真空管ラジオの修理 アリア 44号 並四 受信機の修理

ミタカ電機のアリア44号受信機の修理依頼がありました。

実家から譲り受けた物で二年程前までは受信出来ておりましたが久々に通電してみても受信しなくなっていました。
真空管も見た感じ傷んではいないと思います。
ラジオは[アリア44號型]と銘板がついております。

現物を見ると 昭和11〜12年の製品と思われる作りです。
真空管は57 56 12A 12Fの4球です。
全体的な様子から オリジナルは24B 26B 12A 12Bだった可能性が強いです。
真空管のソケットには12A 12Bのみ刻印がされていれ、56 57は無名なので、この2つが交換されたようです。


スピーカーの横にあるのは平滑用のチョークコイルです、
断線していて抵抗で代用されています。

スピーカーは別のメーカーの物がつけられています。
紙フレームですから、昭和15年以降戦時中か戦後に製造された物でしょう、
テレビアンと書いてありますから、テレビアン受信機から抜き取ったものと思います。
ダイアルのガラスも割れたらしく、プラスチックのフイルムに交換されています。
非常に器用な方が修復したようです。


内部は器用な素人が修復した感じで、半田付けは上手ではありません。
部品の組み込み方も乱暴です。
昭和20年代にラジオ屋さんが57 56 12A 12Fに改造し、
数年前に骨董屋さんの依頼で素人が修理したもののようです。
骨董やさんは時々このように修理したものを売っています。
部品の状態を見ると確かに2年前は正常に動作していたでしょう。
今回の故障原因は半田付け不良と、部品の組み込み方が悪い為、
真空管ソケットの端子が 部品と接触したり離れたりする 微妙な故障とが複合したものでした。



電源トランスのリード線に1組遊びがあります、
おそらく26B用のヒラメント巻線と思われます。


コイルも戦後のスター製に交換されています。
取り付け穴から見て 元々は相当 太い直径のボビンに巻いたコイルだったのでしょう。


シャーシに貼付されている銘板。


スピーカー調整不良

動作させてみると 音がビリつきます、センターポールの鉄片が片側に寄りすぎています。
ギャップの中央に鉄片がくるように調整します。


修理後のシャーシ内部。
劣化したマイカコンデンサーを交換、接触事故を起こしていた抵抗も交換しました。
半田付け不良や、取り付け方法の不具合があり、ばらばらにして、再組み立ても考えましたが、
そこまでやると工数もかかるので、不具合な配線を一部分やり直すことで妥協しました。

内部の部品や修理方法を見ると、相当整備にお金をかけた感じです、
不必要なくらい高い耐圧の部品が使われています。


PLソケットの接触が悪く、時々滅灯します。
金属が酸化して、接触不良になっています、
不具合と思われる部分を半田付けしましたが、まだ不具合が残っているようです。


キャビネットに入れたところ。

トランスなど主要部品は製造後70年以上経過しています。
使用時のみコードをコンセントに挿すなど火災予防に 充分ご注意ください。
安全性の保証は出来ません。

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