真空管ラジオの修理 アリア国策3号受信機の修理体験記

アリアの国策3号受信機が修理にやってきました。
昭和14年ころから流行した国策受信機の最初に近いモデルと思われます。
トランスは古い形式の「角型ピッチ詰め」です、それでも随分小型になっています。
真空管は24B 26B 12A 12Fの所謂並四受信機です。
真空管の構成を見ただけでも古さがわかります、普通国策受信機は57 56 12A 12Fが多いです。
昭和14年の川松電気商会の14年4月号卸商報によると、アリア球付き20円80銭(改正)と書いてあります、
したがって、元はもう少し安かったと思われ、実際の発売時期は昭和13年ころの可能性もあります。


トランスの横に1:3の低周波トランスが組み込まれています、
でも配線を追いかけて行くと、平滑チョークとして使用されていたようです。
断線していましたので、これは飾りとして残しておく事にしました。




元々はペーパーコンデンサーだったが、何時かケミコンが付加されている。
但し全部配線されていたわけでは無い。
ペーパーコンデンサーは1μFごとの端子がついています。



修理後のシャーシ内部、左端の黄色の配線は電源SW回路の代わりの一時的配線です。
時代色を残すため、袋うちの綿巻き電線を使いました。
平滑抵抗は2W 1KΩで入力側10μF 出力側47μFです。
コンデンサー類は殆ど全てを交換、抵抗はグリッドリークが断線でした。

なお写真にはマイカが1個古いままですが、最終的にはこれも交換しました。






これで修理完了と思ったのですが、駄目でした。
バリコンのQが低いのと容量不足で、NHK第2(693)以上しか受信できません。
コイルもオリジナルと思われるし、バリコン自体も交換された様子はありません。


バリコンを取り外したところ。
ローターは4枚、ステーターは3枚で、間にセルロイドと思しき板が挟んであります。
Qも非常に低く、困った事に容量が最大で300PFしかありません。
取り外した時多少違和感がありましたので、あるいは交換されたものかもしれません。
まず洗剤で洗ってみました、多少Qは回復しましたが、容量はそのままです。
セルロイド板(?)の誘電率が変化したので、容量が少なくなったのでしょうか?。
Qメーターで測定すると容量の少ない方ではQが高くなります、誘電体の影響が大きそうです。

対策としてコイルの巻き数を増加する方法はありますが、こんどは高い周波数が受信できなくなります。


最終的にバリコンを交換することにしました。
同じメーカーと言う事で、アリアの並四から移植することにしました。

   


奥 犠牲になったアリアの並四(J33/44型受信機)。
これからバリコンを抜き取って移植した。
バリコンの奥行きが長くなった為、コイルにバリコンが近接しすぎるようです。

ダイアルの目盛りは合いませんが、一応受信できるようになったので合格としました。
スーパーと違い、放送局ごとの音量の違いが激しいです。
TBSなどは音が大きすぎるくらいです。
キャビネットに収納する時になって問題発生です。
@スピーカーのネジが緩く、しかも2本で留めてあります。
固定穴の位置が悪く、キャビネットの布の位置に相当します。
若しかしたらスピーカーも交換されているのかもしれません。
Aダイアルのツマミの位置が微妙に違う、これはキャビネットの穴をヤスリで広げました。
B低周波トランスが邪魔になる。
これは取り外しました、どうもこのトランスもオリジナルでは無さそうです。

このラジオが到着した時、スピーカーは外れ、トランスがぐらぐらでした。
最初はトランスのネジが緩んだのだと思い込んでいたのですが、どうも最初から緩く取り付けてあったようです。

最後に修理してから、恐らく60年近く経過しているようで、ここまで古いと区別し難いです。
電気的修理が終了してから意外と手間がかかりました。





   

参考回路図 アリア国策30号受信機

これは3号型より もう少し時代が新しいです。


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2005年10月21日

2006年6月24日移転

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