Westinghouse 501

12BE6 12BA6 12AV6 50B5 35W4 の5球スーパーです。
カナダ製らしいが銘板の部分が破損していて 読み取れない。


シャーシ下側の内容



分解したところです。
出力管のグリッドを測定すると、凄い+電圧が出ます、完全にカップリングコンデンサーのリークです。
知らないこととはいえ 恐ろしいことです。
早速 部品を交換しました。


この状態で正常に 動作します。
すべてのペーパーコンデンサーと電源のケミコンを交換しました。
右下の赤いコンデンサーは 試験して 大丈夫だったので そのままつかいましたが、その後 やはり不安手なので 交換しました。

なお親子バリコンが使われているので パディングコンデンサーは無しと思い込んでいたが、
実は2200PFのものが使われていることが後日判明した。

ただケースに入れて 長時間試験すると 突然受信周波数が変わるのです。
JOAKを受信していて 10KHzくらい急に動きますので 深刻です。




また分解です、赤いコンデンサーとパディングコンデンサー(2200PF)を交換しました。 またこの機種には出力管のカソードバイアスのケミコンが省略されています。
音質の改善には多少役立つのでしょうが、115V仕様のラジオを100Vで使いますので、
音量を上げるために10μFのケミコンを追加しました。
これで音量も随分豊かになりました。



交換したコンデンサー 


これでまたケースに入れて 試験です。
此れでも 動きます、最後の手段として バリコンの本体とアース端子を緑色の線で直結しました。
此れでも駄目です やはり 周波数が動きます。

残りの対策はほとんどありません。
万一の望みをたくして 発振コイルの結合コイルの配線を外す。
通電後30分超で突然周波数が飛ぶ現象があり、発振コイルに巻かれた結合コイルのいたずらではと想像、
このコイルを外しコンデンサー結合(80PF)に変えてみた。
下記画像への変更。



ラジオはキャビネットに入れないと周波数が動くことの確認が難しいので。
今回は ビニール袋にいれ、熱が篭るように工夫して通電した(下の画像参照)。
通常ではありえない温度に上昇したと思われます。

30分超の時間で周波数が飛ぶ現象は確認できなかったが、
50分後に結果として受信できなくなっていた。
今回の作業の効果はあったようだが 周波数が動く現象は未解決でした。

最後の手段として バリコンとコイルの容量を測定してみることにした。






常温時と高温になった時のバリコンの容量とコイルのインダクタンス。
バリコンが意外と変化するのに驚いた。
画像は 冷えてゆく途中の測定値です。
なおパディングコンデンサー(2200PF)経由の測定値なので 厳密なバリコンの値とは異なります。
(=バリコン単体+2200PFの合成値)
   常温 50分後 非常に高温 
最大容量   117.5pF 126 pF
最小容量 19.3pF  20pF
 コイル  207μH   207.3μH
バリコンの大幅な容量変化は予想外だったが バリコンまで交換することは難しいので このまま使っていただくより仕方がないと思われます。
コイルは心配したが ほとんど動かなかった。 バリコンが交換できない理由は 軸に微動機構が組み込まれていて、ダイアル機構と一体になっているので 交換が出来ないのです。



ケースに収納して 試運転していますが、周波数が急に飛ぶ現象が確認できました。
やはり バリコンの容量変化がある温度で急に変わるようです。

ケース内の温度が上がると当然周波数が変わりますが、我慢して使うしかないようです。


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2014年3月27日





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