圧になるので、
この1/3程度の1.2Vくらいになるでしょう。
新品と思われるオイルコンを使用してもこの程度です。
結合コンデンサーにはフイルムコンデンサーが適当です。

更に調べると6Z−DH3Aのプレートに入れてある高周波バイパスにTRラジオ用のセラミックコンデンサーが使われています。
耐圧が足りませんので、500V耐圧のシルバードマイカコンデンサーに変更しました。

AVC回路に高耐圧のコンデンサーが使われているなど、耐圧に対する注意をしたほうが良いでしょう。



このラジオは何故か、半田付けした後、赤いペンキが塗ってある。
なぜこのような不可思議なことをしてあるのか、良くわからないが、困りました。
間違いを見つけて 半田付けを直すのにうまく再半田できない。
ピンにテスターを当てて導通を見ようとしても、接触が悪い。

最悪なのはソケットの内部まで浸み込んで、真空管の接触不良の原因になっている。
小さなやすりで内部を磨いて修復した。

この方法は絶対真似しないように!
IFTの調整

455KHzをSSGからアンテナ端子にいれて受信したのですが、全く音が聞こえません。
+−20KHz程度動かしてみたのですが、全く駄目です。
放送は受信しているのにおかしいと思いながら、
いろいろ調べたところ IFは390KHzに合わせてありました、やれやれ。
ここまで酷く狂っているのは見たことがありません。
調整ネジには例のペンキが塗ってあるので、廻せません。
シンナーで溶かして、再調整です。

ダイアルと受信周波数あわせ

このラジオには周波数を刻んだバーニアダイアルが組み込まれています。
550KHzに目盛りをあわせて、調整しようとしたのですが、合いません。
パディングコンデンサーが怪しいと睨んで、測定してみました。
きつく締め付けたところで390PFですから、容量不足です。

Qメーターで容量測定中。
最大 390PFでした。
パディングコンデンサーは最大容量600PFと言われているので、
これは羽根を抜いた中古品を改造品と知らずに再利用した為でしょう。
パディングコンデンサーは調整後430PF程度の容量になります。
パディングコンデンサーは改造して、他の用途に利用したこともあるので、
外観が同じだと油断してはいけません。
少なくとも極板の数が数枚あることを確認した方が良いでしょう。


羽根がそれぞれ2枚しか見えない。
これでは容量不足です。
中古品を利用する時は充分注意しましょう。
温度補償コンデンサー(黒)の120PFをパディングコンデンサーにパラに接続して使用します。
(修理後のシャーシ内部写真をご覧ください)


取り付け穴

これが小さいと端子がシャーシと接触して不具合です。
もう少し 大きな穴が必要です。
パディングコンデンサーに関しては拙著 「真空管式スーパーラジオ徹底ガイド」をご覧ください。

使用する場合のノウハウも各所に記載されています。
例えば 38 41 75 101の各ページ。 

   


調整中のシャーシ

出力トランスは東栄のものに交換しました。



このラジオに使われているバリコンは2バンド用で、トリマがありません。
トラッキングを取るにはトリマが必須です。
12PFの固定コンデンサーとmax12PFのトリマで調整しました。
理想的にはmax25〜30PFのトリマがあればよいのでしょうが・・。
これらは全てカットアンドトライで容量を決めてゆきます。
結構 微妙です。

拙著 「真空管式スーパーラジオ徹底ガイド」の99ページをご覧ください。


直読型バーニア・ダイアル
JOAK(594)を受信中。
修理完了後のシャーシ内部


断線した出力トランス
正常だがこのスーパーには使えない6C6、
20Aヒューズ、リークのある結合コンデンサー、耐圧不足のコンデンサー。

最後に



ヒューズボックスを開けてみたら、びっくり20Aのヒューズが出てきました。
いくらなんでも酷いでしょう。
これではヒューズボックスをつける意味が全くありません。
普通は1Aをご利用ください。

参考回路図

このラジオの回路図はありませんが、参考の為 同種の回路図を掲載しておきます。
この自作ラジオではマジックアイはありません、また6Z−P1のプレートへは平滑抵抗を出たところから接続されていました。
平滑抵抗は1800Ωでした。


この回路図は拙著 「真空管式スーパーラジオ徹底ガイド」
123ページより。

修理後の感想

このラジオは配置も比較的良くできています(ケミコンの位置は悪いが)。
配線や半田付けも問題ありません、綺麗です。
惜しむらくは赤ペンキです、これだけは止めたほうが良いでしょう。
耐圧に対する注意が不足です。
B電圧の加わる位置に50V用のコンデンサーを使ってはいけません。
逆にAVC回路にはTR用の50V耐圧でも良いです。
IF増幅はリモートカットオフ管を使ってください。
中古品を利用する時は改造されている(パディングコンデンサーやIFT)可能性があるので、注意が必要です。
拙著「真空管式スーパー徹底ガイド」をぜひお読みください。

 ラジオの修理を自分でやる方は このホームページの他真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。
不明な点はラジオ工房掲示板に実名で投稿ください、修理ノウハウの提供は無償です。
初歩的なことでも結構です、ただし他人が解るように書いてください(神様や占い師にするような経緯を省略した質問は返事不能です)。

当方に依頼される方はラジオ修理工房をご覧ください、こちらは有償です。
 


2011年4月7日
2011年4月12日:018 公開

   





ラジオ工房修理メモ

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